2020年7月25日土曜日

アウティングもパワハラ   性自認や性的指向、許可なく暴露 企業に防止策義務づけ

アウティングもパワハラ
  性自認や性的指向、許可なく暴露 企業に防止策義務づけ


2020年7月25日(土) 12時33分 北海道新聞

= 悪意なくても該当  アウティングを防ぐには =

 職場での嫌がらせやいじめといったパワーハラスメント(パワハラ)防止が、6月から大企業に義務づけられた(中小企業は2022年4月から)。国の指針では、労働者の性自認や性的指向(好きになる性)を本人の許可なく他人に知らせる「アウティング」もパワハラにあたると位置づけられた。道外の自治体では禁止する条例を作る動きも広がっている。当事者らは「アウティングは命をも奪いかねない行為。『善意』からであっても、勝手に他人に話してはいけない」と訴える。

 札幌市の尚さん(27)=仮名=は、戸籍上は女性で性自認が男性のトランスジェンダー。身体的にも男性に近づけたいと、男性ホルモンを定期的に投与している。5年前に入社した運送会社では、尚さんの戸籍が女性だと知っているのは社長と直属の上司のみで、男性として働いていた。
 2年前、乳房の切除手術を受けるため、2週間ほど有給休暇を取った。復帰して間もなく同僚から、「実は女性」「手術で休んだ」などといううわさを社内で聞いたと言われた。心当たりがないか上司に聞くと、許可なく伝えたことを認め、「当事者だと伝え、応援してくれる人が増えた方がいいと思った」と言った。

 尚さんは「善意からだったとしても、性自認などを誰に、いつ話すかは、本人が決めること。自分の言葉で伝えたわけではないので、どう伝わっているかもわからず、職場で働くのが不安になった」といい、その後、退職を選んだ。

 6月に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の指針では、性自認や性的指向は、病歴や不妊治療などと同じ「機微な個人情報」として、労働者の了解を得ずに、他の労働者に暴露することもパワハラに該当するとして、企業に防止策を講じることを義務づけた。

 LGBTなど性的少数者が働きやすい職場づくりに取り組むNPO法人虹色ダイバーシティ(大阪市)と国際基督教大の19年の調査では、国内の職場でアウティングを経験した人はトランスジェンダーで37・6%、その他の性的少数者で27%いた。  同法人の村木真紀代表は「言った側に仮に悪意がなくても、暴露されたことにより、本人は仕事を失ったり、友人関係が壊れたりするなど、その人の居場所を奪ってしまいかねない。隠したいと思う情報を勝手に他人に話すアウティングは人権侵害」と指摘する。

 職場でのアウティングを防ぐには「カミングアウト(告知)された人は、他人に言わないのが大前提。その上で、誰に話しているのか、他に共有して良い人がいるか、本人がどうしたいのかなど、きちんと確認することが大事」と話す。


《カウンセラー松川のコメント》

[アウティング]性的指向を本人の同意無く他者が知らせることです。
LGBT関連の用語となります。
近年では[戸籍上の性別][身体的な性別][本人の自認する性別]と
性別も書類上だけでは無くなっているのが実態です。
しかし、本人の意思とは関係無く、
現行法令では性別は戸籍上での性別が優先され易いのもまた現実です。
言い方は悪いですが、今までは性別は戸籍だけが基準であったものが、
今では二重三重の基準と言う、所謂[ダブルスタンダード]状態になってしまい、
雇用者にしても組織にしても扱い難くなっているのは確かです。



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