2023年7月26日水曜日

▼甲賀消防の未接種者隔離問題、全職員にアンケートへ 調査委が初会合

甲賀消防の未接種者隔離問題、全職員にアンケートへ 調査委が初会合

 

2023726日() 1015分 朝日新聞(鈴木洋和)

 

 滋賀県甲賀市の甲賀広域行政組合消防本部が、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けなかった職員に対し、全職員との接触を制限するなどしていた問題を検証するため、「ワクチン未接種者への対応事案等ハラスメント調査委員会」(委員長=新川達郎・同志社大名誉教授)の初会合が25日に開かれた。同消防本部の全職員へのアンケートをすることなどが決まった。

 

 調査委は甲賀市と湖南市でつくる同広域行政組合が設置。委員に任命された弁護士、同組合の監査委員、民間会社社長ら6人全員が出席した。

 

 同消防本部では2021年、接種を受けなかった30代職員が、ほかの職員から隔離された通路脇で働くよう指示された。さらに文書に「ワクチン接種拒否者」と記して約200人の全職員に周知され、職員は約4カ月後に依願退職した。

 

 また、22年の4回目接種を受けなかった別の30代職員が依願退職していたほか、20代と60代の2人もその後、依願退職をしたことが分かった。

 

 この日の調査委は冒頭を除いて非公開。終了後、記者会見した新川委員長によると、当時の状況を知る消防本部の幹部4人から経緯を聞いた。

 

 今後、調査委は約200人の全職員にアンケート用紙を送付する。回収は消防本部ではなく、湖南市と甲賀市が担う。2122年度の依願退職者計11人らにもアンケートや、必要に応じて聞き取りをする。

 

 ワクチン接種後に依願退職した4人を含む全体像について、できる限り明らかにしたいという。

 

 新川委員長は「どこまで事実を解明できるか予断を許さないが、今年度中に委員会としての最終報告をとりまとめたい」と話した。次回は9月末ごろの予定。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ6月26日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 甲賀広域行政組合消防本部 新たに職員3人の退職が判明 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。



2023年7月24日月曜日

▼「泣き寝入りはしたくない」同性愛者であると上司に広められ…うつ病など発症 20代男性「アウティング」で初の労災認定

「泣き寝入りはしたくない」同性愛者であると上司に広められ…
うつ病など発症 20代男性「アウティング」で初の労災認定

 

2023年7月24日() 20:06 日本テレビ

 

20代の男性が、同性愛者であると上司に広められたことでうつ病などを発症、これが初めて労災と認められました。

 

男性「(暴露されたと知った時)パニック状態でその時は、嗚咽というより、体調がわるくてめまいなどがすごく、その場から逃げたい、消えたい状態に陥りました」

 

東京都内の生命保険代理店に勤めていた20代の男性は、20195月、緊急連絡先として、豊島区の制度を使ってパートナーになっている男性の名前を会社に伝え、直属の40代の男性上司には、自分が同性愛者であることを伝えたということです。その際、同性愛者であることを業務上知る必要性が高い正社員にのみ、本人から言うこととし、パートの従業員には伝えないということを会社側と確認しましたが、上司は、パート従業員1人にこの男性に同性のパートナーがいることを伝えてしまいました。これは「アウティング(性的指向などを本人の許可なく人に暴露する)」といいます。

 

上司は「自分から言うのが恥ずかしいと思ったから俺が言っといたんだよ。1人ぐらい、いいでしょ」と笑いながら話し、謝罪もなかったということです。

 

この後、男性はこの上司やパート従業員との関係が悪化、この上司からの暴言も増え、社長に相談したものの事態は改善せず、動悸(どうき)、不眠などのほか、電車に乗ることもできなくなり、自殺したい気持ちが高まり、受診した結果、不安神経症と診断され、長期の休職、その後、退職を余儀なくされたということです。

 

男性は体調悪化の中でも「泣き寝入りはしたくない」と考え、パートナーの支えも得ながら、NPO法人POSSEに相談、個人でも加入できる労働組合にも加わり、会社側と交渉を始め、性的マイノリティーに関する暴露を禁止する条例がある豊島区にも救済を申し立てました。男性との交渉で、会社側は当初「善意だった」と主張し、アウティングが許されない行為だとの認識がない様子でしたが、男性側が組合とともに記者会見やデモなどをしたこともあってか、202010月、会社側は事実関係と責任を認め、男性と和解。上司は男性に直接謝罪したということです。

 

そして、男性は20214月、労働基準監督署に労災を申請し、去年3月、労災と認められました。情報公開請求で入手した公式の書類には、上司による「アウティング」と明記されており、支援した労働組合によるとアウティングによって発症した精神疾患の労災認定は日本初だということです。

 

なお、男性は、対人恐怖症やそううつ病とも診断されその症状は今も続いているということです。

 

厚労省の指針では、アウティングをパワハラと規定しています。男性は、アウティングを罰則付きで禁止する制度が必要だと述べ、性的マイノリティーへの差別がある中では「絶対に会社では(性的指向などについて)言えない。それをオープンにできるのはごくわずかだと思う。アウティングは、自殺につながるほどのことだとわかってほしい」と訴えました。

 

男性を支援してきたNPO法人POSSEの佐藤学さんは、会社の適切な対応はどうあるべきだったか問われると「原則として、性的指向などについて、誰に、どの内容までは伝えてよいかを本人に確認すべき。本人に同意なく広めたのが問題だった。こうした内容は、本や企業内研修でも学べるはずで、会社としてどうすべきかを勉強すべきだ」と話しました。

2023年7月18日火曜日

▼「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」通知・公表の概要

 「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」通知・公表の概要


2023年7月18日(火) 放送倫理・番組向上機構


[通知]
2023年7月18日午後1時からBPO会議室において、曽我部真裕委員長と事案を担当した二関辰郎委員長代行、松田美佐委員、補足意見を書いた水野剛也委員、少数意見を書いた國森康弘委員が出席して、委員会決定を通知した。申立人本人と代理人弁護士、被申立人のあいテレビ(愛媛県)からは番組プロデューサーら3人が出席した。
曽我部委員長がまず、「本件番組には人権侵害は認められず、放送倫理上も問題があったとまでは言えない」という委員会の判断を示したあと、今回は申立人の心情を深刻に受けとめた結果、「問題点の指摘と要望」という形で委員会の考えをまとめたと伝えた。
申立人の「番組内での他の出演者からの下ネタや性的な言動により羞恥心を抱かせられ、放送によってイメージが損なわれ、人権侵害を受けた」という主張については、本件の特徴として、他の出演者の言動が番組内に限られており、視聴者に見られることを意識したやりとりで特殊な場面と考えられ、通常のセクハラの判断基準とは異なるという見解を説明したうえで、本件では、①放送局が申立人の意に反していたことに気づいていたか、あるいは、気づいていなかったとしても気づくことはできたと言えるかどうか、②深夜バラエティー番組として許容範囲を超える性的な言動があり、あるいは、申立人の人格の尊厳を否定するような言動があったと言えるかどうか、という基準を採用したと述べた。それに照らすと、①について、あいテレビが当時気づくことは困難であり、②については、委員の中には番組内での性的な言動は非常に悪質だという意見はあったものの委員会で一致は見られず、最終的には、人格の尊厳を否定するような言動があったとまでは言えないとした。また、申立人が番組プロデューサーに悩みを打ち明けたあとの放送対応については、申立人が問題だと指摘した部分は放送しなかったという経緯があり問題があるとまでは言えないとした。これらを総合して判断した結果、人権侵害は認められなかったと説明した。
さらに、放送倫理上の問題に関しても人権侵害の判断と同様に、問題があるというのは妥当ではないとの結論に至ったと伝えた。
ただし、あいテレビに問題点として指摘される部分がなかったかというとそうではなく、要望として大きく取り上げたと伝えた。言動が繰り返され、言われた側の役割が固定化し、放送を通じてそれを公開されることは内心で意に反していると考える申立人を極めてつらい立場に追い込んだ。今後、あいテレビはそのような状況を招かないよう環境整備に努めること、また、ハラスメントに対する人々の問題意識が高まってきた今日において、本件番組で指摘されたような表現が放送するのに適当だったか否かをよく考えてほしいこと、そして、フリーアナウンサーとテレビ局という立場の違い、他の出演者との関係性、男性中心の職場におかれた女性の立場というジェンダーの視点に照らしても申立人は圧倒的に弱い立場に置かれていたことが明らかで、放送局としては降板するほどの覚悟がなくても出演者が自分の悩みを気軽に相談できるような環境やジェンダーに配慮した体制を整備する必要があること、そのうえで、日頃から出演者の身体的、精神的な健康状態につねに気を配り、問題を申告した人に不利益を課さない仕組みを構築するなど、よりよい制度を作るための取り組みを絶えず続けること、という要望が付いたと説明した。さらに、ジェンダーバランスが適切にとれていれば下ネタや性的な言動が本件番組ほどになされることはなく、申立人に対する性的な言動への歯止めがかけられた可能性があったことも指摘した。
最後に、要望は直接的にはあいテレビが対象であるが、本件を契機として、放送業界全体が自社の環境や仕組みの見直しを行い改善に努めてほしいと伝えた。
続いて二関委員長代行が、「放送人権委員会決定における判断のグラデーション」に基づき、あくまでもグラデーション上の人権侵害や放送倫理上の問題というカテゴリーに照らすならば、問題があるとまでは言えないと判断した旨説明した。そして、今回の委員会決定の「問題点の指摘と要望」の部分が異例の長文であることに触れ、あいテレビに問題がなかったわけではないと述べた。あいテレビに対して、自社で設置した相談窓口が本当に機能しているのかをきちんと検証してほしいと要望した。
松田委員は「本件で申立人に向けられ、放送された性的な言動は悪質であり、放送を控えるべきであった」と個人の思いを伝えた。しかし一方で、表現内容だけを取り上げて問題ありとすることについては、「表現の自由」の観点から謙抑的であるべきだという委員会の判断に賛成だと述べた。そして、あいテレビに対し、表現によって誰かを傷つける可能性にもっと意識を向けてほしいと要望したうえで、「なぜ、申立人の悩みに気づけなかったのか」「なぜ、申立人は悩みが外部に伝わらないよう振る舞わざるをえなかったのか」と問いかけ、放送業界全体に、さまざまなジェンダー構造上の問題に対して社会がよりよい方向に向いていくための取り組みを求めたいと述べた。
次に、補足意見を書いた曽我部委員長がその内容を説明した。放送業界全体にジェンダーの観点から考えてもらうため、放送とジェンダーに関する近年の状況について紹介したと伝え、ジェンダーに関する偏見を再生産するのではなく率先して社会の多様性を番組に反映していくこと、そのための組織の整備を行うこと、自主的な取り組みを進めてほしいことを述べた。
同じく補足意見を書いた水野委員が「あいテレビには申立人との関係が良好だという思い込みがあったように見える」と述べ、人の心のうちは外からはうかがい知れないということを肝に銘じ、放送局は職場環境の見直しに取り組んでほしいと伝えた。
続いて、少数意見を書いた國森委員が「ハラスメントとは、気づいているか否か、あるいは、悪気があるか否かということとは関係なく、相手に苦痛や不快、不利益を与えること、あるいは相手の尊厳を傷つけることであって、その観点から、本件では人権侵害があったと考えている」と述べ、その論拠を説明した。「一般社会でハラスメントにあたるものが番組内で許されるはずはなく、申立人と性的な要素を過度に結びつけて描いている表現は非常に悪質。ましてや本人が下ネタや性的表現に同意をしていない、番組制作のあり方に納得をしていない、スタッフや共演者に不信が募る、という状況では一層深刻なハラスメント被害にあたる」とし、今回の表現が問題ないと捉えられれば、ハラスメントは今後も助長され、番組制作の現場でも一般社会でも被害はなくならず、苦しみ傷つく人が増えるだろうと述べた。
この決定を受け申立人は「残念という言葉しかない。不満だ。あいテレビが“要望で済んだ”と受け取ってしまうことが心配。長年、苦痛を訴えてきたのは事実。あいテレビが気づかなかったから今回の判断になった、と言われたことはショックである」と述べた。
あいテレビは「真摯に受け止めている。今回の申立てを受け、相談しやすい環境を作るために、現在、組織的に動いている」と述べた。

[公表]
午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見し、委員会決定を公表した。放送局と新聞社、民放連合わせて25社1団体から36人が出席した。テレビカメラの取材はTBSテレビが代表取材を行った。曽我部委員長がパワーポイントを使いながら、決定の結論とそこに至る考え方を説明した。特に、結論部分にある「問題点の指摘と要望」の内容について強調し、もっとも時間をかけ、丁寧に説明した。
二関委員長代行は「本当に難しい事案で、委員の間でさまざまな議論が交わされた。申立人と被申立人の言い分が食い違う中での審理となったが、委員会は証拠調べや証人尋問等をするわけではない。双方から提出された資料に基づいて認定していった結果が今回の判断の骨格となっている」と補足した。
松田委員は「本件番組を視聴して驚き、あきれ、気分が悪くなった。理由は番組内での性的な言動やからかいが、女性である申立人に対して、その人格と絡める形で向けられたものであったからにほかならず、これまで自分が経験してきた、さまざまな場面で受け流すことを暗黙のうちに要請されたからかいを想起させられ、非常につらかった。しかし一方で、表現内容だけを取り上げて問題があるということは表現の自由の制約につながりうることも理解しており、謙抑的であるべきという多数意見に賛同している。放送局は、『気がつかなかった』で済ませずに、自らの表現がどういう可能性を内包しているかをもっと意識して制作を行ってほしい」と述べた。
続いて、曽我部委員長が委員会決定における補足意見と少数意見の位置づけを説明したうえで、自身の補足意見の内容について説明した。要望でも取り上げたジェンダーバランスの観点から、「放送業界は全体として、社会に存在する偏見をただ再生産するのではなく、社会の多様性を番組に反映し促進していけるよう組織を整えるために自主的な取り組みを進めることが期待されている」と述べた。
水野委員は、「申立人の苦痛は非常に深刻なのに、あいテレビはまったく気づいていなかった。その乖離に非常に戸惑った。あいテレビには、申立人とはなんでも言い合える関係であるという過信があったようだ。心の内は外からうかがい知ることはできないことを肝に命じておくことが重要である」と述べた。
國森委員は、「多数意見では構造的な問題点を指摘した上で、今後のよりよい制度作りに向けた取り組みを放送局に対して要望し、また、放送業界全体における改善も期待している。その点においては賛同している」と前置きしたうえで、「ただ、ハラスメントとは本人の意図とは関係なく、その言動が相手を困らせ傷つけるものであるという観点から、本件には人権侵害があったと考えた。審理対象期間外であるが、背中のファスナーを他の出演者から下ろされるようなシーンなどもあり、申立人が性を売りにして世を渡るような人物であるかのように、過度に人格に性的な要素を結びつけてイメージを損なった。本人も性的な表現に同意や承諾をしておらず、かなり悪質だ」と、結論に至った理由を説明した。

<質疑応答>
(質問)
申立人、被申立人双方の受け止めは?
(曽我部委員長)
申立人は委員会決定に不満だと述べた。放送局に苦痛を何度も伝えてきたのに委員会決定にそれが反映されていないというのは事実認定としておかしい、というのが申立人の言い分。本件の問題の深刻さに委員会が一定の理解を示しているというのはわかるが、結論として問題がないというのはあいテレビのやり方を認めることになってしまうと懸念していた。あいテレビは、委員会決定を真摯に受けとめていることと、体制についてはすでに一定の見直しを行い、相談体制やジェンダーバランスに関しても社内の意識を高め取り組みを進めていることをコメントした。

(質問)
2022年3月に番組が終了したことは本件と関わっているか。
(曽我部委員長)
大いに関係している。2021年11月に申立人が番組プロデューサーに悩みを伝え、降板すると申し出た。番組は開始当初から出演者3人でやってきたため申立人だけが降板するのではなく、番組自体を終了しようという判断となった。

(質問)
これを機に、委員会や委員長として、深夜番組について何か意見を出すようなことは考えているか。
(曽我部委員長)
民放連、あるいはNHKの放送基準には性的な表現についての規定があり、それに則って番組は作られている。委員会として「ここまでは許される、ここからはNGだ」ということを一概に言うということは難しく、行わない。

(質問)
あいテレビのジェンダーバランスについて、考査体制の点からお考えがあれば。
(曽我部委員長)
今まで女性が0だったのを1人入れたからもうそれでよい、というのではなく、実質的にジェンダーバランスが確保されるような、そういう体制を目指すことが重要だと思う。

(質問)
あいテレビは、申立人に対して謝罪を行ったか。
(曽我部委員長)
きちんとした形で謝罪したということにはなってない。
(二関委員長代行)
本人があいテレビ側との接触を嫌がったこともあり、コミュニケーションがお互い取れないような状態で現在に至っていると理解している。

(質問)
本件番組の表現について、あいテレビは現在どのような認識でいるのか。
(曽我部委員長)
まったく問題がないという言い方ではなかったが、ただ、番組は6年間続いており、基本的には他愛のないトークが繰り広げられる中で時々下ネタや性的な言動があるということで、「全体を見てほしい」ということを強調していた。

(質問)
少数意見の中に、申立人がプロデューサーへの不満等を伝え、それに対して、プロデューサーから「真意確認」というメール返信があったという記述があったが、多数意見ではまったく触れてはいない。これは委員会として、客観的な証拠として確認できなかったということか。
(二関委員長代行)
客観的に判断できる範囲で判断したというのが多数意見のスタンス。少数意見で言及しているが多数意見では言及していないのは、そのメールが資料として提出されてないからであり、そのため特に触れていない。
(國森委員)
委員会に証拠を提出することは義務付けられず、委員会では証拠調べはしないという制約がある中で、何に重きを置くかということを考えた。記述内容は具体的で信憑性があるとみた。双方の主張に争いのない部分で判断するというより、争いのある部分にこそ申立人が訴えたい問題があるのではないか。今回は、さまざまなものを犠牲にして訴えた申立人の方に重きを置くべきだと思った。

(質問)
「真意確認」というメールの資料提出を、例えばあいテレビに求めるような対応はできなかったのか。
(曽我部委員長)
例外的な場合を除き、基本的に委員会が資料提出を求めることはない。今回は求めていない。

(質問)
本件について人権侵害や放送倫理上の問題を判断するうえで先例やガイドラインはなかったという理解でよいか。
(曽我部委員長)
本件で直接参照できる先例やガイドラインがあったとは認識していない。そのため、委員会でどういう枠組みで判断するのかということを相当議論した。
(二関委員長代行)
ハラスメント関連の法律や厚労省のガイドラインなどは職場環境を害する言動を広く含むものとしてセクハラを定義したセクハラ防止のためのルールであるため、本件には当てはまらないと委員会で議論し、独自の基準を立てた。パワハラなどに関する実際の裁判例なども参考にした。

(質問)
少数意見で、申立人のファスナーを他の出演者が下ろすことなどの記述があったが、あいテレビが気づけたかということとは別に、そのようなシーンを放送することは性加害と視聴者に受けとられかねず、その点で人権侵害とは考えられなかったか。
(曽我部委員長)
当該シーンは背景事情として考慮しているが、直接の審理対象ではない。職場で行えば犯罪だと思うが、番組の場合、演出なのかどうかということがわからない部分がある。当時の申立人のブログ等では積極的に本件番組を宣伝していたし、ファスナーのシーンも比較的肯定的にブログに書いていた。そこからすると、あいテレビは気づかなかっただろうというのが委員会の考えである。他方で、行き過ぎた性的表現を放送するということ自体は、もちろん、放送基準の問題が発生するが、問題か否かの判断は一概にはできない。
(二関委員長代行)
申立人は、お尋ねのシーンの収録時にカメラを向けられてニコニコしている自分の写真を、自分からブログにアップしており、委員会ではこのシーンの位置づけが曖昧だと議論し、申立てから遡って1年以内の放送ではなく審理対象でもなかったので多数意見では触れなかった。

以上


当該文書に関する掲載URLは以下のとおりです。
2023年7月18日 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |

2023年7月11日火曜日

▼「無能なんですか?」 パワハラ行ったとして停職2か月の懲戒処分 50代の海将補 海自

「無能なんですか?」
 パワハラ行ったとして停職2か月の懲戒処分 50代の海将補 海自

 

2023年7月11日() 18:04 日本テレビ

 

海上自衛隊は、パワハラを行ったとして、50代の海将補への停職2か月の懲戒処分を発表しました。

 

懲戒処分を受けたのは、50代の男性海将補で、去年6月から10月頃にかけ、部下7人に対して、「無能なんですか?」「あなたが機能しているとは思えない」などと不適切な発言を行っていました。

 

うち1人は、精神疾患を発症し、発言が原因となった可能性がある、ということです。海将補は海上自衛隊で2番目に高い階級の幹部です。

 

海自では、海将補によるパワハラが相次いで発覚していて、処分されるのは、今年に入って3人目となっています。

2023年7月5日水曜日

▼「お尻を触られた」女性2人が“セクハラ”訴え…町長も会見で釈明 岐阜

「お尻を触られた」女性2人がセクハラ訴え町長も会見で釈明 岐阜

 

2023年7月5日() 6:07 日本テレビ

 

4日、岐阜・池田町の現職の町長からセクハラを受けたとして、2人の女性が会見を開きました。会見は、1人はリモート、1人はついたて越しに行い、涙ながらに訴えました。一方、町長も記者に対し、会見で釈明しました。

 

   ◇

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長(75

「私自身、思いもよらないことで戸惑っているのが正直な気持ち。セクハラを前提にやったという覚えがない」

 

在職20年となる岐阜・池田町の岡崎和夫町長が、自らに向けられたセクハラの訴えについて釈明しました。

 

その町長から「セクハラ被害を受けた」という町の職員と、元職員の2人の女性が4日、姿を出さずに会見をしました。1人はリモート、1人はついたて越しに涙ながらに訴えました。

 

まずは、今も池田町役場に勤める30代のAさんの訴えです。育休明けだった3年前の2020年の1月、庁舎の廊下で岡崎町長に後ろからお尻を触られたといいます。その際、町長は「体形戻らんなー、焼き肉好き?」と言っていたといいます。

 

そしてもう1人、元職員の30代のBさんは10年前の20134月、町長から「手、見せてみ」と言われ手を触られたといいます。さらに、「細いな」と言われ、腕や肩も触られたということです。その約2か月後には、背後からお尻を触られ、拒否すると町長は「あかんか。どこまでがダメかわからんでな」と話していたといいます。

 

2013年から2014年の1年ほどの間に少なくとも5回「手、見せてみ」と言われ、数分にわたり手をさすられたということです。

 

これに岡崎町長は、Bさんについて、握手や肩を触るなど一部行為は認めたものの、当時セクハラの認識はなかったと釈明しました。

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長

「お尻を触ったと書いてあるが、これはありません。『手を見せてみ』とは言っていないが、握手したことはございます。『手をさすられ』と書いてあるが、そんなことはしていないが、手を握りながら『頑張って』と言ったことはあると思う」

 

その一方で――

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長

「セクハラについては、受け手が嫌と思ったらあかんので、そういう感じを与えてしまったのは申し訳ない」

 

――今の認識では、セクハラ行為であったということでいい?

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長

「セクハラ行為にあたるという判断ですね」

 

   ◇

 

岡崎町長は2003年から20年にわたり町長を務め、今年1月には6選を果たしています。

 

町長として、地元が輩出したオリンピック選手を応援する姿を見せることもありました。

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長(2018年)

「池田町にとってはこの上ない素晴らしいニュースであります。ともに頑張りましょう!」

 

会見では、被害を訴える2人以外についても質問が出ました。

 

岐阜・池田町 岡崎和夫町長

「これ以外の職員ですか? ありません。そんなこと(尻を触る)はできる話ではないし。そんなことしたら職員も怒るはずですし、そんなことまではしたことありません」

 

池田町は第三者委員会を設置せず、指針に基づいて、まずは町独自の調査をしていくということです。

2023年7月4日火曜日

消防士が消防署内で放火「職場のパワハラ一因」 元上司を懲戒処分

消防士が消防署内で放火「職場のパワハラ一因」 元上司を懲戒処分

 

202374日(火) 16:48(島脇健史) 朝日新聞

 

 大阪府枚方市の枚方東消防署で20215月、更衣室のロッカーに火をつけたとして署所属の元消防士の20代男性が懲戒免職された問題で、枚方寝屋川消防組合は4日、元消防士にパワハラを繰り返したとして、当時上司だった30代男性消防士長を減給10分の11カ月)の懲戒処分にしたと発表した。組合は「パワハラが(火災の)一因だった」と説明している。

 

 組合によると、元消防士が「職場内でいじめ・パワハラがあり、表面化させるために放火した」と組合の調査に話したことから、組合は216月、弁護士らでつくる「ハラスメント審査委員会」に調査を依頼。審査委は今年6月、消防士長が214月から約2カ月にわたり、当時部下だった元消防士に「しばきあげるぞ」などの暴言を繰り返していたと認定した。さらに、ほかの職員の胸ぐらをつかむといったパワハラ行為も合わせて認定したという。

 

 記者会見した組合の伊藤高博消防次長は「審査委の報告を重く受け止め、組織の風土や体質を改善していく」と話した。

 

 この火災は、元消防士が21524日朝、署内の同僚が使う更衣室のロッカー内の衣類にライターで火をつけたとされる。元消防士は建造物等以外放火容疑で府警に書類送検され、大阪地検が不起訴処分(起訴猶予)とした。府警の調べに容疑を認め、組合が懲戒免職処分としていた。

 

 組合はこのほか、寝屋川消防署副署長を減給10分の16カ月)、50代男性消防司令を減給10分の11カ月)、50代男性消防士長を戒告の懲戒処分にした。

 

 組合によると、203月、出張所で消防士長がふざけて扉を蹴り、20代男性消防士の指を骨折させる全治6週間のケガを負わせた。しかし、報告を受けた副署長らは、消防士長が職場に居づらくなると思い、「誤って」扉を閉めた事故であるとの虚偽の報告書を作成。地方公務員災害補償基金に公務災害認定を申請したという。公務災害はいったん認定されたが、申請が虚偽であるとして、その後取り消された。けがをした消防士の同僚からの報告で発覚したという。



※ 他社のニュースも掲載致します

「しばきあげるぞ」など繰り返し暴言
 消防署員がロッカーに火をつけた問題は上司のパワハラが一因か

 

2023年7月5日() 12:00 読売テレビ

 

 2021年、大阪府枚方市の消防署員が署内のロッカーに火をつけ、懲戒免職となった問題で、放火は上司からのパワハラが一因だったことが分かりました。

 

 2021年5月、枚方市の枚方東消防署で男性署員(29)が更衣室のロッカーに火をつけ、懲戒免職となりました。

 

 枚方寝屋川消防組合が調査したところ、男性は「パワハラを表面化させるために放火した」と話し、約2か月間にわたって、当時上司だった31歳の男性消防士長から「しばきあげるぞ」などと繰り返し暴言を吐かれていたことがわかりました。

 

 消防組合は、この消防士長を減給1か月の処分とし、「組織の体質改善に努め、市民の皆様からの信頼回復に全力で取り組んでまいります」としています。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ2021年6月11日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 「異常に厳しい職場環境、変えたかった」放火容疑の消防士を書類送検 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。
当時の消防九合総務部のコメントでは
現時点ではパワハラやいじめは確認されていない。
ただ、本人や上司から詳しく話を聞き、調査する必要があると考えている

と、されております。
このことからの調査が行われた結果として、
放火の背景に上司のパワハラが認定され、パワハラ加害者をはじめ
結果として関係した上司も処分されているのですから
パワハラを行う事も隠蔽する事も共にリスクがある事を認識して欲しいです。
これは当事者だけでなく、全ての消防職吏員。いや、全ての社会人にです。