スポーツ現場のハラスメント、相談件数が過去最多 なくすためのポイントは
2025年12月1日(月) 10:30 中國新聞
スポーツ現場での暴力や暴言などの「スポーツハラスメント(スポハラ)」がなくならない。日本スポーツ協会に寄せられた相談件数は2024年度、536件と過去最多を更新した。「勝利のためには厳しい指導が必要」といった考え方が依然、根強いことが背景にある。日本スポ協はスポハラの根絶と、選手自身が主体的に競技に取り組むための指導方法の普及に力を入れている。
10月中旬、日本スポ協が大阪府で開いた学校の部活動や地域のスポーツクラブなどの指導責任者向けの講習会。全国から集まった空手道やスケート、テニスなどの監督やコーチたち70人を前に、土屋裕睦(ひろのぶ)・大阪体育大教授(スポーツ心理学)が「プレーヤーが心理・社会的に安全・安心な環境下にあるかがポイント」と訴えた。
講習会は2日間の日程で開催。グループワークでスポハラの実例を基に改善策を話し合ったり、コミュニケーションの取り方を学んだりした。
日本スポ協へのスポハラの相談件数は専用窓口を13年に開設して以降、新型コロナウイルス禍の一時期を除いて増加傾向が続く。過去最多だった24年度の相談内容別の内訳は暴言が41%で最も多く、パワハラ18%▽暴力13%▽セクハラ2%―だった。被害者は小学生48%、中学生18%、高校生12%の順となっており、声を上げづらい立場の子どもが被害を受けるケースが多かった。
スポハラはなぜなくならないのか。日本スポ協は例えば、第三者の目が届かない指導環境▽試合に勝ちたい、勝たせたい感情▽自身も暴力や暴言を受けて強くなれたと思っている指導者の考え方―など「機会・動機・正当化」の三つの要因が重なった時に起きやすいと分析する。
スポハラをなくす対策として指導者には、選手が不快に思っていないか▽第三者が見ても不快に思わないか▽他に手段がないか―の3点を意識するよう呼びかけている。
不快に思っていないかどうかは選手が正直に返事できない可能性も踏まえて本人に確認。選手の同意があっても誰に見られても適切な行為か、別の指導法はないかを常に考えることで不適切な行為を避けやすいという。
さらに、選手とのコミュニケーションには指示通りの行動を求めるだけでなく、主体性を引き出すアプローチの必要性も訴える。土屋教授は「指導者は良かれと思ってやっているが、1から10まで指示し、できないと怒るようになれば不適切な指導につながる」と指摘している。
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