2020年11月15日日曜日

教員のハラスメント相談体制どうする? 「小さな自治体は職員少なく困難」の声も

教員のハラスメント相談体制どうする?
 「小さな自治体は職員少なく困難」の声も

 

20201115日(日) 10:30 京都新聞

 

 滋賀県草津市立小の元校長が部下の教諭に対する強制わいせつの疑いで逮捕された事案や、セクハラに加え新たにパワハラ防止対策も義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法の6月施行を受け、県内で教職員向けのハラスメントの相談体制の見直しが進んでいる。充実した体制づくりには、人員や独立性の確保など課題が多い。

 

 文部科学省は同法などに基づき、公立学校の設置者である教育委員会に相談体制の整備など防止措置を義務付けている。国は具体的な設置形態は示しておらず、各自治体の判断にまかされている。

 

 草津市は元校長の事案があった当時、主に各小中学校に配置した教職員の相談員から校長ら管理職に事案を報告する流れを念頭に置いた体制だった。「管理職が加害者になることを想定していなかった」とし、外部相談員や専門家の活用など体制の改善を図る。

 

 米原市は6月、市教委に新たに相談窓口を設けた。野洲市は7月、防止指針を策定して市教委の窓口を明記。湖南市は本年度中にまとめる防止要綱で市教委内の窓口を明文化し、顧問弁護士の参画も検討する。甲賀市も本年度中に防止要綱をまとめ、市教委内の窓口を制度化する。東近江市や竜王町は市町教委の窓口を改めて周知した。

 

 課題に直面している自治体もある。豊郷町は「小規模の自治体は少ない職員が業務を掛け持ちしており、ハラスメント対応に焦点を当てた業務は難しい。国や県から専門家の派遣など支援があれば」とする。湖南市では、市教委内の窓口について「市教委内部の人員だけで十分か」「外部の人員を入れるとしたら何人必要か」などの議論があった。野洲市は「市教委には教員もおり、本来は第三者による窓口がいい」と打ち明ける。

 

 望ましい相談体制について、県教委の福永忠克教育長は「内部の職員や学校の管理職が相談に応じる体制にとどまっているのは課題。市町の教委と連携し、相談しやすさを重視して取り組みを進めたい」と話す。

 

 現場の教職員の声は切実だ。草津市が市職員や市立の小中学校の教職員に行ったハラスメントについてのアンケートによると、過去5年以内にパワハラやセクハラに遭ったと回答した教職員がそれぞれ63人と20人だったのに対し、窓口に相談したと回答したのはパワハラ1人、セクハラ0人。相談することで「個人情報が守られないのではないか」「異動などの不利益を被るのでは」などの不安を抱えていることも分かった。

 

 市は7月、有識者らによる第三者会議を設置。ハラスメント防止指針の作成に向けて助言を求めている。今月9日の会議では、アンケート結果を受けた委員から「職場の研修が不十分だと、加害者が処分を受けた際に被害者が責められる」などの問題点が指摘された。「被害者は不利益を被る不安などから上部へ報告されるのを拒むことがある。しかし報告しなければ同じ環境が常態化する危険性がある。どこまで被害者の思いをくみ取るのかは議論すべき」などの意見も出た。

 

 県内の公立学校に勤務する男性教諭は「外部の相談窓口があっても、教委から独立性を担保できる形でなければ安心して相談できない」と漏らす。職場のハラスメント問題に詳しい大島麻子弁護士は「単純に相談ルートを増やせばいいというわけではなく、相談から解決までの道筋を目に見える形で示すことが大事」と話す。


《カウンセラー松川のコメント》

ハラスメント相談窓口を内部に設置するのが最も簡単ではあると思います。
そして、内部の相談員ならば業務内容等も承知している事が多いので、
状況把握もし易いのです。
相談者が業界用語や専門用語を用いた相談でも理解し易いでしょう。
この様に内部相談窓口にも長所はあります。
しかし、内部設置なだけに相談員から関係者に話が漏れる心配も発生します。
相談員が顔見知りであれば加害者について実名を挙げなくても
判明してしまう可能性も高いでしょう。
弁護士は記事内で「ルートを増やせばいいという訳ではない」との事ですが、
理想論を語るよりは相談者が安心出来る為ならば
先ずは外部相談窓口も設置して相談者に安心感を与えることが先決です。

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