2024年1月15日月曜日

近大生「一気飲み」後死亡、元学生らが遺族に解決金計5090万円の支払いで和解

近大生「一気飲み」後死亡、
元学生らが遺族に解決金計5090万円の支払いで和解

 

2024年1月15日() 18:23 読売新聞

 

2017年にテニスサークルの飲み会で一気飲みし、死亡した近畿大2年の登森(ともり)勇斗(はやと)さん(当時20歳)の両親が、飲み会に参加した元学生らに損害賠償を求めた訴訟は15日、大阪高裁で和解が成立した。両親の代理人弁護士によると、元学生16人が両親に謝罪し、解決金として計5090万円を支払う内容という。

 

 登森さんは17年12月の飲み会で大量に飲酒した後、急性アルコール中毒になり、翌朝まで病院に搬送されずに死亡した。

 

 両親は20年7月、元学生ら18人と近大に約1億500万円の損害賠償を求めて提訴。近大とは再発防止策の徹底などを条件として和解した。元学生に対する昨年3月の1審・大阪地裁判決は、危険性の認識があったとして救護義務違反を認め、16人に約4200万円の賠償を命じた。元学生12人が控訴していた。

 

 控訴審で高裁は、飲み会の参加者が一気飲みをはやし立てた行為について「アルコールハラスメントに該当する」と指摘し、和解を提案。解決金には1審判決の賠償額に遅延損害金などが加えられたという。

 

 両親は「関わった学生らは、命の重さを十分に認識し、今後の人生を歩んでもらいたい」などとするコメントを出した。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

一気飲みの後に死亡、両親と学生が和解 高裁「コールはアルハラ」

 

2024年1月15日() 18:08 朝日新聞(森下裕介)

 

 近畿大(大阪府東大阪市)の登森勇斗(ともりはやと)さん(当時20)が201712月、サークルの飲み会で飲酒後に急性アルコール中毒で死亡したことをめぐり、両親が「一気飲みをさせた」として、同席した学生ら(当時)に損害賠償を求めた訴訟は15日、大阪高裁で和解が成立した。両親側の代理人弁護士によると、学生ら16人が登森さんの死亡について陳謝し、計5090万円を支払う内容。

 

 昨年3月の一審・大阪地裁判決は、一気飲みを促した学生や、飲み会後に登森さんを別の学生宅に運び込んだ学生ら16人について救護義務違反を認定。計約4200万円の賠償を命じたが、違法な飲酒の強要はなかったとした。

 

 高裁は和解に先立ち、強要がなくても、その場を盛り上げる「コール」や「場の空気」で登森さんに心理的な強要が働いたと指摘。当時の飲み会は「アルコールハラスメントに該当する」との所見を示したという。

 

 和解を受け、両親は「アルコールハラスメントで命を落とした学生は数多くいる。昏睡(こんすい)状態で放置せず、救急車を呼べば救われることを再認識してほしい」とコメントした。

 

 

 

飲み会参加者ら16人が連帯賠償 近大生一気飲み死、高裁で和解

 

2024年1月15日() 18:05 毎日新聞(鈴木拓也)

 

 近畿大(東大阪市)の2年生だった登森勇斗(ともり・はやと)さん(当時20歳)が2017年、テニスサークルの飲み会で一気飲みをした後に急死した事故を巡り、飲み会の参加者らに両親が計約1500万円の損害賠償を求めた訴訟は15日、大阪高裁で和解した。参加者ら16人が連帯して5090万円を支払い、登森さんが亡くなったことに対して謝罪するとの内容。

 

 登森さんは1712月、飲み会でウオッカを一気飲みするなどして意識を失い、翌朝まで病院に搬送されずに死亡した。16人は、飲み会に参加していた23年生の10人と、「介抱役」として飲み会後に駆け付けた2年生6人。

 

 両親の代理人によると、高裁は和解にあたり、飲み会の参加者が登森さんに一気飲みをはやし立てる「コール」を掛けたことについて「アルコールハラスメントに該当する」との考えを示した。両親は代理人を通じて「勇斗を失った悔しさや心の傷が癒えることは決してありません。関わった学生らは命の重さを十分に認識し、今後の人生を歩んでもらいたい」とコメントした。

 

 233月の1審・大阪地裁判決は、参加者10人が総額約4220万円を賠償し、このうち約2530万円は介抱役の6人も連帯して支払うよう命じていた。

 

 

 

近大サークル「一気飲み」裁判 死亡した学生の両親と学生ら和解
 高裁の所見「大きな意味ある」と両親

 

2024年1月15日() 17:19 関西テレビ

 

近畿大学の学生が飲み会で「一気飲み」をして死亡し、両親が学生らに賠償を求めた裁判で和解が成立しました。

 

2017年、近畿大学2年生だった登森勇斗さん(当時20歳)は、サークルの飲み会でウォッカなどを「一気飲み」し、急性アルコール中毒の影響で死亡しました。

 

登森さんの両親は適切な処置をしなかったなどとして、飲み会に参加するなどした学生18人に損害賠償を求める裁判を起こしていました。

 

大阪地裁は去年3月、「放置すれば死亡する危険のある状態と認識していたのに救急隊の要請などを行わなかった」と指摘。飲み会に参加していた学生10人にあわせておよそ4200万円、介抱した学生ら6人にあわせておよそ2500万円の損害賠償を命じていました。

 

このうち学生12人が大阪高裁に控訴していましたが15日、16人が和解金としてあわせて5090万円を支払うことなどで和解が成立しました。

 

両親の代理人によると大阪高裁は1審で認められなかった「アルコールハラスメント」について認めたほか、適切な救護を行わなかったことは「保護責任者遺棄致死罪にも値する行為」との所見を示したということです。

 

登森さんの両親は、この所見は「非常に大きな意味がある」とし、「救急車を呼べば確実に命が救われることを再度認識してもらいたい」とコメントしています。

 

 

 

近大生一気飲み死で和解 コールは「心理的強要」 大阪高裁

 

2024年1月15日() 16:13 時事通信

 

 近畿大(大阪府東大阪市)テニスサークルの飲み会で2017年、一気飲みをして死亡した2年生の登森勇斗さん=当時(20)=の両親が、飲み会に参加した元学生ら16人に損害賠償を求めた訴訟は15日、元学生らが計5090万円を支払い謝罪する条件で大阪高裁(阪本勝裁判長)で和解が成立した。

 

 

 一審大阪地裁は昨年3月、一部学生の救護義務違反を認めて計約4200万円の支払いを命じたが、飲酒の強要は認めていなかった。

 

 高裁は和解所見で「一気飲みコールと場の空気による心理的な強要が働いた」として、アルコールハラスメントに該当すると指摘した。 

 

 

 

「救急車を呼べば救われた命」
 近大サークル“一気飲み”死亡事故
 学生ら 和解金約5000万円で両親と和解

 

2024年1月15日() 14:39  ABCテレビ

 

 2017年、近畿大学2年生だった登森勇斗さん(当時20)がサークルの「飲み会」でウォッカを一気飲みして死亡した事故をめぐり、登森さんの両親が「短時間に大量の酒を飲ませた」などとして当時同席していた学生ら18人に損害賠償を求め、1審が16人に賠償を命じた裁判の控訴審で、16人が登森さんの両親に和解金として計約5000万円を支払うことなどを条件に、和解が成立しました。

 

 登森さんは2017年12月、サークルの飲み会でウォッカなどの一気飲みを繰り返し、急性アルコール中毒が原因で死亡しました。

 

 登森さんの両親は、「飲酒の強要などがあった」として同席していた学生ら18人に対し、損害賠償を求めて提訴。

 

 1審判決で大阪地裁は、飲酒の強要はなかったとする一方、「登森さんが危険な状態にあると認識しながら、適切な措置をとらなかった」と認定し、18人のうち16人に計約4200万円の賠償を命じていました。

 

 当時の学生側の12人が一審判決を不服として控訴し、両親側も控訴して、大阪高裁で審理が続いていました。

 

 両親の代理人弁護士によりますと、控訴していない当時の学生側の4人も含めた16人と、15日付で和解が成立したということです。

 

 和解は両親への謝罪に加え、1審判決の賠償金額に遅延損害金などを足した計5090万円の和解金の支払いが条件となっています。

 

 登森さんの両親は、「たった1本電話をかけて、救急車を呼んでさえいてくれたら、勇斗の命は確実に救われていました。勇斗以外にも、アルコールハラスメントや救急車を呼ばれなかったことで命を落とした学生は数多くいます。昏睡状態にありながら放置をすると命を落とすこと、そして、救急車を呼べば確実に命が救われることを再度認識してもらいたいと思います」などとするコメントを、弁護士を通じて発表しています。

 

 

 

「飲酒強要なくてもアルコールハラスメントに該当」
近大生一気飲み死亡訴訟
 両親と学生らとの和解成立

 

2024年1月15日() 14:16 読売テレビ

 

 2017年、近畿大学の男子学生が、サークルの集まりで酒の一気飲みを繰り返したあと死亡した事故で、両親への賠償命令を受けた学生らの一部が控訴していた裁判で、15日、両者の間で和解が成立したことが分かりました。

 

 201712月、近畿大学の2年生だった登森勇斗さん(当時20)は東大阪市内の居酒屋で開かれたテニスサークルの飲み会で、ビールやショットグラス約20杯分のウオッカを一気飲みしたあと呼びかけに応じなくなり、救急車を呼ばずに他の学生の自宅に運ばれましたが、翌朝、急性アルコール中毒で死亡しました。

 

 登森さんの両親は、飲み会に参加した学生や介抱にあたった学生が適切な救護を怠ったとして、賠償を求める裁判を起こしました。

 

 大阪地裁は20233月の一審判決で、飲み会に参加していた学生ら10人について「飲酒の強要は認められなかったものの、参加者全員で一気飲みをはやしたてるコールをかけるなど、登森さんが多量の飲酒を行っていたことを認識していた」と指摘したうえで、「放置すれば死亡する危険のある状態に陥っていることを認識しながら、救急隊の要請などをしなかった」として、約4220万円を登森さんの両親に支払うよう命じる判決を言い渡しました。

 

 また、飲み会の後に介抱にあたるなどした学生ら8人のうち6人についても、救護義務違反が認められるとして、2500万円あまりを支払うよう命じました。

 

 その後、賠償命令を受けた学生16人のうち12人が判決を不服として控訴していましたが、両親の代理人弁護士によりますと大阪高裁が双方に和解を勧告し、15日、控訴していなかった4人の学生を含む16人が、両親に対して和解金5090万円を支払う条件で和解が成立したということです。

 

 大阪高裁は一審では認められなかったアルコールハラスメントについて「物理的な飲酒の強要がなかったとしてもコールと場の空気による心理的な強要が働くのであって、アルコールハラスメントに該当する」と所見を示したほか、「救護義務違反が認められ、その結果は死亡という重大なもので、人により関与の程度に濃淡はあるが保護責任者遺棄致死罪にも値する行為である」としました。

 

 両親は近畿大学に対しても賠償を求めていましたが、大学側が学生への啓発活動など再発防止の取り組みを徹底することなどを誓ったため、すでに和解が成立しています。

 

 また飲み会に参加した18人の学生のうち、先に帰宅した人を除いた12人について、大阪府警が20195月、保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検しました。

 

 そのうち9人については検察が過失致死罪で略式起訴し、大阪簡裁が罰金30万円から50万円の略式命令を出していました。

 

■両親のコメント(以下全文原文ママ)

 和解を受け、両親は報道機関にコメントを寄せました。

 

「本日、民事裁判において和解が成立しました。

 

 和解をするにあたって、裁判所から、勇斗に対して一気飲みを囃し立てる行為が『たとえ物理的な飲酒の強要がなかったとしても、コールと場の空気による心理的な強要が働くのであって、アルコールハラスメントに該当する』こと、また、急性アルコール中毒により放置すれば死亡する危険な状態にあったにもかかわらず、救急隊の出動を要請せず勇斗をそのままにしておいたことが『保護責任者遺棄致死罪にも値する』との所見が示されました。

 

 これらは、私たちが裁判を行うにあたって、非常に重視していた点です。勇斗に一気飲みを囃し立てるのはもってのほかですが、何より、たった一本電話をかけて、救急車を呼んでさえいてくれたら、勇斗の命は確実に救われていました。

 

 本件に関わった学生らが救急車を呼ばなかったのは、サークルや自分の将来のことを考えて保身に走り、また、救急車を呼ばなかったことが罪に問われる前例が無かったからだと考えています。

 

 しかし、救急車を呼ばずに昏睡状態にある者を放置し、死に至らしめることは、保護責任遺棄致死罪に値するのです。その意味で、今回の裁判所の『保護責任者遺棄致死罪にも値する』との所見は、非常に大きな意味があると私たちは考えています。

 

 息子を失って7回忌の法要を終えたところです。世間はこの報道に触れて、やっと終わったのかと思うかもしれません。

 

 しかし、この事件はまだ終わっていません。勇斗以外にもアルコールハラスメントや救急車を呼ばれなかったことで命を落とした学生は数多くいます。昏睡状態にありながら放置をすると命を落とすこと、そして、救急車を呼べば確実に命が救われることを再度認識してもらいたいと思います。

 

 また、大学においては、このような事件が二度と起きないように、改めて周知徹底してもらいたい。本日の和解で民事事件は終わりますが、本件のような事故を二度と起こさないための、全ての取組みのスタートであって欲しいと願っています。

 

 本件に関わった学生らは、命の重さを十分に認識し、今回の罪に向き合いながら、今後の人生を歩んでもらいたい。勇斗は生きたかった。本人が一番悔しかっただろうと思います。私たちの、勇斗を失ったことへの悔しさや心の傷が癒えることは決してありません。」


《カウンセラー松川のコメント》

事件発生から約6年を経て、高裁レベルでの和解成立となりました。
サークルのコンパでの一気飲み、筆者は昭和末期の学生ですが、
その時には既に当たり前の様に行われていました。
しかし、この様な死亡事故により、現在では社会的に一気飲みは禁忌事項でしょう。
ところが、飲んだ側と飲ませた側の当事者間問題は、まだ続いていたのです。
6年と言えば、当時の大学一年生でさえ卒業し、社会人になっているだけの年月です。
当然、飲ませた側は「民事訴訟の被告人」であり、
しかもその訴訟事件が一気飲みで死亡させたとなれば、
就職や昇進にも影響があるでしょう。
「決して無理強いをした訳ではない」としても、そこには「同調圧力」も働きますし、
若さ故の過ちとも言える無理もあったでしょう。
昔は、酔って調子を崩せば「そこら辺に寝かせておけ」が当たり前でしたが、
事件当時であれば既に急性アルコール中毒と言う症状も知られていたので
成人であれば、それを疑うのも当然と言われても仕方ないでしょう。
担当裁判長である大阪高裁の阪本勝判事による「アルコールハラスメント」の指摘は
画期的であると言えるでしょう。

御遺族の皆様へ
事件から6年。無念の第一審判決から控訴審での和解。
共に長い時間だったと思います。
飲酒の物理的強要がなくても、強要する環境が有った事を裁判長が認めた事は
非常に大きな進歩であったと思います。
そして、和解の受け入れも苦渋の決断であったと思います。
判決として確定する事なく、この事件を終結させるのもまた無念でしょう。
しかし、早期の解決も一つの供養になると信じて、
新たな一歩を進めるのも選択だと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿