2026年5月4日月曜日

[精神科産業医がアドバイス]社内でパワハラ事案発生! 指導とパワハラを分けるのは?…書類のミスひとつにも注意するか悩む管理職

[精神科産業医がアドバイス]社内でパワハラ事案発生!
 指導とパワハラを分けるのは?
…書類のミスひとつにも注意するか悩む管理職

 

2026年5月4日() 7:03 読売新聞

 

産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」

 精神科産業医として45年以上のキャリアを持つ夏目誠さんが、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。

 

 精神科産業医をしていますが、研修会や雑談でよく聞くのが「若い部下への注意をどのように行えばよいか」という管理職の悩みです。若手社員に注意をすると、「叱責された」「言い方がきつい」「パワハラではないか」と受け取られないかという葛藤や不安が生じるようです。「注意するとパワハラと言われるかもしれない」と考えて指導が止まりがちな職場が増えています。指導とパワハラを分けるものを考えます。

 

注意をためらうと、管理職の役割が果たせない

 注意をためらう上司が増えているようです。そうなると管理職の役割が果たせないだけでなく若手社員は気づかないまま仕事を続けます。その結果、仕事のマスターが遅れ、成長が期待できなくなり、組織全体に悪い影響が生じるのです。このようなジレンマは職場における重要なテーマになっています。

 

 食堂で偶然出会った加山経理課長(仮名)と雑談をしているうちに、話題は若い社員の指導に移りました。少し込み入った内容になりそうだったため、食後に相談室で改めて話を聞くことにしました。

 

加山課長: 実は、入社2年目の女性社員の件で迷っているのです。

 

産業医 : どのようなことでしょうか。

 

加山課長: 1年目は大目に見ていたのですが、小さなミスが時々発生しています。書類で誤字脱字が目につくとか、敬語の使い方が間違っているといった大した内容ではないのですが、一度注意しました。ところが、また最近、同じようなミスが生じています。

 

産業医: 同じミスが続いているのですね。

 

叱責に暴言もあり、パワハラとされた

加山課長: はい。最近、社内でパワハラ騒動がありまして……。上司が若い社員を叱責し、暴言もあったようですが、社員からの告発で、社内で共有されることになりました。

 

 その際、担当の管理本部長は課長を一堂に集め、「ご承知のように社内でパワハラが発生した。叱責と暴言、部下の人格を否定する内容でした。管理者はパワハラに注意してほしい。業務指導の範囲を逸脱しないこと。言葉にも十分注意をする。若い社員には特に配慮をしてほしい」との強い要望がありました。

 

パワハラ発生後に慎重に

 それ以来、注意するのも慎重になっているんです。2回目の注意なので、きつい言い方にならないか、女子社員だからセクハラも気になります。パワハラと言われたらと思うと……。正直、言っても改まらないのだから、ほっておくかと弱気に。なんとなく仲間には相談しにくいので、悩んでいます。

 

産業医 : 同じような相談はよく受けます。特に真面目な管理職ほど悩まれますね。

 

加山課長: 過敏になりすぎですかね。事件がなければここまで悩みませんが。情けないと言う気持ちになって落ち込みます。

 

産業医 : そうは言っても管理職としての役割を果たす必要があります。今、伝えなければ、後で困るのは本人ですから。

 

加山課長: パワハラって抽象的な言葉です。どこまでが注意指導で、こうなればパワハラ、その境界があいまいで分からない。暴言と言いますが、受け止め方ですから、なかなか線引きが難しい。どうすればよいでしょうか。

 

人ではなく、仕事の内容に焦点をあてた説明を

産業医 : 大事なのは、注意を仕事の内容のみに限定することです。その人に注意をするのでなく、うまくいかない仕事に焦点を当てる。ここがポイントです。

 

加山課長: う~ん。結局、注意する言葉は同じになりませんか?

 

産業医 :例えば、こんな感じでしょうか。「ここにある書類に販売先の会社名がありますが、お客様相手の場合、『御社』と表現すれば丁寧になります。今後、そうしてください」

 

加山課長: ああ、なるほど。仕事のルールとして伝えれば、感情的にならずにすむということですね。

 

産業医 : 人に関心が向かうと、「前も注意したのに、同じミスをまたして」というふうに感情的にもなりますが、仕事に向ければ冷静に伝えられます。

 

指導の記録を残す

加山課長: ほかに気をつける点はありますか。

 

産業医 : パワハラが気になるのであれば、指導内容を記録に残してください。(メモを取り出して)例えば、「51日 午後2時 ○○さんに2回目の業務指導を実施。内容は書類記載に関して。対応策として〇〇を提案」といった形です。

 

加山課長: 記録に残すのですね。

 

産業医 : はい。これは単なる防衛策ではなく、適切な指導の証明になります。万が一、パワハラと誤解された場合にも、「業務上必要な指導であった」と説明できます。

 

事実を伝える

 部下を指導する際に大切なのは、以下の3点です。

 ・人ではなく「仕事」に焦点を当てる 

 ・感情的にならずに「事実」を伝える 

 ・必要に応じて指導内容を「記録に残す」 

 適切な指導はパワハラではありません。むしろ、部下を守る行為でもあるのです。


《カウンセラー松川のコメント》

ハラスメントが独り歩きしている状態です。
自分が気に入らなければハラスメントにしてしまう。
ハラスメントの被害申告を受ければ、窓口としても対応せざるを得ない。
加害者とされた人は悪意の有無が無くても、調べられてしまう。
多少のことで指摘をしてハラスメントの加害者に仕立て上げられたら堪らない。
だから、細かい指導はしないに越したことはない。
この様にして、職場の能力低下や雰囲気の悪化は進行します。
家庭環境等から厳しさを知らずに社会へ出てしまったことから端を発し、
面白がって報じたマスコミにも責任の一端はあるでしょう。
ハラスメントの被害者が居ない訳ではありません。
しかし、何でもハラスメントにして逃げ得をしようとしている者達により、
社会が悪い方向に向かっている現状は悲しむべきです。

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