佐賀・吉野ケ里町パワハラ問題…自殺した職員、生前の訴え
到底納得できない町長の「卒業」発言
2026年5月8日(金) 12:21 西日本新聞
記者コラム
4月12日に投開票された佐賀県吉野ケ里町長選の結果を複雑な思いで見ていた人がいる。3選を決めた伊東健吾氏(78)からパワハラ発言を受けた元財政協働課長の男性の妻である。男性は2024年11月に自殺した。伊東氏のパワハラが原因で自殺したとして、妻は自殺とパワハラの因果関係を含めた再調査を求めている。(竹中謙輔)
12日夜、当選が決まった伊東氏は報道陣に「パワハラ問題は卒業させていただき、まちづくりに専念する」と述べた。ニュースを見た妻にとって耳を疑う発言だった。「終わったつもりはない。びっくりする発言で残念だ」
4月7日から始まった選挙戦では、パワハラ問題を批判する候補者もいた一方、伊東氏を応援した町議の一人は「(パワハラは)ぬれぎぬ」と町民ら大勢の前で発言した。伊東氏から積極的にパワハラ問題が語られることはなかった。
期日前投票を終えた町民を取材すると、「真実が分からないので投票の判断材料にはできない」(60代男性)、「言葉の暴力だ。一人の人が亡くなったので絶対許せない」(70代女性)などパワハラ問題についての意見はさまざまだった。
私は男性が亡くなる前、本人から直接訴えを聞いていた。男性は町の財政運営に疑問を持ち、新庁舎建設に伴う大型事業の延期を伊東氏に提案しており、町の財政の問題点を理路整然と語った。
町の将来を本気で考えての進言だった。それだけに町長から受けた「俺が(担当を)代えてやる。どこさでも行ってこい。財政(担当課長)ならもっと建設的な意見を言え」などの発言に心を痛めている様子が伝わってきた。
町の第三者委員会の報告書にも「(男性は)周囲から親しまれ、財政に精通している有能な職員だった」と結んである。私としても亡くなったことに悔しい思いが消えることはなく、町長の冒頭の「卒業」発言は到底納得できないものだった。
福岡県のある自治体で、首長のパワハラを第三者委の一員として調査した弁護士に話を聞いた。吉野ケ里町の第三者委のメンバー3人が弁護士のみで構成されたことに注目し、「自殺とパワハラの因果関係を調査するには医師など専門家が必要。町が初めから詳しい調査をする気がないように思う」と指摘する。
妻は「町は主人や遺族に対して心ある対応をすることはなかった」とし、「二度とこのようなことが起きないよう、なぜパワハラが起きたかの根本を明らかにし、自殺との因果関係を調査してほしい」と訴える。
伊東氏の「卒業」発言からは「選挙で審判を受けたのでこの問題を終わらせたい」という意図が透けて見える。遺族はいまも複雑な気持ちを抱えている。町には改めて誠意ある対応が求められる。
《カウンセラー松川のコメント》
拙ブログ4月14日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: ▼パワハラ「終わってない」と遺族 吉野ケ里町長の卒業発言に
これの続報です。
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