2023年12月27日水曜日

▼息苦しくてブラウスのボタン外した女子生徒に教諭がセクハラ発言…防止指針作成

息苦しくてブラウスのボタン外した女子生徒に教諭がセクハラ発言
…防止指針作成

 

2023年12月27日(水) 08:53 読売新聞

 

 福岡県・筑後地域の県立高校で昨年3月、当時2年生だった女子生徒が男性教諭からセクハラ発言を受け、一時登校できなくなった。学校側はセクハラ発言があった翌日、男性教諭と生徒を引き合わせるなど不適切な対応を取っていた。この事案がきっかけとなり、同校は教職員から生徒に対するセクハラやパワハラを防ぐための独自のガイドライン(指針)を作成した。(大石健一、佐々木道哉)

 

 関係者や同校によると、セクハラ発言があったのは自習の授業中。男性教諭(50歳代)が、制服のブラウスの首元のボタンを留めていなかった女子生徒を見て、隣の席の男子生徒に大声で「セクシー女優だよな。かわいいと思うか」と聞いた。女子生徒は息苦しかったため、一番上のボタンを外して授業を受けていた。

 

 女子生徒は翌日、担任教諭にセクハラ発言のことを伝えたが、「君にも非があったよね」「そういう発言の多い先生だから」などと言われ、ショックで過呼吸を起こし、5時間目の授業に出られなかった。

 

 さらに放課後、空き教室で学年主任らが立ち会う中、男性教諭と引き合わされた。教諭は謝罪したものの、「性的におとしめようとしたわけではない」「こういう発言は信頼関係がないとできない」などと釈明した。

 

 教諭はまもなく別の学校へ異動したが、生徒は女子の制服を見るとセクハラ発言が思い出され、制服を着ることができなくなるほど傷ついたという。新年度からは学校の許可を得て、詰め襟の男子の制服を着て登校したが、心身の不調で休みがちになり、医療機関を受診。再び登校できるようになるまでの間、オンラインで授業を受けるなどし、今春、卒業した。

 

 生徒と母親は、セクハラ被害を申し立てた直後に教諭に引き合わせたことや、相談窓口やスクールカウンセラーの来校日が生徒に周知されていなかったことから「学校側の対応で2次被害を受けた」と話す。

 

 ガイドラインの作成は、自らも臨床心理士としてセクハラや不登校などの問題に取り組んできた生徒の母親が学校に働きかけた。

 

 ガイドラインでは、教職員から生徒へのハラスメントについて、「教職員が権力関係を用いて不適切または不当な言動を行い、これによって生徒が精神的・身体的な苦痛を受け、学校生活で不利益や損害を被ること」と定義。セクハラやパワハラ、アカデミック・ハラスメントなど種類ごとに、教職員が注意すべきことや基本的な心構えを明記し、相談窓口の設置などを定めている。

 

 学校側は教諭のセクハラ発言について「大変申し訳ないと思っている。ガイドラインに基づき、教職員の研修などに取り組んでいきたい」としている。今年度、教職員を対象に専門家によるセクハラ研修を行った。

 

 母親は「学校とのやり取りを通じて、教職員から生徒へのハラスメントが想定されていないと感じた。今回の出来事を次につなげていくために何かできないかと考え、セクハラ防止のためのマニュアル作りに協力した」と話す。教職員から生徒へのハラスメント防止のガイドラインを独自に作成している学校は珍しいといい、他の学校でも整備が進むことを願っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿