2023年1月20日金曜日

▼北九州市の元非常勤職員自殺 遺族側の請求棄却 福岡地裁判決

北九州市の元非常勤職員自殺 遺族側の請求棄却 福岡地裁判決

 

2023年1月20日(金) 19:29 毎日新聞(平塚雄太、林大樹

 

 2015年に自殺した北九州市の元非常勤職員、森下佳奈さん(当時27歳)の両親が、自殺の原因は上司のパワーハラスメントなどにあるとして市に遺族補償など311万円を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は20日、請求を棄却した。小野寺優子裁判長は「公務と自殺との間に相当因果関係を認めることはできない」と判断した。両親は控訴するかを検討する。

 

 森下さんは12年4月に非常勤職員として採用され、戸畑区役所の子ども・家庭相談コーナーの相談員として勤務。しかし、13年1月ごろに休職してうつ病と診断を受け、13年3月に退職し、15年5月に自殺した。

 

 遺族側は、区役所の当時の上司が個室で約2時間にわたり森下さんを叱責するなどしたほか、困難な業務を担当させられて強い心理的負荷があったと主張。業務によりうつ病を発症し、自殺に至ったと訴えた。一方、市側はパワハラなどはなかったと反論した。

 

 小野寺裁判長は、自殺したのは区役所の退職から2年2カ月後で、その間に別の仕事をしていた時期があると指摘。「新たな職場での業務負荷等でうつ状態が長引き、その仕事を退職したことや、退職後の経済的不安が(自殺の)大きな負荷要因となった」と判断した。うつ病を発症した原因が区役所の公務かどうかは明示しなかった。

 

 判決後、福岡市内で記者会見した母真由美さん(60)は「娘が『死にたい』と言ったのは区役所に勤務していた時だけだ。とても納得がいかない」と肩を落とした。北九州市の北橋健治市長は「ご冥福を心からお祈りします。判決は、これまでの主張が認められた」とのコメントを出した。

 

 森下さんの両親は、公務災害(労災)が非常勤を理由に認められず精神的損害を被ったとして、市に損害賠償を求める訴えも起こし、敗訴が確定している。ただ、総務省が18年7月、非常勤職員の労災補償請求権を広く認めるよう自治体に通知するきっかけとなり、北九州市も関連条例の施行規則を改正した。

 

 ◇母、無念「残念でつらい」

 

 「残念で、つらいです」。森下佳奈さんの母真由美さん(60)は判決後の記者会見で、涙を流しながら無念の表情を浮かべた。

 

 真由美さんによると、森下さんは中学生の時に臨床心理士を志し、学生時代から努力を続けてきた。戸畑区役所での勤務時も、障害のある人の力になりたいと常々話し、資格取得に向けて勉強していたという。

 

 その最中、森下さんが自らの死について初めて語ったことがあった。真由美さんは「娘に『職場から逃げなさい』と言えなかったことを後悔している。良い判決で娘と一緒に一歩踏み出したいと考えていたが、それもできそうにない……」と声を震わせた。

 

 会見に同席した代理人弁護士の1人は、判決が仕事と病気の因果関係に触れていないとして「不誠実だ。人一人の死に対し、因果関係に触れないのは許しがたい」と憤った。【林大樹】

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

“パワハラ自殺”遺族補償訴訟 福岡地裁請求棄却 

 

2023年1月20日(金) 19:00 九州朝日放送

 

北九州市の非常勤職員だった女性が上司のパワハラなどが原因で自殺したとして、両親が北九州市に遺族補償を求めていた裁判で、福岡地裁は遺族側の請求を棄却しました。 この裁判は、2012年から2013年に非常勤職員として北九州市戸畑区役所に勤めていた森下佳奈さん(当時27歳)が、退職後の2015年に自殺したのは上司による嫌がらせなどが原因などとして、両親が北九州市に対し公務災害としての遺族補償金など、合わせて約310万円の支払いを求めていたものです。

 

20日の判決で、福岡地裁の小野寺優子裁判長は、退職から自殺までに2年以上が経っていることから「公務と自殺との相当因果関係を推認することはできない」「奨学金返済のため、退職後の経済的な不安が自殺直前の大きな負荷要因になったものといえる」などとして、遺族側の請求を棄却しました。

 

判決後の会見で、佳奈さんの母親は「娘が仕事を辞めて頑張って生き抜いた時間を無視し、それだから関係ないと言われたことがつらいです」と話しました。

 

控訴については検討中としています。

 

一方、北九州市の北橋市長は「ご冥福を心からお祈り申し上げます。尚、判決については、これまでの主張が認められたものと考えております」とコメントしています。

 

 

 

北九州市の元非常勤職員自死、パワハラ「因果関係ない」 地裁判決

 

2023年1月20日(金) 18:30 朝日新聞

 

 在職中にうつ病を発症後、自殺した北九州市の元嘱託職員森下佳奈さん(当時27)の両親が、市に遺族補償など約310万円を求めた訴訟の判決が20日、福岡地裁であった。小野寺優子裁判長は「公務と自殺の因果関係を推認できない」とし、請求を棄却した。

 

 判決などによると、区役所で子どもや家庭問題の相談員をしていた森下さんは、採用から約9カ月後の2013年1月、心身の不調を訴えて休職。うつ病と診断された。2カ月後に退職しても改善せず、15年5月に自殺した。

 

 両親側は、残されたメールのやりとりなどから、上司に長時間の叱責(しっせき)を受けたり、退職を強要されたりし、うつ病になったと主張。市側は「上司の指導は正当な業務の範囲」と反論していた。

 

 判決は、森下さんが叱責を受けて涙を流したことなどは認めたが、自殺が退職の2年2カ月後だったことから、次の職場での問題や経済的な不安が「要因になった」と結論づけた。

 

 森下さんの母、眞由美さん(60)は判決後、「娘が退職後、がんばって生きていたせいで請求が認められなかったかのように感じ、悔しいし、娘に申し訳ない」と声を詰まらせた。

 

 原告側の弁護人は「そもそも上司による指導がパワハラであったか、公務とうつ病の発症に因果関係があるかについて、一切言及せず切り捨てられた。不誠実だ」と述べた。

 

森下さんを巡っては、死亡後に両親が労災認定の手続きをしようとした際、市が「非常勤職員は、条例で本人や遺族は請求できない」と回答。母親が当時の総務相に手紙を書き、問題があると訴えた。これを受け、総務省は18年7月、全国の自治体に対し、非常勤職員らも請求できると条例に明示するよう通知。北九州市も制度を改めた。(中山直樹)

 

 

 

北九州市の元非常勤職員自殺、「上司のパワハラが原因」とする両親の訴え棄却

 

2023年1月20日(金) 14:52 読売新聞

 

 2015年に北九州市の元非常勤職員の女性(当時27歳)が自殺したのは上司のパワハラや過重労働が原因だとして、両親が同市を相手取り、計約310万円の遺族補償などを求めた訴訟の判決が20日、福岡地裁であった。

 小野寺優子裁判長は公務と自殺の因果関係を認めず、請求を棄却した。

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