学生にふたりで食事要求「セクハラ」
高裁、早大元教授らへ賠償増額
2024年2月22日(木) 20:40 朝日新聞
早稲田大学教授だった文芸評論家の渡部直己氏からハラスメントを受けたうえ、被害を相談した別の教授の対応も不適切だったなどとして、元大学院生の女性が渡部氏と早大に計660万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁(増田稔裁判長)であった。高裁は、被告側に計約60万円の賠償を命じた一審・東京地裁判決を変更し、賠償額を計約100万円に増やした。
原告の深沢レナさん(33)は2016年に早大院に入り、指導教員だった渡部氏から繰り返しセクハラやパワハラを受けたと訴えていた。
■高裁「指導教員は著しく優位」
地裁は、渡部氏が、雨にぬれた上着を脱いだ深沢さんに「裸だったらどうしようかと思った」、食事中に「卒業したら俺の女にしてやる」と発言したことは、「社会通念上許される限度を超えている」として違法と認定した。
高裁は、大学院の指導教員は「学生に対して著しく優位にあり、学生は望んだことでなくても、本音を言えず受け入れることも起こりえる」と指摘。地裁が違法とした行為に加え、渡部氏が度々深沢さんにふたりきりでの食事を求めたり、会食時に食べかけの料理を共有したりしたことを「内容や頻度、原告の心情、力関係に照らすと、セクハラ及びパワハラに当たる」と認定した。
早大教授のセクハラ
「卒業したら俺の女にしてやる」以外も新たに2審で認定…賠償額を増額
2024年2月22日(木) 20:34 読売新聞
文芸評論家で早稲田大学文学学術院の教授だった渡部直己(なおみ)氏(71)からセクハラなどを受けたとして、教え子だった作家の深沢レナさん(33)が渡部氏と同大に計550万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。増田稔裁判長は渡部氏と同大に計55万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決を変更し、賠償額を計88万円に増額した。
1審は、渡部氏が「卒業したら俺の女にしてやる」という趣旨の発言をしたことなどが不法行為にあたるとしたが、高裁は、2人きりでの食事を求めるなどした行為もセクハラやパワハラにあたると新たに認定した。相談を受けた別の教授の対応を巡り、同大に別途、支払いを命じていた賠償も5万5000円から11万円に増やした。
判決後に東京・霞が関で記者会見した深沢さんは「ある程度の前進はあったが、(心の)傷が癒えるわけではない。教員が学生に被害を与えることがあってはならない」と訴えた。
「自分の箸で食事シェア」もセクハラ認定
元早大教授らに賠償命令
2024年2月22日(木) 19:42 毎日新聞(斎藤文太郎)
早稲田大学大学院の教授だった文芸評論家の渡部直己氏から在学中にセクハラを受けたとして、元大学院生の女性(33)が渡部氏と早大に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(増田稔裁判長)は22日、渡部氏と早大に計99万円の支払いを命じた。2023年4月の1審・東京地裁判決から賠償額を約40万円増額した。
1審判決が違法性を否定した、食べかけの食事を渡部氏が自分の箸で女性とシェアした行為について、2審判決は、立場の弱い女性が食事に乗り気でなかった心情に照らし、「セクハラ及びパワハラに当たる」と認定した。早大の責任については、1審同様に適切な学習環境を提供する義務を怠ったとした。
判決によると、原告の詩人、深沢レナさんは15年9月に渡部氏が教授だった現代文芸コースに合格。17年4月に渡部氏と2人での食事中に「卒業したら俺の女にしてやる」などと言われた。相談した別の教授からも「あなたに隙(すき)があった」と言われ、18年3月に自主退学した。
早大は18年7月、深沢さんからの申告に基づき、渡部氏のセクハラを認めて解任した。
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