2024年2月2日金曜日

▼長時間労働は認めるもパワハラは認めず  自殺した標津町職員 町に賠償命じる判決 北海道

長時間労働は認めるもパワハラは認めず
  自殺した標津町職員 町に賠償命じる判決 北海道

 

2024年2月2日() 19:47 札幌テレビ

 

北海道標津町の職員、鈴木雄大さん(当時24)が自殺したのは、長時間労働や上司のパワーハラスメントでうつ状態になったためだとして両親が標津町に損害賠償を求めていた裁判で2日、釧路地裁が判決を言い渡しました。

 

鈴木さんは町職員として勤務していた20197月、標津町内で自殺しているのが見つかりました。

 

両親は、鈴木さんは当時1か月170時間以上の時間外労働や上司から暴言や無視などのパワハラで精神的に追い込まれたと主張。

 

さらに町側が再発防止策に関する質問状に対し、回答を拒否するなど真摯に向き合っていないとして約1900万円の損害賠償を求め提訴していました。

 

一方、町側は長時間労働と業務管理上の安全配慮義務違反を認めていましたが、パワハラの事実はなく、プライベートでも親交があり、良好な関係だったと主張していました。

 

2日の判決で釧路地裁は標津町に安全配慮義務違反があったと認定しおよそ8400万円を両親に支払うよう命じました。

 

一方でパワハラについては違法性を認めず、上司の飲み会や職場での叱責が適切だったとは言えないが、執拗に怒鳴ったり精神的な攻撃とは認められず、社会通念上の許容限度を超えていない。

 

さらに飲み会の時に職員の送迎役が多かったことについても、上司が命令していたとまでは認められないとしました。

 

判決を受け、父親の省三さんは「ある程度は満足しているが金額が重要ではなくパワハラが認められなかったのは悔しい。」

 

標津町に対しては「職員(息子)を大事にしていれば防げた」と語りました。

 

母親の龍子さんは「町側から半分くらいは息子にも否があると言われたが、判決では否定されほぼ満足な判決だった。役場は隠蔽体質で閉鎖的。パワハラを見逃さない職場になってほしい。」」と訴えました。

 

両親と弁護団は判決内容を検討し控訴するか判断するとしていて標津町には真摯に受け止め、2度とこのような悲劇を生まないよう労務管理を徹底してほしいとしています。

 

●原告、被告の主張

 

(両親)4人体制で多忙だった担当課で経験豊富な上司が人事異動し人員も削減された。

 

(標津町)異動で正職員が1人減ったが大きな割合を占めていた業務が所管替えされた。

 

その後は順次2人の臨時職員を採用し5人体制になった。

 

(両親)業務量が23倍に増えたのに担当する実務を1人で対応。

 

クレームや苦情が増え精神的に追い込まれ疲れ切っていた。

 

(標津町)採用した臨時職員1人を増員し2人での業務にした。

 

(両親)亡くなる直前は170時間以上の時間外労働だった。

 

(標津町)100時間以上の時間外労働を認め、安全配慮義務違反については積極的に争わない。

 

●パワハラの有無

 

(両親)飲み会で上司に呼ばれ1時間ほど会場を離れると直属の上司が激怒し罵声を浴びせ数日間は会話も拒絶された。

 

(標津町)事実があったとしてもパワハラと評価するのは無理がある。

 

普段からプライベートで親交があり病気の際にSNSで病状を気遣ったり冗談を言い合うやり取りをしていた。

 

(両親)異動した同じ上司の元に鈴木さんの仕事相手からクレームが入り大声で怒鳴りつけて叱責。

 

(標津町)厳しい指導だったとしても職務上の必要な助言や指導で継続的な罵倒ではない。

 

(両親)メールで上司に相談しても返信が来なかった。

 

(標津町)細かいニュアンスを伝えるため口頭で応えていて電話やメールでの返信を含めると全ての相談に対応していた。

 

(両親)飲み会の際に職員を車で送迎するよう命令、指示された。

 

(標津町)飲酒に消極的だったので送迎役が多かった。

 

上司が強要はしていない。

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