2022年1月19日水曜日

陸自隊員のパワハラ自殺、国に220万円賠償命令 熊本地裁 教官の違法な指導認定

陸自隊員のパワハラ自殺、国に220万円賠償命令
 熊本地裁 教官の違法な指導認定

 

2022年1月19日() 20:45 熊本日日新聞(中島忠道)

 

 陸上自衛隊西部方面隊に所属していた男性陸士長=当時(22)=が2015年、宿舎で自殺したのは教官のパワーハラスメントが原因として、両親が国と教官2人に約8101万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁(中辻雄一朗裁判長)は19日、「殺してやりたい」という発言など教官に違法な指導があったと認め、国に220万円の賠償を命じた。

 

 男性の自殺については、教官の指導との因果関係を認める一方、「指導が短時間にとどまっている点など自殺の予見は困難だった」と国の過失を否定した。原告側は控訴する方針。

 

 中辻裁判長は、自殺の前日に教官が男性の胸ぐらをつかんで揺すったり、「殺してやりたい」という趣旨の発言をしたりした行為について「心理的に追い詰められた状況をもたらした。教官の裁量を逸脱・乱用し、安全配慮義務違反に当たる」と指摘した。

 

 判決によると、男性は15年10月1日、長崎県内の教育部隊に入校。6日後に遺書を残して宿舎のトイレで自殺した。男性の自殺は18年8月、公務災害に認定された。

 

 判決を受け、男性の父親は代理人弁護士を通して「弱い立場の者を精神的に追い詰めれば死んでしまうことがあり得ることを軽視しており、受け入れられない」とした。西部方面総監部広報室は「判決を受け止め、同種事案の再発防止に努めていく」とのコメントを出した。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

自衛官自殺 暴行認め国に賠償を命じる判決【熊本】

 

2022年1月19日() 21:11 熊本県民テレビ

 

男性自衛官の自殺をめぐる裁判。国に賠償を命じる判決。

 

「お前のような奴を見てると殺したくなると言われた」

「毎日毎日吊し上げにされると思うとやり切れない」

 

2015年に自殺したのは陸上自衛隊第5陸曹教育隊の候補生だった当時22歳の男性。

 

この裁判は男性の自殺は教官2人からの嫌がらせや「殺してやりたい」との暴言のほか胸ぐらをつかむ暴行を受けたことが原因として、両親が教官2人と国に8100万円あまりの損害賠償を求めたもの。

 

国は暴行については認める一方で「自殺を予見することはできなかった」と主張していた。

 

きょうの判決で熊本地裁の中辻雄一朗裁判長は「暴行など違法な指導が自殺の要因になった」と指摘。

 

一方で、指導が短時間だったことから「自殺は予見できなかった」として死亡に対する賠償責任は認めず、国に220万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 

判決を受けて原告側の代理人弁護士は「短時間の指導だったので自殺は予見できなかったとする判決は大きな誤り」と話し、控訴する方針を示した。

 

一方、西部方面総監部は「パワーハラスメントなど同種事案の再発防止に努めていく」とコメントしている。

 

 

 

国に220万円支払い命令 陸自パワハラ自殺めぐる訴訟 熊本地裁

 

2022年1月19日() 21:28 朝日新聞(大木理恵子)

 

 自殺した陸上自衛官の遺族が、教官の指導が自殺の原因だったとして、国と当時の教官2人に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、熊本地裁であった。中辻雄一朗裁判長は違法な指導があったと認め、国に計220万円の支払いを命じた。

 

 判決は一方、教官の指導は2日間のみで自殺の予見はできなかったとした。教官2人への請求については、公務員の職務上の行為だったとして退けた。

 

 判決後に会見した原告側の板井俊介弁護士は「死亡に対する責任を否定した判決。原告としてはその点を絶対に許すことができない」と話し、控訴する意向を示した。被告側の陸自西部方面総監部広報室は「判決内容を精査しているため、回答は差し控える。判決を受け止め、パワーハラスメントなど同種事案の再発防止に努めていく」とコメントした。

 

 自殺したのは陸上自衛隊西部方面隊に所属した男性陸士長(当時22)。201510月、陸曹に昇進するため教育隊に入隊し、約3カ月間教育を受けることになった。入隊から間もない同月7日に自殺。両親が197月に提訴していた。教官2人は既に停職の懲戒処分を受け、自殺は公務災害に認定されている。

 

 判決によると、男性教官の一人は15106日夕、男性の胸ぐらをつかんだ。別の男性教官はそれを知りながら放置し、同日夜に男性に対し「お前のようなやつは殺してやりたいくらい」と発言した。

 

 判決はこれらの言動を「違法な指導」とし、この指導が「一つの要因として適応障害を発症し、自殺に至った」と認めた。その上で、国は安全配慮義務に違反したとして、慰謝料など計220万円を支払うよう命じた。

 

 男性の両親は「(判決は)被告から指導を受けたのが2日間だけで、1日のうちに短時間に行われたものだからという理由で、学生が自死してしまうことがわからなかったといいます。弱い立場の者を精神的に追い込んで追い詰めれば、当然、死んでしまうことはあり得ることを軽視した本日の判決は、とても受け入れられません」とのコメントを出した。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログの2021年6月25日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 陸自隊員自殺、公務災害認定 遺族「パワハラ原因」と提訴 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。
判決では「パワハラが自殺の要因ではあるが、自殺を予見出来なかった」
確かにそれは事実かも知れません。
しかし、裁判官は自衛隊の教官がどんな存在なのか知らないから、
こんな呑気な判決が出せるのです。
中辻雄一朗裁判長にはレンジャー訓練にでも参加されれば、
教官の存在について身を以て知って頂けると思います。
そうすれば、被害者の精神状態も分かりますし、
教官は自殺を[予見出来なかった]のではなく、
自殺の[予見を怠った]だけなのも分かるはずです。

御遺族の方へ
裁判官は裁判所と言う比較的安全な場所で勤務しているので
外の世界の過酷さを知らないままの方々が多いです。
裁判官の認識を改めない限りは、
残念ながら控訴審でも原判決を踏襲されるでしょう。

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