生徒の自殺から考える “学校ハラスメント”
複雑な問題だからこそ議論をー
2022年8月6日(土) 8:06 琉球放送
近年、学校という閉鎖的空間で教員間や教員と生徒間で、暴力行為または肉体的・精神的に苦痛を強いる「学校ハラスメント」が起きていることが課題にあげられています。
「力による指導で子どもたちを手懐けてしまっていたり。手っ取り早いではありますね、集団を扱うときにちょっと威圧して、怖いところを見せて」
「私も最初は『この先生よ』って思っていたんですけど、見ていると同情。穏やかな先生でも毎日クタクタになるくらい、口が荒くなってくる、大変そうなんですよね」
県内では去年、運動部の顧問から行き過ぎた叱責を受け県立高校の生徒が自殺するなど問題を受けて、学校ハラスメントを考える勉強会が開かれ、現状に課題を感じる学校関係者や保護者、臨床心理士などが集まりました。
高校教諭
「まさに自分が勤務している中でハラスメントや暴力に関する出来事が自分の中でもあって、そこをどういう風に改善できるのか、地域の声が聞きたいと思ったのが一番です」
小中学校の支援員
「私が感じるのは熱心な先生ほど、熱くなる分こういう結果になってしまうと感じますし、先生のためにも子どもたちのためにも改善が必要だと思います」
会を主催するのは、子どもの問題に詳しい沖縄市こども施策研究会の鈴木友一郎さんです。
沖縄市こども施策研究会 鈴木友一郎(すずき ゆういちろう)さん
「スクールハラスメントは小学校中学校でも県内でもいくつか起きている、悲しいかな起きていることなので。単に学校を批判するってことでは決してないので、あくまでもどうやったら一緒に子どもたちが楽しくすごせるのか。そのためにどうすればいいのか、考えることはたくさんあるのかなと思っています」
後を絶たない学校でのハラスメント。この日は部活動や教室で起こった事例について、グループで議論しました。
女性「苦痛を与えてそれに耐えることがメンタルを強くする」
鈴木さん「まだ一部残っている、競技によって違う気がしますけど」
こちらのテーブルでは、県外の強豪校の指導者から受けた講習会の話が出てきました。
高校教諭
「一番最初に言ったのが、先生たちに『生徒がミスしたらどんな指導をしていますか?』みたいな。何人かの小学校の先生は、シャトルランさせています、スクワットさせます、腕立てさせます。『未だにこんな指導しているの?意味ないよ』から始まって。ミスしたらなぜミスしたかを考える、それだけでしょうみたいな」
女性の参加者
「先生方も指導法をアップデートする機会がもっと必要だということですよね」
「指導者と教員と相談員と校長と、暴力って言葉の温度が全く違うと思うんですよね。
それをシェアしたい、あなたの暴力ってなんですかって、子どもも含めて」
鈴木さん
「部活で言うと、いろいろ整理しないといけない問題が沢山あるのかなと、先生の働き方の問題もそうですし、これは学校だけに任せるのはかわいそうと改めて感じています」
いろんな課題が複雑に絡み合う“スクールハラスメント”。難しい問題だからこそ、考え続ける必要があるとして、学校をよりよい場所にするために勉強会はこれからも定期的に開かれていきます。
《カウンセラー松川のコメント》
教員と児童生徒間のハラスメントはパワハラとセクハラに限定されます。
セクハラについては猥褻目的のハラスメントと言うよりは犯罪ですが、
パワハラは「教育のつもり」や「腹いせ」まで背景も様々です。
そして、大人対子供と言う、理解力や経験の無さに由来するギャップ。
ここに端を発した大人の怒りがパワハラになる場合や、
過去の指導方法を踏襲したが為にパワハラ扱いされる場合等、
本当に多岐に渡っており、完全防止は困難と考えております。
教員の過重労働解消と児童生徒の家庭教育や躾の実施、
これだけでもパワハラ抑止になると思います。
教員を加害者に仕立て上げるだけでは何も解決しないどころか、
萎縮による消極的な教育や指導に至り、
それは児童生徒にとって悪影響となるだけでしょう。
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