2024年9月10日火曜日

「匿名で通報したのに所属部隊で嫌がらせ」、男性自衛官提訴に国側が賠償責任認める

「匿名で通報したのに所属部隊で嫌がらせ」、
男性自衛官提訴に国側が賠償責任認める

 

2024年9月10日() 7:38 読売新聞

 

 パワーハラスメントに関する陸上自衛隊の相談窓口に匿名で通報したところ、秘密が守られずに所属部隊で嫌がらせを受けたとして、道内の部隊で勤務する50歳代の男性自衛官が国に220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であった。国側は不手際で原告に不利益を被らせた責任があることを認める一方、賠償額については争う姿勢を示した。

 

 訴状によると、原告の男性は2021年4月、東千歳駐屯地(千歳市)で起きた1等陸尉のパワハラを陸上幕僚監部の担当部署に匿名で通報。しかし、同駐屯地を所管する北部方面総監部(札幌市)に情報が共有され、さらに男性の当時の所属部隊にも伝わった結果、男性は複数の上官から通報者であることの自白を強要されたり、処分を示唆されたりしたという。

 

 原告側の主張について、国側は答弁書で「北部方面総監部への情報共有は、通報内容の調査のために必要だった」と説明。その上で情報拡散や自白の強要などは「原告の法的利益を侵害しており、賠償責任を負うことは争わない」とした。

 

 一方、原告弁護団は「違法行為があったことを認めるならば、訴訟になる前に対応すべきだったのではないか」としている。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

陸上自衛隊パワハラ訴訟、
「通報はテロ行為」自白の強要を認める一方、
国は220万円の賠償額を争う姿勢 札幌地裁で初弁論

 

2024年9月10日() 10:12 北海道放送

 

パワハラの内部通報が漏れ、上官から自白を強要されたなどとして、自衛官が賠償を求めた裁判で、国は、賠償額について争う姿勢を見せました。

 

訴えで50代の男性自衛官は、東千歳駐屯地に勤務していた3年前、匿名で上官のパワハラを通報したところ、別の上官から「通報はテロ行為」などと連日、自白を強要されたなどとしています。

 

220万円の賠償請求に対し、国は、9日の裁判で自白の強要を認めた上で、賠償額は、根拠がないと争う姿勢を見せました。

 

 

 

相談窓口機能せず…
また自衛隊で“パワハラ” 上官のハラスメントを内部通報した自衛官の男性
 所属部隊に漏らされ「内部通報はテロだ」と責められる不利益
 国に損害賠償求める裁判へ 北海道

 

2024年9月9日() 20:45 北海道文化放送

 

 上官のハラスメントを匿名で通報した自衛官の男性が通報内容を漏らされた上、「通報はテロだ」などと責められ不利益を受けたとして、国に損害賠償を求める裁判が99日、札幌地方裁判所で始まりました。

 

 陸上自衛官の男性は20224月、当時所属していた千歳市の駐屯地で上官による部下へのパワハラを内部の窓口に匿名で通報しました。

 

 ところが、通報内容が所属する部隊に漏らされ、上官らに自白を強要され「内部通報はテロだ」などと責められたとして、国に220万円の損害賠償を求めています。

 

 原告の男性は裁判後の集会で。

 

 「自衛隊は同僚・仲間を助ける者をテロリストとして不利益を与える組織なのか。私は(仲間を)助けるべきと考える」(原告 自衛官の男性)

 

 一方、国側は「テロ行為」などの発言や自白の強要の事実を認めています。

 

 

 

「通報はテロ行為」陸上自衛隊のパワハラ訴訟 国側が賠償責任認める

 

2024年9月9日() 20:00 朝日新聞(上保晃平)

 

 陸上自衛隊の上官によるパワーハラスメント(パワハラ)を匿名で通報したところ、自身が通報したと特定されて不利益な取り扱いを受けたとして、北海道内の現役自衛官の50代男性が国に慰謝料など220万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であった。国側は事実関係をおおむね認め、賠償額を争う方針を示した。

 

 国側は、陸上幕僚監部の窓口が受け取ったパワハラに関する男性の投書が、男性の所属部隊に渡ったことを認めた上で、その違法性を否定した。

 

 一方、部隊の上官らが通報者を男性と特定して自白を迫り、「通報というテロ行為をする者は許すわけにはいかない」「威力業務妨害で訴える」といった趣旨の言動をしたことなどについては、「パワハラ防止の訓令や通達に違反し、原告の法的利益を侵害した」と賠償責任を認めた。

 

 

 

「通報というテロ行為をするものは許すわけに…」
パワハラ相談の通報者を特定され、組織ぐるみで“報復”受けた
 現職自衛官が国に賠償求めた裁判で初弁論 札幌地裁

 

2024年9月9日() 19:18 北海道放送

 

パワハラをめぐる内部通報が漏らされ、自白を強要されたなどとして、現職の陸上自衛官が国に約220万円の損害賠償を求めた裁判が札幌地裁で開かれました。被告の国は、責任を認めた一方、賠償額で争う姿勢を見せました。

 

訴えているのは、陸上自衛隊北部方面隊に所属する50代の男性自衛官です。

 

訴えによりますと、男性自衛官は、2021年4月当時在籍していた東千歳駐屯地で、上官の部下に対するハラスメントを陸上自衛隊のパワハラ通報窓口に匿名で通報したところ、その内容が男性が在籍する部隊に伝えられ、通報者が特定されました。

 

その後、男性は上官から「通報というテロ行為をするものは許すわけにはいかない」などと言われ、遠方への異動をほのめかされるなど、不利益な取り扱いを受けたとして国に約220万円の損害賠償を求めています。

 

9日に開かれた裁判で、男性自衛官は「私は自衛隊の使命、任務、活動に誇りをもっていました。しかし、『内部通報はテロ行為』と言われ、ほかにも苦しんでいる隊員、ハラスメントを申し出たにも関わらず不利益を与えられ、もみ消しをされた隊員のことを考えると、組織が報復行為をするというデタラメな違法・不当行為は許すべきではない」などと、提訴した理由を述べました。

 

意見陳述書によりますと、男性自衛官は2021年4月、東千歳駐屯地の北部方面混成団第1陸曹教育隊にいた際、当時の上官が女性隊員に対し、「戻れ」という意味で指をさしなながら、犬に使う言葉で「ハウス」と怒鳴るところを見たり、自身も「バカ」「死ね」などと叱責されたりしたということです。そして、こうした行為を、陸上自衛隊のパワハラ相談窓口に匿名の文書で通報しました。

 

すると、その内容が男性自衛官が所属する部隊に漏らされ、通報者が探しが行われ、男性が特定されました。

 

男性自衛官は、複数の上官から「通報というテロ行為をするものは許すわけにはいかない」「威力業務妨害で告訴する」などと言われ、組織ぐるみで報復行為と報復人事を受けていると主張しています。

 

それに対し国は、窓口で通報を受けた段階では、公益通報の意思は読み取れず、匿名の文書を北部方面総監部人事部へ送ったことは違法性がないと反論。

 

一方で、北部方面総監部人事部から男性が在籍する部隊に内容が漏れたことで、通報者の特定が行われ、自白の強要や「テロ行為」などの発言があった事実については争わず、国に賠償責任があることを認めました。

 

その上で、約220万円という賠償額については、金額の根拠がないなどとして争う姿勢を見せました。

 

次回の弁論は1118日に開かれます。

 

 

 

「通報はテロ」発言、国側認める
 陸自パワハラ通報漏えい国賠訴訟

 

2024年9月9日() 19:07 毎日新聞(後藤佳怜)

 

 上官のパワーハラスメントを匿名通報したところ情報を漏らされ、不利益を被ったとして、北海道内の陸上自衛隊に所属する50代の男性自衛官が国に220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であった。国側は男性の上官が「通報というテロ行為をする者は許すわけにはいかない」などと発言して自白を強要したことを認める一方、賠償額については争う姿勢を示した。

 

 訴状によると男性は東千歳駐屯地内の部隊に所属していた2021年、上官のパワハラを匿名で陸上幕僚監部の窓口に通報したが、担当者が通報文を上官本人らに漏えい。男性は別の上官から遠方への異動をほのめかされるなど精神的苦痛を受けたとしている。

 

 男性は意見陳述で「職場環境改善のために通報した。すると『必ず通報者を特定して処罰する』などと言われ、報復を受けた。パワハラの調査も十分にされず、なかったことにされた」と主張した。

 

 国側は答弁書で北部方面本部の上官らが自白を強要したことなどは認めたが、賠償については「額の根拠が不明」として請求棄却を求めた。

 

 

 

ハラスメント内部通報で不当な扱い
 自衛官が「防衛省本省側の違法性に対して追及していく」

 

2024年9月9日() 17:59 北海道テレビ

 

ハラスメントを内部通報した自衛官が上官から不当な扱いを受けたとして国に損害賠償を求めた裁判が札幌地裁で始まり、国側は原告の主張を一部認めました。

 

訴状などによりますと、道内在住の50代の陸上自衛官は2021年、部隊内のハラスメントに関する内部告発を文書で防衛省に送りましたが、北部方面隊の上官から「内部告発はテロ行為」と言われるなど不利益な扱いを受けたとして、国に220万円の損害賠償を求めています。

 

9日行われた初の口頭弁論で国側は、北部方面隊が原告に対し「テロ行為」と発言したことなどは認めながらも、防衛省が内部告発の内容を原告が所属する北部方面隊に送ったことに関しては、違法性がないと主張しました。

 

原告は

「結局は、市ヶ谷、防衛省本省は責任は取りたくなく、北部方面隊が勝手にやったことだということで、今回の件は終わらしたいのだなと考えております」

 

原告側は9日の口頭弁論を終えた後に会見を開き「防衛省本省側の違法性に対して追及していく」と訴えました。


《カウンセラー松川のコメント》

ハラスメントの相談窓口。
特にパワハラ相談窓口は法律により設置が全事業者に義務付けられています。
そして、パワハラ相談窓口は組織内部でも
外部(委託)のどちらかもまたは両方に設置可能です。
内部設置と外部設置は双方に長所短所があります。
各長短については、本欄の下部に設けますので、そちらを御一読ください。
さて、本件についてのコメントですが、
内部設置の悪い面が作用した事例と言えます。
特に公安職では過去の上司部下の関係と共に、
生涯付くのが先輩後輩の関係です。
上下関係は逆転することがあっても、先輩後輩の関係は不変です。
故に「世話になった」とか「迷惑が及ばない様に」と言う斟酌が働く場合も
否定出来ません。
今般の陸幕に設置の相談窓口から直下の方面隊を経て所属部隊に伝わる事案です。
当然、調査や処分をする為に、発生部隊に対してもいずれは情報が伝わります。
しかし、その情報伝達にあっても、情報提供者に不利益が発生しない様に
各自が最大限の配慮をするべきです。
また、いくら自分に不利な情報が回って来たとしても、
そもそも自分が犯してしまった事であるならば、
潔く受け入れるべきであり、通報者に対して恨み言を発したり脅す様な行為は
人として恥ずべき行為です。
防衛省としても一隊員の悪事であっても、それを行ってしまった以上は
単に事実を認めるだけでなく、被害者に対しての誠意を見せるべきです。
それを「請求金額に根拠が無い」と支払いを渋る様な言動も見苦しいです。
更に、被害申告者に対して不利に働くのが相談窓口であるならば、
その様な窓口は形骸であり、設置していないに等しいです。
陸幕に留まらず、防衛省全体の問題として、
申告者や被害者を組織として守り抜く気概がなければ、
国土国民を守れるのかも怪しいです。

被害者の方へ
良かれと思った行為に対して、犯罪者扱いされたのでは堪ったものではありません。
しかも、客観的に見て通報は正しい行為であることは明らかです。
被害の通報窓口が加害者へ有利に働く様では、
恐ろしくてあてに出来ないでしょう。


パワハラ窓口の内部設置と外部設置の違い
 内部設置の長所は
  1. 早期開設が可能
  2. 担当者を兼任させれば人件費抑止
  3. 相談窓口が身近なので利用し易い
  4. 担当者が申告者の業務内容を承知している可能性が高い
  5. 秘密が外部に漏れ難い=破廉恥事案を知られ難い
 対して短所は
  1. 相談内容が担当者とは言え内部の者に知れてしまう
  2. 相談内容が組織内に伝わり易い
  3. 担当者が専門家でない場合、対応ミスが発生し易い
  4. 担当者は組織内の秘密を保たなくてはならない=担当者の精神的負担

 外部設置の長所は
  1. 担当者を専任に出来る
  2. 専門家に任せられる
  3. 相談行為が内部で分かり難い
 対して短所は
  1. 費用が発生する
  2. 担当者が相談者の業務に関し認識し難い
  3. 秘密保持契約はあっても、破廉恥事案が外部に伝わる




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