社長との食事断ったら賃金大幅減…労働トラブル、動画で紹介
「いつ誰が巻き込まれるか分からない」
2024年9月11日(水) 9:40 西日本新聞
会社の枠を超えて個人でも加入できる労働組合「連合福岡ユニオン」(福岡市)が、実際にあった労働相談とユニオン側の対応を動画で紹介するユーチューブチャンネルを開設した。不当解雇や賃金減額、長時間労働などの問題について、解決に導くまでの経過を取り上げている。特に若い世代を念頭に、労働関連のトラブルや法律を知ってもらい、啓発につなげる狙いがある。
「セクハラを断ったら解雇、賃金減額!」
「月に最長100時間の残業で体調悪化! しかし会社は…」
こうしたタイトルを付けた1本60秒の動画を計8本公開中。相談の概要や、ユニオンと雇い主の団体交渉の様子、解決策として合意した内容をテンポよく紹介する。ユニオンの職員をイメージした人物もイラストで登場する。
動画制作を担当するのは進藤勇志書記次長(39)。これから社会に出て働く人や就職して間もない若い世代に、トラブルの実例と身を守る方法を知ってもらうために始めたという。
企画や制作に当たり、10~20代の知人20人以上に内容を相談した。試作した動画を見てもらって意見を聴き、若年層が関心を持つ形に作り直すこともある。進藤さんは「法律用語が多いと堅苦しいとか、『ストーリーになっていれば見ます』といった感想がありました。親しみやすいように工夫しました」と語る。
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紹介したのは全て福岡県内で実際に起きたトラブルで、あえて悪質なケースを取り上げたという。労働相談は通常、残業代の不払いやパワハラが目立つが、対象はそれらにとどまらないことを周知するためだ。
例えば、ある女性は社長から何度も食事に誘われ、断り続けていた。すると賃金を大幅に減らされ、正社員としての継続雇用も拒まれた。長時間の残業代も未払いに。相談を受けたユニオンが団体交渉で会社側に抗議した結果、女性が納得する内容で解決できた。
別の男性は、月の残業時間が過労死ラインの80時間を超え、100時間に上ることもあり、うつ病を患って休職。残業代の未払いもあった。ユニオンが出勤記録から未払いの賃金額を計算して会社側に請求し、支払われた。
他にも、育児休業を取ったことで雇い主の嫌がらせに遭った女性や、雇用契約に反して出勤日数を減らされたパート社員などの例を紹介している。
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今後は、30~40代や高齢の働き手向けに、1本15分程度の動画も作成していく。1本60秒の若者向けとは異なり、実際の相談例を基に、労働関連の法律などを詳しく解説する予定。働き方を巡って勤務先とトラブルになった場合に備え、雇用契約書や給与明細書を保管して目を通しておくことなど、働く側が身を守る具体的な方法も助言する。
進藤さんは「労働トラブルは交通事故と似ていて、いつ誰が巻き込まれるか分からない。動画のように想像もつかないことが起こることと、頼れる先としてユニオンがあることを知ってほしい」と話している。
問い合わせは連合福岡ユニオン=092(273)2114。
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