2024年9月11日水曜日

▼ステーキ店「三田屋」の元従業員男性 「長年パワハラ受け、金銭搾取された」と創業家一族の役員を提訴へ

ステーキ店「三田屋」の元従業員男性
 「長年パワハラ受け、金銭搾取された」と創業家一族の役員を提訴へ

 

2024年9月11日() 15:27 神戸新聞

 

 神戸市や兵庫県西宮市などでステーキ店を展開する「三田屋」(神戸市北区)に勤めていた男性(44)が、創業家一族の男性役員から長年パワハラを受け、金銭を搾取されたとして、三田屋と役員に慰謝料など約1600万円の損害賠償を求めて神戸地裁尼崎支部に提訴することが11日、分かった。

 

 訴状などによると、男性は2006年に入社し、11年から西宮市内のハム工場で勤務。当時工場長だった男性役員から、ミスをすると「ボケ」などと罵声を浴びせられ、「滑舌が悪い」との理由から業務中に小型無線機「インカム」を通じて歌を歌うよう強要されたなどとしている。

 

 繁忙期は休日がほとんどなく、長時間労働を強いられたが、割増賃金は支払われなかったという。また、出勤時間の午前8時までに工場の植物の水やりをするよう命じられて毎日動画を送信し、退社後や休日には大量の書類を作成して深夜に報告することが常態化していたとする。

 

 一方、仕事のミスなどに罰金を科され、毎月の給料日の翌日に4万円、ボーナス支給日の翌日に8万円を徴収されていたと主張。男性役員の指示でパンやおにぎり、たばこなどを買わされたが、代金は支払われていないという。

 

 原告側によると、時間外労働や罰金について主張に隔たりがあり、罰金の返還や未払い賃金の引き渡し、慰謝料などを求めて提訴に踏み切ることにしたという。

 

 三田屋の代理人弁護士によると、今月10日が1回目の調停の期日だったが、「相手方が訴訟による解決を希望し、調停続行に反対し不調に終わった」とコメントした。

 

 三田屋は「廣岡揮八郎の三田屋」のブランドでステーキ店を運営し、大手百貨店にもハムの直営店を出している。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

【独自】
「滑舌悪いから歌え。歌詞を間違えたら罰金」
男性役員から10年以上続いた過酷なパワハラの実態
『暴言』『罰金制度』『使い走り』
...「無かったことにはできない」
廣岡揮八郎の三田屋の元従業員が提訴へ

 

2024年9月11日() 14:00 毎日放送

 

 『廣岡揮八郎の三田屋』のブランド名で兵庫県内でステーキハウスを5店舗運営する会社「三田屋」。ハムの製造販売では百貨店に直営店を構える。ここの元従業員が訴えるのが、創業者一族の男性役員によるパワハラだ。今回、取材班は内部音声と文書を入手。過酷なパワハラの実態に迫った。

 

「暴言は繁忙期なら日常茶飯事」元従業員が語る10年以上にわたるパワハラ

 【録音された音声】「帰れや!帰れ!ボケ!」

 

 響き渡る怒号。これは、「三田屋」の社内で発せられた、40代の男性役員のものとされる音声だ。

 

 元従業員Aさん(44)は実際にこの罵声を浴びせられるなど、10年以上にわたって男性役員からパワハラを受けてきたと話す。

 

 (Aさん)「普通に『その年でそんなことをやって恥ずかしくないのか』とか『帰れ』とか。よく『お前らなんかいなくても会社は存続できる』とか。暴言は繁忙期なら日常茶飯事。ありすぎて逆にないほうが違和感があるという感じ」

 

 Aさんは2006年、兵庫県を中心に『廣岡揮八郎の三田屋』というブランド名でステーキハウスの運営などを行う三田屋に入社。2011年からはハムの製造工場で勤務することになったが、当時、工場長を務めていたのが問題の男性役員だった。

 

 書類や検品などに不備があった場合のほか、業務に関係がない指示に従わない場合も怒号が飛んだという。

 

 (Aさん)「(工場内には)カメラがどの部屋にもついていて、(男性役員の指示が)インカムで聞こえたら返事。最初は手を挙げるくらいだったが、『3回まわれ』とか『ジャンプしろ』とか。カメラ越しに面白い映像をほしがっている。こちらが『嫌です』と言っても『やれ』と言われるので。『そっちのほうが大事や』とか言われたら、それは従わざるを得ない」

 

従業員アンケート結果を独自入手「ただただ人権侵害…見るに耐えない」

 この役員によるパワハラ被害を訴えるのはAさんだけではない。三田屋で現在も働く従業員は、複数のスタッフが男性役員から暴言を吐かれた経験があり、退職する人が後を絶たないと証言する。

 

 (現役従業員)「ミスをしたりするとかなりの罵声で怒られたりとか、ゴミ箱を蹴られて威嚇をされたりというのはありました。『アホ』『ボケ』『カス』は当たり前。『辞めてしまえ』とかもありましたし。何かすれば怒られるというのが先に立ってしまうので、思うように体が動かないというか…」

 

 MBSは、会社が2022年に従業員を対象に行ったアンケート結果を独自に入手。そこには男性役員に関するクレームが複数書かれていた。

 

 【社内アンケートの結果より】

 「社員に怒鳴っているイメージしかなかった。とても嫌な思いをした」

 「特定のスタッフへのパワハラ・モラハラを超す、ただただ人権侵害に関しては見るに耐えない」

 

 さらに、Aさんは男性役員による仕打ちは暴言などのパワハラに留まらないと話す。それが「罰金制度」だ。

 

1につき1000円を徴収「滑舌が悪いから歌を歌え。歌詞を間違えたら1点」

 (Aさん)「ポイントというふうにミスを加算していって、結果的に罰金。お金を払うから、自分が痛い目を見るから、同じミスはしないだろうという一環だと思うんですけれども、それに味をしめて、事細かくミスにつけ込んで

 

 Aさんの説明によると、2015年ごろから男性役員はAさんが「仕事でミスをした」と判定すると、「点数」をつけていたという。そして1点を1000円に換算し、Aさんから徴収。多い日には8000円にも上ったと話す。中には、こんな理由でも

 

 (Aさん)「滑舌が悪いから1時間ごとに(男性役員から)インカムで『歌を歌え』とか。歌詞を間違えたら1点とか、ちょっと言葉に詰まったら1点とか。業務報告が1分遅れたら1点とか」

 

 別の元従業員はAさんが男性役員から罰金を徴収されているところを目撃したと証言する。

 

 (元従業員)「1点いくらみたいなことだと思うんですけれども、その合計額を翌日持ってくるという形だったと思います。(罰金を)渡しているところも見ています、実際。(Q男性役員は受け取るときどんな様子?)普通に受け取るという感じ。当たり前のように受け取っているのかなと」

 

 男性役員がつけていたというAさんの「罰金一覧表」を、会社関係者から独自に入手した。日付けの横に記されているのがその日、新たに追加された罰金の額。例えば、20151213日には罰金5000円が追加されていて、右側の欄には累計額として42000円と記されている。

 

 加えて2016年からは毎月の給与から4万円も徴収されることに。

 

早朝に「パン」や「コーヒー牛乳」の買い物を指示

 さらにAさんはこの罰金を理由に自腹で使い走りをさせられていたという。Aさんの通信アプリの履歴には、役員から送られてきた買い物の指示が残されていた。

 

 20211015日午前634分には

 

 【Aさんの通信アプリの履歴より】

 「今日もパン2つお願いします」「バナナ牛乳はいりません」

 

 また、20211117日午前458分には

 

 【Aさんの通信アプリの履歴より】

 「サンドウィッチと肉まん、あんまん、各1とコーヒー牛乳をお願いします」

 

 (Aさん)「普通は『無理』って言いますけれども、被害がこれ以上大きくなるよりは、これくらいの被害で成り立つなら従っておこうという思いですよね」

 

 罰金の総額は約8年で500万円以上に上ったといい、Aさんは生活に困窮。一時、270万円も借金をすることになり、今年5月、退職を決意した。

 

代理人弁護士「男性役員はパワハラの一部を認め、謝罪」

 男性役員によるパワハラや罰金などの疑惑について、三田屋に取材を申し込んだところ、代理人弁護士から回答が寄せられた。

 

 (三田屋の代理人弁護士)「男性役員は労働者側が主張するパワハラの一部を認め、反省し謝罪を表明している」

 

 また、罰金については…

 

 (三田屋の代理人弁護士)「特定の従業員との間でミスがあったら金銭を徴収して積み立てておき、会食費用や物品購入費用として従業員本人に利益還元していた。もっとも、このような措置は不適正な職務執行であり、モラル上問題があることから、後日、反省し従業員本人に謝罪した。コンビニ等における買い物を依頼したことがあり、その都度、費用を清算していたが、費用清算の失念が発生していた」

 

 そして、罰金に関してはAさん側に金銭を支払うことを提案していて、調停で解決する意向だとしている。

 

男性役員と会社を提訴へ「無かったことにはできない」

 男性役員によるパワハラ被害を訴えるAさん。謝罪は不十分などとして、男性役員と会社を相手どり、罰金として徴収された金の返還や慰謝料など計約1600万円の支払いを求め、913日にも神戸地裁尼崎支部に提訴する方針だ。

 

 (Aさん)「謝罪だけすればいいというものでもないですし。無かったことにはできないことなので。(男性役員が)いい年して善悪もつけられない、しようとしない。なので、怒りよりも今は悲しい」





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