五月病でゆううつな新入社員へ、パワハラ上司から身を守る4つの方法
2022年5月15日(日) 8:00 朝日新聞
ゴールデンウィークはどのようにお過ごしでしたか? 長期休暇が終わったこの時期、新入社員のみなさんは、いわゆる「五月病」に悩んでいるかもしれません。
疲れの出やすいこの時期、新入社員のみなさんにエールを送るために、今回は「新入社員のためのパワハラ上司から身を守る方法」を認知行動療法の視点からお伝えします。
一般に、ゴールデンウィークが終わった頃から、新入社員のみなさんは、疲れが出て、無気力で、憂鬱(ゆううつ)な、いわゆる「五月病」と呼ばれる状態になりやすいと言われています。
入社して間もない頃は、新しい環境に適応しようと張り詰めていた緊張が、ある意味麻酔のように働いて疲れを感じにくくさせてくれます。しかし、長期休暇で緊張がいったん緩むと、皮肉なことにこれまでの蓄積した疲れがどっと出てしまうのですね。
さて、こうしたお疲れの出やすい時期に、パワハラ上司から身を守るにはどうしたらよいのでしょう。
パワハラ上司にありがちな下手なマネジメントの例を4つ挙げて、対処法を考えていきます。
■1. 上司の「いつも~だ」「すべて~だ」は変換する
1週間にミスを2回ぐらいしたとしましょう。そうすると、上司は「いつもミスばかりしている」と叱るかもしれません。
これは代表的な認知のゆがみです。正確にはミスは2回。残りの3日間がノーミスでも、なぜか人間は「いつも」と考えてしまいます。
ミスという危険な結果を避けたいから、本能的にそこをクローズアップして警戒してしまうのです。この考え方の癖を「一般化のしすぎ」と言います。
「いつも~だ」と言ってくる上司は、一部分を全体に広げてしまう癖を出してしまっているので、新入社員としては、脳内で変換しましょう。
新入社員「正確にはミスしたのは2回だよね」
と。これで必要以上に落ち込まなくなりますし、ミスした2回については認めて、再度ミスをしないような対策が取れます。落ち込みすぎると、この「対策」まで考えが行きつかないのが1番困るのです。
■2. 上司の「このぐらいできないとどこの会社でも通用しない」はうそ
上司や親が、「このぐらいのことができないと」と新入社員のあなたを励ますかもしれません。向こうは励ましているつもりかもしれませんが、かなりのプレッシャーですね。
でも、そういう上司や親自身に転職経験がなく他の会社や業界を知らないことや、現在の世代の働く事情を知らないことは見逃されがちです。その人たちが言うことは、真実ではない可能性もあります。
私は発達障害の傾向のある方、診断を受けた方のカウンセリングをしていますが、そうした方々をとことん傷つけているのがこの考えなんです。
「立派な社会人になるために、自分を修正しなくては」
これは一部正しく、一部間違いなのです。
今は、コロナ禍を経て、ますます働き方が多様化しています。会社は星の数ほどあるし、同じ会社でもどういう雇用形態で働くかを選べます。フリーランスという働き方もあるのだし、同じ職種でも会社が違えば常識がガラッと変わります。
職場の風土は仕事内容以上に大事だったりします。
これだけ無数の選択肢があるのに、ちょっと頑張っても変わらなそうな興味や関心、向き不向きを本人も周りもなんとか修正しようと頑張りすぎているように思います。
発達特性の比較的少ない、いわゆる定型発達の人にとって「大変だ」と感じることや「楽だ」と感じることは、発達特性の強めの人には全く別に感じられることがよくあります。
例えば(あくまで一例であり、発達障害の人と言っても本当に様々ですが)、
定型発達の人「9時17時で出社して無難に働いていれば、給料がもらえる。これが幸せ。自分で色々能動的に経営を考えていく自営業は不安でしょうがない」
発達特性の強めな人「9時17時でデスクに縛られるなんて耐えられない。上司にいちいち確認するのも、そもそも何を確認すべきかわからないし、面倒だ。リスクをとってでも、自由に能動的にチャレンジしたい」
このぐらい、「負っても苦にならないリスク」に違いがあります。
親は安定した職業を薦めてくるでしょう。それにも一理あります。
定年は伸びて、今や80歳を超えて働いている人もいるような時代です。そんな長いスパンの中、若い頃のように気力と体力は続かなくなります。介護や育児など他の要因で時短で働かざるを得ない期間もあるでしょう。
そうした変化があっても揺るがない大きな企業で、めったなことではクビにならない企業で働くことを、たいていの親は求めます。安心したいからです。自分たちが先に亡くなっても、子どもには無事でいてもらいたいからです。
ただ、親の描く「安心」と子どもの良さが生かせて幸せに働けるやり方が違う場合もあることを、理解し合えると良いでしょう。
親「公務員なら間違いない!」
と言い張る親も、いずれは自分より先に年をとっていきます。その発言に従った人生を選択したところで、最後までは責任を取ってくれません。
■3. ボワッとした人格否定には具体的に聞き出す反撃を
頑張って仕上げた仕事に対して、全く生産性も具体性もない、「ボワっと」とした指摘をする上司はいませんか? なんなら、「仕事には、性格が出る」なんて言って、あなたの人格否定までしてくる上司です。
こういう上司がいたら、心の中でこう言いましょう。
「ナンセンスなマネジメントだな。まだまだ管理職としての資質が低い」
そして、もう少しお互いに役に立つ指摘を引き出してあげましょう。
「それでは、具体的にどの部分を修正したらよろしいでしょうか」
「修正方針は、〇〇のような感じでしょうか?」
「今の時点からできる対応として、〇〇のようなことをすればいいでしょうか?」
今からできることを具体的に話し合うことに焦点を当てます。
決して人格否定の言葉に引っかかって、必要以上に傷つかないようにしましょう。
ここは職場。あくまで仕事を一緒にしていく場です。
お互い性格が嫌いでも、生存するために、必要な情報を交換して、指導を受けて、仕事をこなすチャンスを奪われてはいけません。
■4. 上司のいうのは絶対的な評価じゃないし、あなたもまだ完璧ではない
1と同じように「仕上げた仕事について上司から修正点を指摘された」という場面では、今度は新入社員側にも同じ認知のゆがみが生じるかもしれません。
新入社員「私の仕事はすべて否定された」
違いますね。おおむねOKなのですが、一部修正を求められている、が正確な事実です。
でも、ちょっとでも「×」がつくと、全部ダメと言われた気がしてしまうんですね。
そもそも上司は完璧な評価ができる人でしょうか?
仕事とはいえ、結局人間は感情の生き物です。上司の機嫌で評価はぶれるでしょうし、好みの問題もあります。なぜかいつもひいきされる社員を見たことがありませんか?
上司もかつては新入社員だったのです。また、あなたの「仕事をしている場面」というごく一部を見てそう評価しているのであって、あなたの過去やプライベートの姿、人格全体を見て評価できているわけではありません。
また、評価されたあなたの方にも、もちろんミスも欠点もあります。社会人になるにあたって、身につけた方がいい知識も振る舞いも常識もたくさんあるはずです。
「そうか、自分はまだ完璧じゃないんだ。そりゃそうだよ」
と受け入れてしまった方がうんと楽になるはずです。こうして必要以上に傷つかなければ、上司からの指摘を冷静に受け止められて、スキルアップする余裕が生まれます。
いかがでしたか?
5月を乗り切るヒントになれば幸いです。
《カウンセラー松川のコメント》
一つの方策として、また一つの考え方として記事に致しました。
これが全てではありませんし、これが正解とは限りません。
状況によって変化がありますので、参考として捉えた方が良いと思います。
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