2022年5月6日金曜日

熊本県警の巡査自殺 遺族が県を提訴「一度の謝罪すらない」

熊本県警の巡査自殺 遺族が県を提訴「一度の謝罪すらない」

 

2022年5月6日() 21:02 毎日新聞(野呂賢治)

 

 熊本県警玉名署刑事課の巡査だった渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24歳)が20179月に過労自殺したのは県警が安全配慮義務を怠ったのが原因として、遺族が6日、県に損害賠償など約7800万円を求めて熊本地裁に提訴した。この日、県庁で記者会見した母美智代さん(62)は「何でこの子が死ななければならなかったのか。一度の謝罪すらない」などと訴えた。

 

 訴状などによると、強盗致傷事件などの対応に追われていた渡辺さんは亡くなる前の5カ月間、時間外労働が月平均130時間に上り、過労死ラインとされる月100時間を超えていたという。

 

 2011月に自殺が公務災害認定され、遺族は2112月、県警に謝罪や再発防止体制の構築、渡辺さんに対するパワーハラスメントの調査などを求めた。しかし、県側からは蒲島郁夫知事名でお悔やみの言葉が出ただけだったため提訴に踏み切った。美智代さんは「心ない返事しかなくショックを受けた。裁判をしない限り(崇寿さんの過労などの実態が)なかったことになってしまう」と話した。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

「終わったことにされてしまう」 自殺した刑事の遺族、県を提訴

 

2022年5月7日() 7:50 朝日新聞(吉田啓)

 

 熊本県警玉名署の刑事課巡査だった渡辺崇寿さん(当時24)が20179月に自殺したのは、当時の玉名署長が安全配慮義務を怠り長時間労働を続けさせたためとして、渡辺さんの遺族が6日、県を相手取り7818万円の損害賠償を求める訴えを熊本地裁に起こした。

 

 訴状によると、渡辺さんは174月に刑事になり、亡くなるまで5カ月連続で1カ月あたりの時間外勤務が110時間を超えた。亡くなった後の2011月には公務災害の認定を受け、その書面には「業務による強度の精神的または肉体的負荷があったものと認められる」と記された。

 

 代理人の光永享央(たかひろ)弁護士によると、遺族は2012月、県警に対し、渡辺さんの自殺の責任を認めて、内部の調査報告書の内容を遺族側に隠したことと合わせて謝罪することや、パワーハラスメントの有無も調査して長時間勤務の是正などの再発防止策をとることを求める書面を出した。

 

 だが、県側からは今年1月、渡辺さんの冥福を祈るとしたうえで、「このような悲しい出来事が繰り返されないように努めてまいります」と記された知事名の書面が届いただけだった。

 

 渡辺さんの母、美智代さん(62)は自殺直後から当時の上司ら玉名署の責任者からの謝罪を求めてきたが、これまでに謝罪はないといい、このままでは渡辺さんの死が県警の中で「なかったこと、終わったことにされてしまうのでは」と提訴に踏み切ったという。

 

 美智代さんは「息子は県民の安心安全のために仕事をするんだという気持ちで県警に入職した。県はなぜ、このような不誠実な対応しかしないのか」と話し、「なんでこの子が死ななければならなかったのか」と声を詰まらせた。

 

 兄の真道さん(30)は県からの回答を見て「当事者意識を持っていないのか」と感じたという。「こちらが求めているのは誠意と改善で、その点に触れてもらえれば違った形で話し合いが進められた」

 

 妹の珠美さん(26)は「ただ本当のことを知りたいというだけなのに、(県は)なんでここまでしか言えないんだろうというのが悔しくて」と話し、「本当のことが知りたいです」と繰り返した。

 

 県警監察課は取材に対し「亡くなられた渡辺さんのご冥福をお祈りすると共にご遺族に心からお悔やみ申し上げます。訴状が届いていないので現時点でのコメントは差し控えます」と述べた。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ4月20日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 巡査自殺、遺族が熊本県を提訴へ 「常軌逸した長時間労働」 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。
5月6日に提訴の予定とのことでしたので、予定どおり提訴された訳です。
遺族 対 県の争いとなりましたが、地方の警察も実態は国の機関ですから、
県が頑張ろうとしても限界はあるでしょうし、
強固な隠蔽体質でキャリア組を守り続けていた警察が、
この程度のことで事実を明かすとも思えません。

御遺族の皆様へ
ここからが本格的な闘いです。
時間も費用も要しますが、それ以上に神経を磨り減らす事になるかも知れません。
相手は県とは言え警察ですから、訴訟でも苦労は少なくないでしょう。
どうか、心身の健康には留意をされて訴訟に臨んでくださいませ。

0 件のコメント:

コメントを投稿