2022年5月5日木曜日

大和市長パワハラ疑惑 訴訟合戦…騒動が長期化

大和市長パワハラ疑惑 訴訟合戦…騒動が長期化

 

2022年5月5日() 7:30 産経新聞(末崎慎太郎) 

 

【深層リポート】 神奈川県大和市で昨年5月、現職市長による市職員へのパワーハラスメント疑惑が浮上し、1年近くたったいまも騒動が続いている。大木哲(さとる)市長(73)のパワハラを前副市長の金子勝氏(65)が主張し、名誉毀損の訴訟合戦にまで及んでいるのだ。市議会が疑惑の調査に乗り出すも長期化しており、いまだ決着への具体的な動きは見えない。

 

■食い違う主張

市長のパワハラ疑惑が浮上したのは昨年5月。市長による職員へのパワハラに対する抗議を理由に、金子氏が同4月に副市長を辞職したとの報道が発端となった。

その後の5月26日の定例記者会見で大木市長は金子氏の主張を「捏造(ねつぞう)」と非難。自らのパワハラ的言動を完全否定するも、記者団から疑惑に関する質問が上がると途中で会見を一方的に打ち切り退席した。

大木市長は同6月、金子氏を相手取り「虚偽の事実を流し、社会的評価を損ねた」などとして謝罪広告の掲載と慰謝料など1100万円の損害賠償を求め、横浜地裁に提訴した。審理は現在も継続しており、金子氏側は、同じく任期途中で辞職した元副市長の平松博氏を含む元職員3人からの「専制国家の王様のようだった」「職員がモノを言えない閉鎖的な雰囲気があった」などとする陳述書を提出している。また金子氏は今年3月末、「『証言は捏造だ』と噓つき呼ばわりされた」として反訴した。

 

■相反する評価

大木市長は平成19年、前市長の多選などを批判し県議から初当選、現在4期目だ。「選挙で負けなし」と言われ、その後の3回の選挙ではいずれも得票率約50~65%で当選を重ねている。

市長の肝煎りで6年前に完成した文化複合施設「シリウス」は、施設内の市立図書館の来館者数が日本一となるなど、市のランドマークとなっている。一昨年4月には、市長の発案で全国初となるいわゆる「マスク着用条例」を制定するなど、時宜を捉えた施策や言動には市民から一定の評価の声がある。

一方、市役所内からは「市長には意見しにくい」といった声も漏れる。

市議会は昨年6月、調査特別委員会を設置し、パワハラ疑惑の調査を進めてきた。管理職を対象に無記名で、市長によるパワハラと捉えられる言動を直接受けたか見聞きしたことがあるかアンケートを実施。計134人中103人が回答し、「ある・見聞きしたことがある」15人、「ある」4人、「見聞きしたことがある」42人で、パワハラを直接受けたと自覚している人が計19人に及んだ。

この結果を踏まえ特別委は今年3月、大木市長と金子氏を招致して意見聴取を実施したが、双方の主張は平行線のままだった。

 

■権限集中の功罪 

県内の市役所で長年勤務し、現在は関東学院大(横浜市)で教鞭(きょうべん)を執る出石稔教授(地方自治論)は「人事権など権限が集中する市長の発言力は強い」とし、「それは施策を推進するリーダーシップとなる一方、市長の個人的な私情が絡めば、パワハラになる」と指摘する。

来年5月には大木市長は任期満了を迎える。現時点で次期選挙への対応について明らかにしていないが、市政に衝撃を与えた一連の騒動への〝審判〟は、市民に委ねられることになる可能性もある。

 

【パワーハラスメント】 厚生労働省は①優越的な関係を背景として②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③就業環境を害する―行為をパワハラと定義。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)を受け、令和2年6月から大企業で、今年4月からは中小企業でもパワハラ対策が義務化された。全国の自治体でも3月16日時点で12市区町にパワハラを含むハラスメント防止に関する条例が制定されている。

 

【記者の独り言】 昨年4月入社の私は翌5月から、神奈川県内を担当する記者として働き始めた。そして同月26日に大和市長の定例会見で目にした光景は衝撃的だった。直前に市長のパワハラ疑惑が報じられており、記者団からの追及を逃れて会見場を一方的に退席する市長にベテラン記者らから怒号が飛んだ。それから間もなく1年。騒動が続く現状に、市政の停滞を感じるのは私だけだろうか。


《カウンセラー松川のコメント》

強力なリーダーシップを取る方はそれだけ強権的な場合も多々あり
それは自身と反する立場の方々を踏みにじっている時もあります。
強権的だからこそ物事が早く進みますが、その裏側もある訳です。
だからと言って、ハラスメントをしても良い訳ではありません。
1億円盗んで2億円寄付するのは善行とは言いません。
やはり、決められた事は決められたとおりに行うべきなのです。
これだけ多くの調査でパワハラ加害の回答があるのですから、
パワハラ加害は存在するも加害者は意地になって反論しているに過ぎないと
感じております。

0 件のコメント:

コメントを投稿