2022年5月14日土曜日

「消防団の操法大会は必要ない」元団員、消防団離れの原因か 全国で「不要論」がうねり

「消防団の操法大会は必要ない」元団員、消防団離れの原因か
 全国で「不要論」がうねり

 

2022年5月14日() 7:00 山陰中央新報

 

 消防団の操法大会は必要ない-。4月中旬、島根県内の元消防団員から山陰中央新報社にメールが届いた。全国的に歯止めがかからない団員減少という課題を踏まえ、報酬引き上げなどの処遇改善の動きがある中、なぜこうした声が上がるのか。聞けば、消防団離れの一番の原因が操法大会だという。 

 

 メールの差出人は出雲市に住む元団員の50代男性。新型コロナウイルス禍で中止となる前まで、毎年あった市町村大会と県大会、隔年であった全国大会のため、かつて所属していた消防団では大会前、週4日の練習があり、さらに本番が近づくと練習は毎日、最低2時間になったという。

 

 持ち運び可能なポンプ、小型ポンプ車などの消防設備の使用法を学び、火災などに備えるのが動機づけの一つ。消防庁ホームページは「迅速、確実かつ安全に行動するために、定められた消防用機械器具の取扱い及び操作の基本について、その技術を競う」と目的をうたう。

 

 だが、男性はこう強調する。「スピードや美しさが求められる大会で、整列し、指を伸ばすなどの技術が(火災現場で)生かされた場面はほとんどない」。疑問を持ちながら参加してきたが、厳しい練習への報酬はない上、毎年のようにけが人が出ていたという。

 

 消防団で活動経験がある40代男性は「設備を使えるようになるのは設備担当になった、特定の人だけ。勝つための練習と言わざるを得ない」と指摘。現役の40代団員も「個々が消防ホースの使い方を学ぶ方が有意義だ」とし、活動内容の見直しを求める。

 

 操法大会の「不要論」は全国で広まり、うねりとなった。

 

 有識者らでつくる総務省の「消防団員の処遇等に関する検討会」は昨年8月、消防団の現場アンケートなどを基にまとめた最終報告書で「操法大会を前提とした訓練が大きな負担で、幅広い住民の消防団への参加の阻害要因となっている」と批判した。

 

 金子恭之総務相は4月28日の記者会見で、操法大会が、より災害現場で役立つ実践的な競技内容となるように改善する考えを表明。「団員の動作を過度にそろえるなど、パフォーマンス的な要素は審査対象外にする」と述べた。

 

 日本消防協会は2022年度から対応。島根県消防協会もこれにならう方針で、同協会の松浦嘉昭会長も「大会はこれまで重要な役割を果たしてきたが、時代とともに変化が求められている。自助努力の中で、より実践的な操法に変える」と受け止める。

 

 一連の取材を通じて県内の消防団員や関係者から聞かれたのは「地域を守るための消防団」という、変わらない使命感。一方で、消火活動のほか、頻発する災害への対応など、消防団の役割は変わりつつあり、使命感にすがるだけでは地域を守り続けることができなくなるだろう。

 

 現場の声が起こした変化のうねりは、放水動作の速さや正確さを競う操法大会の内容見直しという目先の論点だけで終わらせず、持続可能で、地域の声や実情に応じた役割を果たす消防団の実現につなげるべきではないか。


《カウンセラー松川のコメント》

本業とは別に消防団と言う法定の公設組織に参加しながら
訓練への参加には無報酬と言う搾取以上の非道ぶりです。
都会は兎も角、常備消防の力が強くない地域では
消防団による災害対応は絶大且つ貴重な存在です。
その様な大切な存在であるにも関わらず、
実務とは乖離した様式美と早さを競う大会
所謂[操法大会]の為に無償で駆り出される団員の負担は
時間的・体力的・精神的に大きいです。
地域によっては朝の5時とか6時からの早朝訓練もあるとのこと。
東京23区内でも、6月の大会に3月から訓練を開始する地域もあれば、
5月の大会に4月くらいから訓練を開始する地域とバラバラです。
操法大会の訓練ばかりで実戦に則した訓練をしない為に
団員の殆どが「ポンプ操作が出来ない」「筒先保持が出来ない」等の
消防団員としての基本技能が欠落している団もある程です。
この様な状態が消防団として健全とは言えませんし、
新規入団の阻害要因となっているのであれば、
自分で自分の首を絞めている訳です。
しかし、数年後に辞める幹部としては、
「自身の在任中に良い成績を残せれば良い」と言う
組織の将来より自己の栄誉を優先している情けない状況です。
消防団で問題となっている
・報酬や費用弁償がピンハネされる
・無駄な操法大会の訓練に人も金も消費されている
この2つを解決し改善しない限り、明るい未来はありません。

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