パワハラ、おねだり…『知事の疑惑』告発した職員に“停職3カ月”
「うそ八百、公務員失格」と知事は反論
2024年5月7日(火) 17:49 関西テレビ
兵庫県で知事の疑惑を“内部告発”した幹部職員が、「県政への信用を損なわせた」として「停職3カ月」の懲戒処分を受けました。一連の知事の対応に疑問の声も上がっています。
■「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」などと題する告発文が配られる
報道機関などに配られた告発文
ことし3月、一部の報道機関や県議会議員などに配られた告発文。
タイトルは、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」「知事のパワハラは職員の限界を超えている」「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
告発文には、去年、政務で斎藤元彦知事が加西市の企業を視察した後、企業の商品の「コーヒーメーカー」など6万円相当を贈答されたと書かれていました。
その他、阪神・オリックスの優勝パレードにかかる費用や贈答品、パワハラなど7項目にわたって知事や幹部職員への批判や疑惑を告発。この告発文を書いたのは定年退職を控えた60歳の県の幹部職員で、当時、西播磨県民局長でした。
■「うそ八百含めて文書を作って流す行為は公務員失格」と知事は反論したが…
「うそ八百含めて文書を作って流す行為は公務員失格」
斎藤知事は告発文にすぐさま反応。
【兵庫県
斎藤元彦知事 3月27日】「事実無根の内容が多々含まれている。名誉棄損や信用失墜、綱紀粛正、看過できない。業務時間中にうそ八百含めて、文書を作って流す行為はやっぱり公務員失格です。被害届や告訴などを含めて、法的手続きを進めている」
知事は「告発」は名誉棄損に当たるとして法的な手続きを取ると強硬な姿勢を示し、県民局長を解任。
しかし、事態は一転します。4月16日、知事の視察に同行していた産業労働部長が県議会の常任委員会で「コーヒーメーカーを受け取っていた」と認めたのです。部長は「知事の指示ではない」と話し、コーヒーメーカーは県庁に未開封のまま保管されていていたということです。
(Q知事が以前批判されていた文章の中身がうそ八百や事実無根であるとは、必ずしもそう言い切れなくなってきているが?)
【兵庫県
斎藤元彦知事 4月18日】「いろいろな捉え方があると思います。全ての事が事実か事実でないかと同時に、核心的な所が本当か本当でないかも大事。人事当局が全体の調査をしているので、その結果をまずは待ちたい」
県は7日午後3時ごろ会見を開き「告発文は核心的な部分において全てが事実無根」と調査結果を明らかにしました。前県民局長に対しては告発文を配ったことや、14年間にわたり勤務中に業務と関係ない文書を作ったことなどを理由に停職3カ月の処分。
また、コーヒーメーカーを受け取った産業労働部長(55)は、半年以上にわたり返却を怠り、「県民の疑念を招いた」として訓告処分となりました。
■兵庫県「公益通報」制度の通報窓口は県庁 第三者性もった窓口が必要との声も
「第三者性をもった公益通報の窓口が必要だと思う」
兵庫県庁には、職員などが違法行為を告発する際には「公益通報」という制度がありますが、通報窓口が県庁になるため前県民局長は「信用できない」として告発文という手段を取ったと言います。
通報や調査が県庁内部だけで行われていることを問題視する兵庫県議は、第三者機関による調査を県に求めています。
【兵庫県
丸尾まき県議会議員】「問題提起するのは(職員にとって)いろんなリスクが伴うし、本来であればそのことを踏まえて改善しないといけないことは、今後も山ほど出てくると思います。第三者性をもった公益通報の窓口が、今回の問題を踏まえての対応として必要だと思う」
停職処分を受けた前県民局長は関西テレビの取材に対し、「何と言っていいのか、言葉もありません」とコメントしました。
■通報しやすく、精査できる仕組み作りが重要か
停職処分を受けた職員は「何と言っていいのか、言葉もありません」とコメント
通報窓口が県庁の内部にあるシステムについては、どう考えられるのでしょうか。
【大阪大学大学院
安田洋祐教授】「内部にあると安心して通報できないかもしれない。筒抜けになってしまって何らかの不利益をこうむる恐れがあると、いきなり外部に出る告発という形を取らざるを得なかったというのが言い分だと思います。外部に告発できる自治体も数としては多いですし、そういった方向に切り替えていかないと、今回のように突然告発文が出るとか、突然SNSに書かれるみたいなことがあると、自治体あるいは首長のレピュテーション(信用毀損)リスクにつながります。
思い起こせば民間企業でもビッグモーターやダイハツの不祥事がありましたけど、あれも内部通報がきっかけなんですよね。違反行為が起こらないに越したことはないですが、実際に起きた後にどれぐらい通報しやすいか、きちんと精査できるかという仕組みを、行政、自治体も含めて作っていくのは重要だと思います」
今回の事案について、事実関係など分からないところもありますが、透明性の高い通報窓口の設置が望まれます
「告発文書は核心部分が事実ではない」
兵庫県、知事のパワハラ調査終了、告発の職員を懲戒
2024年5月7日(火) 20:54 産経新聞
兵庫県の西播磨県民局長だった男性(60)が斎藤元彦知事らの言動を「違法行為」などと指摘する文書を作成し、解任された問題で、県は7日、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。県は内部調査の結果、文書の内容は誹謗(ひぼう)中傷にあたると認定。県議会などからは第三者による客観的な調査を求める声が上がっているが、第三者機関の設置の必要性を否定した。
県は男性が今年3月、知事や一部の幹部職員を誹謗中傷する文書を作成・配布して多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損わせたなどとしている。また男性が約14年間で、勤務時間中に約200時間にわたり、今回の文書を含む私的な文書を作成したことなども処分理由とした。
一方、文書で指摘された県内企業からの贈答品の受領を認めた県産業労働部長(55)については、訓告処分とした。
この日、調査を行った県の人事担当者と顧問弁護士が結果を説明。知事のパワハラなど文書で挙げられた7項目の疑惑は調査の結果、核心的な部分が事実ではないと判明したとして「誹謗中傷文書である」と断じた。
「調査手法は申し上げられない」としつつ、人事当局による関係者への事情聴取などで「必要十分な調査を行えた」と断言。「県の信頼は回復できたものと考えており、第三者委員会の設置は必要ない」とした。
斎藤氏は「今後、風通しのよい職場づくりに努めてまいります」などとするコメントを出した。
斎藤知事批判文書問題 県が関係者の処分発表、前県民局長を停職3カ月
高級トースター受け取った部長は訓告
2024年5月7日(火) 15:06 神戸新聞
兵庫県の斎藤元彦知事らを批判する文書を作って配布したとして、西播磨県民局長だった男性(60)が解任された問題で、県は7日、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。内部調査の結果として「文書の内容は合理的根拠がなく、誹謗中傷に当たる」と認定した。
県職員局などによると、男性は3月中旬、「斎藤知事の違法行為について」と題した文書を作成し、関係者や報道機関に送付。斎藤知事は「(内容は)うそ八百だ」として男性を解任、3月末に予定されていた退職も取り消した。
男性は調査に対し「県への不信感があり、後輩職員を思っての行動だ」と動機を説明。県は、他の職員らへの聞き取りで、知事によるパワハラや各種団体への投票依頼などは確認されず、「核心的な部分が事実ではなく、知事や一部の幹部職員に対する誹謗中傷だ」と結論付けた。
さらに男性の公用パソコンを調べたところ、人事課の管理職時代に私的に特定の職員の顔写真データを持ち出していたことや、勤務時間中に職務と無関係の私的文書を作成していたことなどが判明。県は「役職の重みや個人情報の目的外利用、職務専念義務違反など複数の不正行為を加重して処分を決めた」とした。
男性は4月、真相究明を求めて県の公益通報制度の窓口にも通報している。
一方、この文書で、県内企業から高級トースターなどを受け取っていたことが明らかになった産業労働部長(55)は、懲戒処分を見送り、訓告の処分とした。
県の奨学金返済支援制度を利用する県内企業から昨年8月、コーヒーメーカーとトースター(計約6万円相当)を受け取っていたが、「PRのために受け取ろうとし、個人で取得する意志はなかった。収賄罪には該当しない」と判断。知事からの返却指示を受けたのに、半年以上怠っていたとした。
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