2024年5月14日火曜日

▼ANAが「カスハラ」マニュアル、社員の裁量から統一ルールで対応…機内セクハラにも対応策

ANAが「カスハラ」マニュアル、社員の裁量から統一ルールで対応
…機内セクハラにも対応策

 

2024年5月14日() 15:00 読売新聞

 

 航空大手のANAホールディングス(HD)が、利用者から理不尽な要求や嫌がらせを受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応マニュアルを作成したことがわかった。これまでは対応する社員の裁量に委ねられていたが、統一ルールを作成することで従業員を守る。空港では複数の航空会社がサービスを提供しており、対応が異ならないように同業他社との連携も図る考えだ。

 

 カスハラには違法行為かどうかが明確でないことも多く、企業が対応に苦慮している。ANAHDは明確な線引きを定め、カスハラを繰り返す利用者には対応しないなど毅然(きぜん)とした対応を促す。

 

 ANAHDによると、2023年度は社内で報告されただけでも288件のカスハラがあった。電話では暴言、空港では暴行、機内ではセクハラなどが多く、それぞれに対応策をまとめた。カスハラには複数人で対応するとともに、違法行為に発展した場合に備え、相手の承諾を得た上で録音・録画などの記録を残すことを基本とする。宮下佳子CS推進部長は「カスハラは他の乗客も嫌な気分にさせる。対応力に磨きをかけて防止に取り組む」と話す。

 

 カスハラの被害は年々、深刻化している。連合が約1000人の会社員らを対象に22年に実施した調査では、直近5年間でカスハラが「増加した」との回答が36・9%を占めた。被害を受けた人の38・2%が「出勤が憂鬱(ゆううつ)になった」と回答している。

 

 厚生労働省は22年にカスハラ対策の企業マニュアルを公表しており、企業の対応が徐々に進んでいる。東京メトロは今年3月、カスハラに該当すると判断した場合、原則としてその後の対応を断るなどとした指針を策定した。JR東日本も4月、同様の方針を公表している。東京都も防止条例の制定を目指している。

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