2022年4月11日月曜日

オンライン面談で「部屋着を見せて」…「就活セクハラ」4人に1人被害、泣き寝入りも

オンライン面談で「部屋着を見せて」
…「就活セクハラ」4人に1人被害、泣き寝入りも

 

2022年4月11日() 15:00 読売新聞(坂場香織)

 

 学生が就職活動中に受ける性的な嫌がらせ「就活セクハラ」。厚生労働省の調査では就活生の4人に1人が被害を受けているとされ、立場の弱い学生側が「泣き寝入り」を余儀なくされるケースも多いとみられる。来春卒業する学生の就職活動が本格化する中、同省は就活生からの情報収集や企業側に対する行政指導の強化といった対策に乗り出している。

 

深刻な被害次々と

 「カラオケ店で『お辞儀の練習』として肩やお尻を触られた」「大学OBの社員にホテルで性的関係を迫られた」

 

 労働問題に取り組む弁護士らでつくる「日本労働弁護団」が昨年夏から今年2月にかけてLINE(ライン)で実施した相談会には、就活生からの被害が相次いで報告された。「トラウマで就職活動を断念してしまった学生もおり、実態は予想以上に深刻だ」。弁護団の一人、長谷川悠美弁護士は実情をそう語る。

 

 一般社団法人「日本ハラスメント協会」(大阪)によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンラインで行われる採用活動でも、面接者から「カメラを動かして部屋を見せて」「部屋着を見せて」と要求される事例が出ている。ネット上のマッチングサービス「OB訪問アプリ」で会社を通さず個別に会い、被害に遭うケースも増えているという。

 

直接聞き取り

 厚労省は昨年4月、就活やインターンシップを経験した男女1000人に実施したセクハラ被害などの調査結果を公表した。それによると、1000人のうち255人が性的な質問やからかいを受けたり、性的関係を求められたりしたと答える一方、セクハラ行為にどんな対応を取ったかについては「何もしなかった」との回答が最も多く、理由として「就職活動に不利益が生じる」などが挙がった。

 

 こうした結果を踏まえ、同省は今春から、就活セクハラの対策強化に着手した。各地の労働局で先月から、就活中のセクハラなどをテーマにした出前講座を大学で実施し、学生らに被害防止のポイントなどを伝授。被害に遭った学生から経緯や内容を個別にヒアリングする取り組みも始めた。

 

 職場でのセクハラは男女雇用機会均等法で企業側に防止義務が定められているが、就活生は「労働者」に該当しないため防止義務はなく、同法の指針で「適切な対応に努めることが望ましい」とされるにとどまる。このため、「加害者」と名指しされた企業側に対する措置は行政指導で改善を求めることが限界だが、同省は、指導書を渡すだけだった従来の方法を改め、改善に向けた対策を企業側から確認することにした。継続的なチェックで企業側に取り組みの徹底を促す狙いがある。

 

 また、被害を申告した就活生が特定される恐れがある場合は、同業種の他の企業も含めて指導するといった措置も講じていく。

 

「自衛」意識も必要

 このほか、同省では今年度から、各企業を対象にハラスメント防止の研修事業も始めた。その中では、就活生に対するセクハラ、パワハラなどの防止研修も実施する。同省幹部は「就活生の立場の弱さにつけ込み、セクハラ行為をする従業員を抱えることは、企業のイメージにとってもマイナスなはずだ。指導や研修を通じ、必要な対策を講じていく」としている。

 

 日本ハラスメント協会の村嵜(むらさき)要・代表理事は、就活生側も「自衛」の意識を高める必要があるとし、「企業側の選考過程を十分把握した上で、関係のない個別の飲食に誘われた場合には『採用に必要なのか』と相手に尋ねるといった姿勢が求められる」と話している。


《カウンセラー松川のコメント》

加害者は被害者の立場の弱さを利用しているのでしょうけど、
表沙汰になる可能性を想像出来ないのでしょうか?
厚生労働省では就活者に対しての講習も行うそうですが、
「どうしても就職したい」と切望する者にとっては
相手の無理強いを拒否して就職が叶わなくなるよりも、
多少のセクハラなら受けてでも就職したいとの割り切りや
諦めもある点について解決しない限りは
単なるお役所仕事で終わってしまいます。
就活セクハラと言う[逆枕営業]は今に始まったことではありませんし、
採用側が優位に立つ限りは厳罰化しない限り、撲滅も難しいと思います。
就活セクハラを擁護するつもりは一切ありませんが、
現状の就職と言うシステムを根本から変えない限りは
無くならないと思います。

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