2022年4月1日金曜日

大津市民病院の医師大量退職「パワハラ認められない」

大津市民病院の医師大量退職「パワハラ認められない」

 

2022年4月1日() 19:51 産経新聞(野瀬吉信)

 

地方独立行政法人市立大津市民病院(大津市本宮)で、外科系の多くの医師が退職の意向を示している問題で、発端となった同病院理事長、北脇城氏(66)=3月31日に辞任=らのパワーハラスメントの有無について調査していた同病院の第三者調査委員会が3月28日、75ページに及ぶ調査報告書をまとめた。結論は「パワーハラスメントに該当するような言動は認められない」だった。ただ、「理事長側の対応に何も問題がなかった訳ではない」と問題点も指摘した。内容を詳報する。

今年2月初め、京都大学医学部から派遣されている外科系医師9人が北脇氏のパワハラを理由に3月末~6月末にかけて退職する意向を示した。その後、3月末~9月末までに、外科系医師計19人が退職意向を示した。うち5人は3月31日に退職している。 

パワハラは、昨年9月、外科統括診療部長が市民病院の内部統制推進室に申告。内部検証で「パワハラは認められない」との結論が出たが、外科医側は納得せず、病院は今年2月7日に第三者調査委員会を設置し、中井崇、金容洙両弁護士に検証を依頼していた。

 

■規程禁止に該当なし

外科医からの申告は「令和3年9月17日、理事長から呼びつけられ、外科業績に対して一方的に非難・侮辱されたうえ、根拠のない『業績不振』を理由に外科チームの退職を一方的に命じられた」だった。これに対し、調査委は「過去の裁判例に照らすと『業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動』とまで認めることはできない」と結論付けた。そして、「パワハラ防止規程によって禁止されているパワーハラスメントに該当する言動があったとは認められない」と判断した。 

また、脳神経外科医からの「令和3年6月以降、複数回にわたり行われたヒアリングで、業績悪化がA医師の責任であると名指しで非難し、京都府立医大から人員を派遣してもらうことを提案し、人員削減を強要するなどした行為がパワハラに該当する」などの申告に対しても、外科医の申告と同様の結論を出し、同様の判断をした。

 

■話の進め方混乱呼ぶ

調査委の判断は理事長らの言動は「パワハラでない」だった。ただ、「だからといって理事長側の対応に何も問題がなかったということではない」とし、問題点を指摘した。 

報告書では、「外科チームが退職を勧奨される理由について納得させられるに足りる十分な説明がなされていなかった」とした。さらに、「理事長、院長が京都府立医大の『医局』の出身者であることと相まって、病院における京都府立医大の勢力を高めるため理不尽に退職を迫っているとの不信感を抱かせた」との考えも示した。その上で、「理事長の話の進め方は、病院、地域医療の発展のため努力・貢献してきた外科医師の心情に対する配慮が不十分で、京都大学側の不信感を醸成して今日の混乱につながった」と理事長側の問題点を指摘した。

 

■「医局」センシティブ

調査委は、パワハラの有無、問題点の指摘以外にも「提言」をしている。 

「異なる『医局』に対する慎重な配慮」として、「経営陣は、『医局』の問題が医師にとって非常にセンシティブな(扱いに細心の注意を要する)問題であることを改めて認識し、『医局』に関わる問題を進めるときは、その進め方が異なる『医局』同士の対立を招くことのないよう、十分注意を払うことが必要であると思料する」と指摘した。 

市民病院の消化器外科、乳腺外科に通院する大津市在住の40代女性が今回の問題で「患者、市民が置き去りになっている」と訴えていた。この調査委の提言は、今回の問題が患者、市民、地域医療とは次元の違う「医局」が要因のひとつとなって、発生したことを物語っている。 

報告書を受け、大津市の佐藤健司市長は、「結果の如何(いかん)に関わらず、市民や患者に不安を招いた法人の責任は極めて重いとの認識に変わりはありません」とコメントし、「法人による運営の立て直しを全力で後押しする」と約束した。 

地域医療に求めれれるのは、安心に他ならない。

医局 医師の執務室、控え室。大学医学部の付属病院で、診療科ごとの教授を頂点とした人事組織。医学博士の学位を取るために所属する必要がある。人事権は教授がすべて握り、拒否権はないとされる。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ3月28日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 理事長のパワハラ、第三者委認めず 大津市民病院の医師退職問題 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。
このニュースでは報告書の内容が詳しく報じられています。
加害者に近い病院当局から依頼された第三者委員会の上に
委員が弁護士だからと言って正しく解釈出来る担保もされておりません。
弁護士が常に法律を正しく解釈出来るならば、裁判ももっと早期に終結出来ます。
解釈は人それぞれ。それは弁護士を含む法律家とて同じことです。
弁護士はあくまで弁護人や代理行為が出来る、仕事で法律を使っている人です。
よって、この第三者委員会も設置背景等から絶対的に正しいとは思えません。
3月28日付けの記事でも言及致しましたが、理事長の立場での言動ですから、
適正な手続きを経ずに解雇を持ち出したのは、パワハラに該当するとも解釈出来ます。

被害者の皆様へ
当該報告書が正確を期しているとは限りません。
退職で本件は終了でも、別途に調査を行い新たな報告書を出しても、
それはどちらでも構わないでしょう。

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