2025年9月11日木曜日

「野良犬」とパワハラで社員自殺 化粧品会社が遺族に1.5億円支払い

「野良犬」とパワハラで社員自殺 化粧品会社が遺族に1.5億円支払い

 

2025年9月11日() 10:01 毎日新聞(安元久美子)

 

 化粧品小売り「DUP(ディー・アップ)」(東京)に勤務し、自殺した女性社員(当時25歳)の遺族が11日、東京都内で記者会見し、民事調停で会社側から約15000万円の支払いを受ける決定を東京地裁が出したと明らかにした。社長のパワーハラスメントが原因で女性が自殺したと認め、社長の辞任と遺族への謝罪を含む内容という。決定は9日付。

 

 遺族側によると、亡くなったのは20214月に新卒で入社した里実さん(名字は非公表)。8カ月後、社長から勤務態度などについて約50分間にわたって「お前、大人をなめるなよ」「世の中でいう野良犬っていうんだよ」などと一方的に叱責され、別の日にも「力のない犬ほどほえる」と人格を否定するような発言を繰り返されたという。

 

 里実さんは221月にうつ病を発症して休職。自宅療養中の228月に自殺を図って約1年後に亡くなった。労働基準監督署は245月に社長のパワハラと死亡との因果関係を認めた。遺族が損害賠償を求めて提訴し、25年に入って民事調停に移行していた。

 

 里実さんの母親は「全力で人を愛し、優しく、周囲を笑顔にしてくれる存在でした。目の前から娘がいなくなってしまったことを、今でも信じることができません。新入社員や今後社会に出る若者たちのためにも、安全で職場環境の良い会社が増えるよう心から願っております」とのコメントを出した。



※ 他社のニュースも紹介致します

化粧品会社社長辞任と15億円支払い決定
 女性のパワハラ自殺巡り東京地裁

 

2025年9月11日() 18:12 産経新聞

 

化粧品メーカー「ディー・アップ」(東京)に勤務していた女性=当時(25)=が坂井満社長のパワーハラスメント発言などが原因で鬱病を発症し、自殺を図ってその後死亡したとして遺族が賠償を求めた訴訟で、東京地裁は社長が辞任し、遺族に15千万円を支払う決定を出した。遺族側の代理人弁護士が11日、明らかにした。決定は9日付。

 

訴状などによると、亡くなった里実さん(姓は非公表)は令和34月に入社。その後、同じ営業チームに所属していた先輩社員2人とトラブルになった。里実さんと面談した坂井社長は約50分間にわたって、先輩社員の言い分を前提に里実さんを叱責。「お前大人をなめるなよ」「世の中でいう野良犬」などと発言したという。

 

里実さんは鬱病を発症し、48月に自殺を図り、意識不明のまま510月に亡くなった。里実さんの両親は57月、損害賠償などを求め同社を提訴。65月には、三田労働基準監督署が坂井社長の発言はパワハラに当たり、鬱病や自殺との因果関係があると認定した。

 

今年5月に会社側から和解の申し入れがあったが、両親側が拒否。地裁から、当事者間の合意が成立する見込みがない場合に裁判所が示す「調停に代わる決定」の提案があった。社長の辞任や調停金の支払い、遺族への謝罪を含む内容で、双方が異議申し立て権を放棄し、決定が確定した。

 

同社によると、坂井社長は10日付で社長を辞任。同社はホームページに、里実さんや遺族に「衷心(ちゅうしん)よりお詫(わ)び申し上げます」などとするコメントを掲載した。


  

 

新入社員の女性に「野良犬」と叱責
…化粧品会社のパワハラで死亡、1億5000万円支払いへ

 

2025年9月11日(木) 18:18 読売新聞

 

 化粧品メーカー「ディー・アップ」(東京都港区)の社長(当時)からパワーハラスメントを受けた後に自殺した女性社員の遺族が、同社と社長に損害賠償を求めた訴訟を巡り、東京地裁(松下絵美裁判官)は、同社側に1億5000万円の支払いなどを求める決定を出した。9日付。遺族と代理人弁護士が11日の記者会見で明らかにし、遺族は「全国の会社がパワハラの起きない職場環境をつくってほしい」と訴えた。


 女性は、2021年4月に同社に入社した里実さん(当時25歳、姓は非公表)。同年12月、社長から「野良犬」「大人をなめるなよ」などと 叱責しっせき された後、うつ病を発症して自殺し、三田労働基準監督署が24年に労災認定した。


 代理人の松本龍馬弁護士によると、訴訟は今月に入って調停に移行し、地裁が職権による決定で解決策を示した。同社側が遺族らに謝罪し、社長が代表取締役を辞任することや同社側が再発防止策を講じることも盛り込まれたという。

 

 里実さんの姉(31)は東京都内で記者会見し、「里実が生きているうちに謝ってほしかった」と涙ながらに苦しい胸の内を明かした。母親は「言葉は人を癒やすこともできるが、人を殺すこともできる。若者たちのためにも、安全で職場環境の良い会社が増えるよう心から願っている」などとする文書を寄せた。

 

 同社によると、社長は10日付で代表取締役を退任した。同社側は「亡くなられた元従業員とご遺族に対し、衷心よりおわび申し上げる」とコメントした。




「野良犬」と暴言 化粧品会社社長パワハラで新入社員死亡
 遺族に15千万円支払い

 

2025年9月12日() 11:36 テレビ朝日

 

 新入社員の女性が自殺したのは、勤めていた化粧品メーカーの社長からのパワハラが原因だと遺族が訴えていた裁判で、東京地裁は会社側の責任を認めました。会社側は遺族側に15000万円を支払う決定をされ、社長が辞任しました。

 

叱責50分 うつ病休職から自殺

里実さんの姉

「結構一生懸命になる子で、本当にやる時はやるし、頑張り屋さん」

 

 カメラに笑顔を見せる里実さん。化粧品会社を起業することを夢見る明るい女性でした。

 

里実さんの姉

「社長に対して弁護士が言った通り、里実が生きているうちに謝っていただけたらよかったなって」

 

 20214月、化粧品メーカー「ディー・アップ」に入社した里実さん。入社から8カ月後、「上司に反抗的な態度をとっている」などといった理由で、一方的に社長室に呼び出されます。

 

坂井満社長

「お前大人をなめるなよ。先輩が注意した時もひどい態度をとってるらしいな。そういう人は合わねぇな。うちには」

 

 およそ50分間にわたり叱責を受けたといいます。それでも里実さんは。

 

里実さん

「チャンスをください。今後一切そのような態度を見せないように、ちゃんと自分なりに分析して」

坂井社長

「分析どころの話じゃねえ。チャンスはもうない。いいよ終わり。世の中でいう野良犬っていうんだよ。そういう人たちのいるところで仕事したほうがいいよ」

 

 翌日も激しく責められた里実さんは、年明けにうつ病と診断され、休職に追い込まれました。

 

 その後、里実さんは自殺を図り、一命は取り留めましたが意識は戻らず、おととし10月に25歳で亡くなりました。

 

社長辞任「組織ガバナンス強化」

 労働基準監督署は、坂井社長の言動がパワハラにあたり、うつ病と自殺に因果関係があると認定。東京地方裁判所が9日、会社側の謝罪や15000万円の支払いなどを決定しました。

 

里実さんの姉

「裁判官が出してくれた結果は、すごくうれしいというか。里実もいたらうれしいんだろうなって。もう少し社会が頑張っている人に対して温かくなればな」

 

 ディー・アップはホームページにコメントを発表しました。

 

「亡くなられた元従業員とご遺族に対し衷心よりお詫(わ)び申し上げます」

 

 今回の決定には社長の辞任も含まれていて、坂井社長が退任したことも明らかにしています。今後の再発防止策については。

 

「労務環境の整備と組織ガバナンスの強化に全社を挙げて取り組んでまいります」


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ4月3日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 社長が「野良犬」とパワハラ発言 自殺した女性社員の労災を認定
これの続報です。
社長の「野良犬」発言が人格否定になるのは間違いありません。
人間を動物に例えるのは褒める時でさえ、相手の解釈で問題になる可能性はあります。
さて、この問題を検証する上で大切なのは、「野良犬」発言に至った事案です。
被害者は2021年4月に入社。
その8か月後に「上司に反抗的な態度をとっている」等として社長室へ呼び出し。
ここまでは、一連の流れとして大きな問題は無いと思います。
そして、加害者である社長からの叱責についてニュースでは、
被害者に対して一方的な部分も感じられます。
しかし、社内での業務上のトラブルでは先輩や上司の言い分が優先されるのは、
一般的な傾向です。
後輩や部下の言い分に耳を貸したとしても、その現場を目撃していない限り、
また証人や証拠が無い限りは、後輩や部下は不利な立場と言えます。
これは、社内に於ける信頼度に由来すると言えます。
感情的な理由で後輩や部下を叱責するのは論外ですが、
業務遂行に関しては先輩や上司が誤りだとしても、
それに対して異論を唱えるのは新人としては性急と言えましょう。
この様な部分を視野に入れず、ただ起きた問題だけを責め立てても、
本当の解決には至らないです。
「新人は黙って従え」が正解とは言えませんが、
社会を円滑に進める為の処世術も身に着けておく方が良いとは思います。

御遺族の皆様へ
お子様を亡くされた悲しみは言葉で言い表せないと思います。
また、侮辱により疾患され、その罹患による自殺では、
納得も出来ないのは当然です。
しかし、お子様が社内で正義を貫かれたとしても、
その行為で社内の環境を悪化させたとなると、
叱責をされるのも世の常だと思います。
ニュースでは社長からの叱責に至った詳細が不明ですが、
お子様に対して同情的な表現が無いことからも、
ある程度は察せられると思います。


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