「なんでもハラスメント?」相次ぐ処分にネットで大論争
国税局長と警察署長のパワハラ問題
2025年9月23日(火) 18:38 仙台放送
仙台で相次いだパワハラ処分に寄せられた100件超の声
仙台で8月と9月、二つの公共組織のトップが部下へのパワーハラスメントを理由に相次いで処分を受けた。
国税庁は、仙台国税局長(当時・58歳)が複数の部下に「俺が話しているときにしゃべるな、動くな」などと威圧的な言動を繰り返し、机を指で叩いて長時間にわたって叱責したとして、減給10分の2(3カ月)の懲戒処分を下した。国税局長がパワハラで処分されるのは全国で初めてとされる。
また、宮城県警は仙台北警察署の署長(当時)について、署長室や会議の場で日常的に不機嫌な態度を取り、ため息を繰り返して部下に心理的圧力を与えていたと認定。いわゆる「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」とされ、本部長注意の処分を受け、その後依願退職した。
公共組織のトップが短期間で次々に失墜する異例の事態。まとめ記事には100件を超えるコメントが寄せられ、ネット上ではリーダーシップの在り方やハラスメントの定義をめぐって活発な議論が交わされた。
リーダーシップには「リスペクト」が不可欠
最も多かったのは「上司の態度や心構えの問題」を指摘する意見だ。
「愛やフォローの無い厳しい指導は自己満足に過ぎない」
「目標を示さず責任を取らない上司は職責を果たしていない」
根底には、部下に対するリスペクトの欠如があるという見方が広がる。
「地位や性別を問わず、誰に対しても笑顔でリスペクトするべきだとパワハラ研修で教わった」「不機嫌な顔は部下にも取引先にも失礼」といった体験談も共有されている。
「自分の家族や友人に同じ態度をとれるか」を基準にすべきだという声もあり、職場における基本的な人間関係の大切さが改めて議論の的になった。
公務組織の特殊性と任命責任
「なぜ公務員になったのか、初心を忘れていないか」。今回の問題を公務員ならではの立場から捉えるコメントも少なくなかった。
短期間でのトップの失墜は組織に大きなコストをもたらすため、任命責任を厳しく問うべきだとの意見が目立った。
一方で「国税局長と警察署長を同じ土俵で語るのは違う」という声もある。国税局は東北6県を束ねる巨大組織であり、警察署は地域単位の出先機関。部下の数も役割も大きく異なるため、同列で扱うことに違和感を覚えるという指摘だ。
また、過去の税務調査で職員が急に不機嫌になった体験を挙げ、「組織全体に威圧的な空気があるのでは」と疑念を抱く声もあった。
「なんでもハラスメント?」境界線をめぐる議論
記事へのコメントでは、パワハラの定義そのものに対する疑問も噴出した。
「人を使うことの難しさ」「同じ言動でも受け手によって感じ方が違う」という現実を踏まえ、指導とハラスメントの線引きは容易ではないとする意見がある。
「なんでもかんでもハラスメントと認定していないか」という懐疑的な声も目立った。
一方で、警察や国税といった組織には巨悪や脱税と戦うための機動力が求められるため、「多少の厳しい叱責までをパワハラとするのは違うのでは」という、従来型の組織論に立った意見も根強い。
同時に「処分を受けた上司たちの重圧に、果たして待遇は見合っていたのか」という問題提起もあり、構造的な課題を指摘する声も寄せられた。
処分への評価と民間との比較
処分が下されたこと自体を「組織が健全に機能している証」と評価する声もある。
「民間企業ではもっと酷い上司が多いが、なかなか告発すらできない。処分された部下たちはまだ幸せだ」という皮肉交じりのコメントも見られた。
つまり今回のケースは、公務組織が「ハラスメントを隠さず処分する方向に舵を切った」こと自体が重要だという評価につながっている。
あなたの職場にも…
威圧、そして不機嫌。二つの態度が相次ぐ処分を招いた今回の出来事は、単なる不祥事にとどまらない。
「リーダーとはどうあるべきか」「パワハラと指導の境界線はどこか」寄せられた声は、誰もが直面する職場環境の課題を映し出している。
あなたの職場にも、同じような問題は潜んでいないだろうか。
※ 他のニュースも紹介致します
「しゃべるな」と“イライラ態度”
仙台の国税局長と警察署長がパワハラで相次ぎ処分
「威圧」と「不機嫌」によるトップ同時失墜のワケ
2025年9月23日(火) 15:06 仙台放送
公共組織トップが相次ぎ失墜 異例の同時期処分
仙台で、二つの公共組織のトップがほぼ同時期にパワーハラスメントを理由に職を退いた。警察署長と国税局長。いずれも高い規範意識と公共性が求められる立場であり、「相次ぐ失墜」は異例の事態だ。背景には何があったのか。
ため息と沈黙で職場を覆った「フキハラ」
「またため息か」。署員たちは日々そう感じていたのかもしれない。
県警によると、仙台北警察署の署長(当時)は署長室や会議の場で日常的に不機嫌な態度をとり、理由も告げずにため息を繰り返した。何が不満なのか説明がないまま、部屋の空気は次第に重くなり、職員は発言を控えるようになったという。
この行為はいわゆる「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」にあたる。日本ハラスメント協会によれば、表情や態度の不機嫌さが続くと「周囲は理由を理解できないまま萎縮し、業務に支障をきたす」とされる。
署長は調査に「申し訳ない」と反省を示したものの、本部長注意処分を受けたのちに依願退職した。県警は再発防止を呼びかけ、他の署長らに「部下が働きやすい環境を確保するよう努めてほしい」と通達を出した。
「動くな、しゃべるな」威圧の叱責 国税局長の言動
一方で、仙台国税局長(当時・58歳)は言葉と行動で部下を追い詰めた。
「俺が話しているときにしゃべるな、動くな」
「なぜ俺の意図を汲んで仕事ができないんだ」
会議室に響く机を叩く音。指で机の端を連打する動作に、部下たちは口を閉ざし、動きを止めざるを得なかった。長時間にわたる叱責や威圧的な態度が繰り返され、国税庁は減給10分の2(3カ月)の懲戒処分を決定。国税局長がパワハラで処分を受けるのは全国で初めてのことだった。
発端は庁内の通報窓口に寄せられた匿名の情報提供。幹部による直接指導を受けても改善されず、わずか1カ月足らずで局長は更迭された。本人は「不安な気持ちがあり、職務に前のめり過ぎた」と釈明し、調査では行為を認めて謝罪したが、被害を受けた職員への直接謝罪は行わなかったという。
重圧の裏に見える共通点 そして組織の対応
警察署長は沈黙と不機嫌で、国税局長は叱責と威圧で。手法は異なるが、いずれも部下を萎縮させ、職場の雰囲気を悪化させた点は共通している。背景には「トップ就任直後の重圧」があったとみられる。署長は数カ月、局長はわずか1カ月にも満たない任期で不祥事を招いた。強いストレスや不安が態度や言葉となって現れた可能性がある。
同時に注目すべきは、組織の対応である。県警は本来公表しない「本部長注意」を異例に発表し、国税庁は内部通報制度を活用して調査を進めた。かつては隠されがちだった不祥事を「公表する」方向へ切り替えた姿勢は、時代の変化を映し出している。
かつては「厳しい指導」とされてきた態度が、今では「ハラスメント」と判断されるケースが増えている。処分を受けた二人の行為は、こうした社会の価値観の変化を象徴しているといえる。
あなたの職場は大丈夫?
ため息ひとつで空気を支配する上司。机を叩いて部下を威圧する上司。あなたの職場にも、似たような光景はないだろうか。
公共組織のトップがパワハラを理由に退いた今回の事態は、単なる不祥事ではなく、誰もが働く環境の在り方を考え直す契機である。権力とハラスメントは紙一重。その危うさに、社会全体がどう向き合うのかが問われている。
《カウンセラー松川のコメント》
拙ブログ8月28日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: ▼部下に対し日常的に不機嫌な言動 警察署長のパワハラ、本部長注意
これと
拙ブログ9月19日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: ▼【速報】仙台国税局の前局長 複数の部下にパワハラ 減給の懲戒処分
これの続報です。
「強い口調だから」「大きな声だから」「厳しい叱責だから」
今はこの程度でもパワハラと騒がれる時代になりました。
しかし、見出しのとおり「なんでもハラスメント?」と私も思います。
警察も国税庁も法執行機関であるので、上意下達の組織とも言えます。
しかし、上意下達の組織であったとしても、気分や機嫌での対応は問題でしょう。
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