拙ブログ1月28日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 【速報】「散髪しないと合格させない」昇任試験で部下にパワハラ 消防トップの消防長を懲戒処分 兵庫・丹波市
この件について、報道内容を元に改めて書き留めておきたいと思います。
事案発生時期:
2024年11月
事案発生:
昇任試験面接会場
加害者:
面接官でもある消防長(50代男性)
被害者:
面接試験受験生(年齢等不明)
事案内容(加害行為):
面接会場にて被害者が入室直後に加害者から
「制服のポケットのふたが乱れている」
「ネクタイが緩んでいる」
「ズボンに大きなしわが寄っている」
「髪が伸びている」
などと、大きな声で注意し一度退出。
被害者が再度入室後に
「丸刈りにしろとは言わないが、散髪に行ってもう一度見せに来い」
「散髪しないと合格させない」
などと、激しい叱責。
事案内容(被害状況):
被害者は叱責を受け、眠れなくなるなどした
事案内容(被害者の取った行動):
11月25日に丹波市公平委員会に相談
事案対応状況:
パワーハラスメントの可能性があると判断し、市が男性に聞き取りした。
1月には苦情処理委員会を2回開催。
職務上の地位や職場内の優位性を背景に「強いストレスを与え、就労意欲を低下させる状況に至らせた」と確認し、同月22日にパワーハラスメントと認定した。
加害者の弁:
消防の現場は集団行動が基本であり、規律を重んじるため厳しく指導しなければいけないという思いがあったが、今回の件は重く受け止めて反省し責任を感じている。
カウンセラー松川の見方(対被害者):
面接試験を受ける際、受験者が合格を希望しているならば、髪型や服装と言った身だしなみには細心の注意を払うべき。
これは社会人としてではなく、全ての面接受験者にとっての常識中の常識。
また、受験者の上司も、受験者に対しての指導を徹底するべき。
カウンセラー松川の見方(対加害者):
面背試験に合格できない様な服装に対して、親切心から指導を、そして熱い心から強い口調になったと推測します。
本来ならば受験者の上司が指導するべき内容を守らずに受験している事を不憫に感じたのかも知れません。
しかし、受験者が面接試験に臨むべき身だしなみで有ろうが無かろうが、試験が開始されているならば、試験官として臨むべきであり、それは受験者に対して指示をするのではなく、現在の身だしなみについて試験官として質問をするに留め、その上で採点や合否決定をすることが、公正公平な試験実施であり、試験官の務めであったと思います。
カウンセラー松川の見方(試験制度):
昨今では官民問わず、管理職や役職者になることを回避したがる者が居ます。
それは、少ない手当で仕事量が増えたり、責任を負わされるのが嫌だからなのです。
昇任試験の受験者数や合格率は、所属や部署にとって部下への指導監督の指数ともなります。
それゆえ、上司によっては部下を無理矢理にでも昇任試験を受験させる場合もあります。
部下としても「昇進はしたくないが、上司にも逆らいたくない」との思いから、嫌々受験する場合があります。
そうなると「面接試験で好感触を得よう」なんて発想は必要無いので、受験に相応しくない身だしなみで試験に臨む者が現れても不思議ではありません。
一般的に正規公務員は受験し合格しての採用なので、受験に関して無知な訳ではありません。
だから、この被害者も受験に関する予備知識が皆無だったとは思えません。
カウンセラー松川の見方(身嗜み):
昔から職場で「髭を剃るの剃らないの」「スーツを着るの着ないの」とのトラブルは起きています。
学校であれば、頭髪の規則や登下校時でも服装規定等が適用されますが、それさえも厳し過ぎると「ブラック校則」と問題視される時代です。
しかし、官民問わず制服着用時以外の被服規定は無い場合が多いでしょう。
また、頭髪や爪等も特に規制されないが為に「茶髪の何が悪い」「マニュキュアは何故ダメなのか」との問答も発生しています。
「不快感を与えない身嗜み」と常識に期待した抽象的な指導はしても、具体的に「ネクタイ着用」「男性は長髪禁止」との規定は少ないと思います。
さて、丹波市や丹波市消防本部には、この様な身嗜みの規定はあったのでしょうか?
もしもそれが無ければ、今般の消防長の指導も「個人の感覚を押し付けた」とされてしまう危険性はあります。
常識は常識として認識されても、それは万人が同じ感覚でもなく、また強要するものでない、単なる任意の共通認識なだけなのです。
特に「個を尊重」「多様性」が重視される時代であれば、尚更に「常識」を押し付けるのは、即ち「無理強い」と見做される時代とも言えます。
カウンセラー松川の見方(総括):
今般の事案は「合格させたい幹部」と「合格したくない職員」の不整合が生んだ、当に被害者・加害者・組織の全てが不幸に陥った悲しい事案だと思います。
そしてこれから「熱血指導はパワハラの要因」との短絡的思考が安全策になってしまうのかと思うと非常に残念です。
カウンセラー松川の見方(追記2025.1.29):
市の相談窓口へは被害者以外に被害者の上司も加わっていると毎日放送が伝えてます。
いくら厳し過ぎる叱責とは言え、面接官でもある消防長が「面接に相応しくない」と判断した上での叱責に対して、本来は被害者が叱責されない様な身嗜みで面接に臨む様に指導するべき立場の者までが、被害者に同調して「消防長によるパワハラだ」と訴え出るのは、管理監督者としていかがなものかと思います。
勿論「だからと言ってパワハラしても構わない」との意味ではありません。
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