消防本部におけるハラスメントの実態に関する調査の結果及び留意事項について(通知)
2025年1月29日(水) 総務省消防庁消防・救急課長
消防庁では、「消防本部におけるハラスメント等への対応策に関するワーキンググループの検討結果について(通知)」(
平成29年7月4日付け消防消第 171 号消防庁次長通知)を発出するなど、消防本部においてハラスメントの防止に向けた対策を推進していただくよう要請してきたところです。
しかしながら、消防本部におけるハラスメントの実態に関する調査の結果、別紙のとおり、令和5年度中にハラスメント行為により懲戒処分等が行われた
事案が多数発生している状況です。
ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に侵害する許されない行為であり、職員の士気を低下させ職場環境の悪化を招くとともに、国民、住民の信頼を著しく損ね、消防行政に対する社会的評価にも悪影響を与えかねない行為です。ハラスメントを防止するためには、消防職員の任命権者である消防長をトップとして、積極的に対策を実施することが必要です。貴職におかれましては、下記事項に留意の上、各種の対策を徹底するようお願いします。
おって、各消防本部におけるハラスメント対策の具体的な実施内容に係る調査を行う予定であることを申し添えます。
都道府県にあっては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対して、この旨周知されるようお願いします。
なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく技術的助言として発出するものであることを申し添えます。
記
1 消防長の意志の明確化
消防本部のトップである消防長自らが「ハラスメントは許さない」という意志を明確にし、それを消防本部内に周知徹底していくことが重要である。
このため、消防長の意志の明確化に当たっては、全ての職員がそれを十分に理解できるようにするため、職員に対して自らの意志を直接伝える、自らの意志を文書化して通知を発出する、通知を署内に掲示するなど、より効果的な対応を取るとともに、毎年度の初めに消防長の意志の明確化を再度行うなど、定期的に周知徹底すること。
なお、人事異動等により消防長が新たに就任した場合、新消防長は自らの意志の明確化を遅滞なく行い、消防長の意思表示が途切れることのないようにすること。
2 ハラスメントに係る通報及び相談をしやすい環境づくり
ハラスメント通報制度の確立やハラスメント相談窓口の設置については、最も基本的かつ重要なハラスメント防止対策の一つであり、これらが十分に機能するよう、通報・相談しやすい環境づくりに取り組むことが重要である。
このため、通報受付・相談窓口に必要に応じてハラスメントに関する知見を有する第三者を加えることや、通報制度や相談窓口に関する情報について職員に対し定期的かつ丁寧に周知等を行うことにより、職員の利用にあたる心理的障壁を除去することに努め、通報制度や相談窓口の利用を促すこと。
3 ハラスメントやその予兆の早期覚知
職員を対象としたハラスメントの実態に関するアンケートを実施する事や、職務として部下の人事管理、健康管理を行う管理職員が日頃から部下職員と円滑にコミュニケーションを図ることなどにより、組織としてハラスメントやその予兆を早期に覚知し、深刻化する前に適切に対応できるようにすること。
4 階層別の研修等の実施
調査結果において懲戒処分等が行われたハラスメント(176件)のうち、最も多かったのは上司から部下に対するもの(147件)であった。また、懲戒処分等を受けた者(206名)のうち、階級別で最も多かったのは消防司令補(66名)であり、年代別で最も多かったのは50代(89名)であった。
このため、職位や勤続年数等の階層別による研修や職場ミーティング等を通じ、職員が職位等に応じたハラスメントを防ぐための役割を理解し、実行できるようにするとともに、特に部下職員を持つ管理職員等については、自らの言動が組織風土や部下職員に大きな影響を与えることから、これらの職員に対する研修等を一層充実させること。
5 職員相互で不適切な言動をけん制しあえる良好な関係の構築
調査結果においてハラスメントが発生した場所のうち、最も発生件数が多かったのは執務室(107 件)である一方、管理職員の出入りが少ないガレージ、訓練室等や、勤務時間外に利用される飲食店等での発生件数(163件)が全体の6割超を占めた。
管理職員の目の届かない時と場所においてもハラスメントの発生を防ぐためには、職員一人一人がハラスメントの防止に向けた自覚を持ち、自らの言動を律し、職員相互で不適切な言動をけん制しあえる良好な関係を構築することが重要である。
このため、職員が自らの言動を振り返るチェックシートの導入、管理職員による部下職員との定期的な個人面談、所属内の職場ミーティングなどを行うことにより、職員の気付きを促す取組や風通しの良い職場づくりに努めること。
別紙
消防本部におけるハラスメントの実態に関する調査
1 調査概要
全国の消防本部(720本部)において、令和5年度中にハラスメント行為により懲戒処分等が行われた事案(※)について調査を行い、回答を集計したもの。
(※)「懲戒処分等が行われた事案」とは、ハラスメント行為者本人に対して懲戒処分又は訓告、厳重注意、説諭、諭旨などの実質的な制裁を伴わない矯正措置(以下「懲戒処分等」という。)が行われた事案をいい、監督責任による懲戒処分等が行われた事案は含まない。
2 調査結果
① ハラスメント件数及び内容
(※1) パワハラ、セクハラ、マタハラ以外のハラスメントが行われた事案をいう。以下同じ。
(※2) 2種類以上のハラスメントが行われた事案をいう。以下同じ。
② 懲戒処分等を受けた者(※)の数
(※)自らのハラスメント行為により懲戒処分等を受けた者をいい、監督責任により懲戒処分等を受けた者は含まない。以下同じ。
③懲戒処分等を受けた者と被害者の関係
④懲戒処分等を受けた者の階級内訳
⑤懲戒処分等を受けた者の年代
⑥ハラスメント発生場所
(※) 1事案において複数の場所でハラスメント行為が行われた場合、それぞれに計上している
本通知のURLは以下のとおりです。
250129_syoukyu
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