2025年7月16日水曜日

▼「真実明らかになっていない」 宮城・教諭パワハラ自殺 両親が会見

「真実明らかになっていない」 宮城・教諭パワハラ自殺 両親が会見

 

2025年7月16日() 18:05 毎日新聞(山中宏之)

 

 宮城県立高の30代の女性教諭が2020年に男性教諭からパワーハラスメントを受け自殺した問題で、県教育庁による「再発防止に関する検証報告書」を巡り、女性の両親らが16日、仙台市内で記者会見を開いた。父親は「公表されたことは再発防止につながる」と評価する一方で「真実が明らかになっていない」と憤る。遺族の代理人弁護士は県を相手取った国家賠償請求訴訟の可能性について「検討中」とした。

 

 代理人弁護士は、報告書は客観性を担保するために複数人から同一の話がなければ事実認定しないルールの下で作られたとして、「被害実態を網羅したものとは考えていない」と検証が不十分だと指摘した。再発防止策についても「特に管理職がパワハラに加担しているケースで、相談しにくいことが想定される。独立した外部の相談体制を構築するといった検討が必要だ」との見解を示した。

 

 母親は「広く先生たちに報告書を見てもらい、どうすれば自分たちの職場が良くなるのかを考えて対策をしなければ同じことが起きる」と訴えた。さらに、「少しの支えがあれば娘は死なないで済んだ。ぜひ、若い先生を支えるシステムを県教育庁や各学校で作ってほしい」と願った。

 

 県教育庁が10日に公表した報告書によると、男性教諭は206月、他の職員もいる校内会議の場で、女性教諭の業務内容についてしつこく問い詰めた。2人は対面でのやり取りが難しくなり、メモで業務の伝達をすることになった。しかし、男性は710月、「私に対する態度は失礼」「仕事は一切お願いしません」と不満をぶつけたり、非難したりする内容の手紙を女性の机に置いた。最後の手紙が置かれた4日後、女性は自宅で亡くなっているのが見つかった。

 

 男性教諭は242月、女性へのパワハラで停職3カ月の懲戒処分を受けた。遺族側の要望により行われた検証では、男性のパワハラ認定に加え、適切な対応を怠ったとして当時の校長ら管理職についても予見義務違反や結果回避義務違反が認められ、重大な過失があったと結論付けた。対策として、新任校長ら管理職へのハラスメント対策研修などを新設した。

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