2024年4月15日月曜日

▼「触られるのは珍しくない。でも笑顔で」75歳男が23歳女性理学療法士の下半身や胸を触る 不同意わいせつの裁判をきっかけに見えた実態(山形)

「触られるのは珍しくない。でも笑顔で」
75歳男が23歳女性理学療法士の下半身や胸を触る
 不同意わいせつの裁判をきっかけに見えた実態(山形)

 

2024年4月15日() 20:38 テレビユー山形

 

「許せんな」 そんなコメントがあふれた。

 

49日、山形県の山形地裁で行われた裁判に全国の注目が集まった。75歳の男が、入院中にリハビリを担当していた23歳の理学療法士の女性にわいせつな行為をしたとされるものだ。

 

詳しくは関連リンクの記事【「性的欲求がたまっていた」75歳の男が23歳の女性にした許されない行為不同意わいせつ裁判で語られたこととは(山形)】をご覧いただきたい。
※ この記事に続いて掲載してあります

 

この記事をネット上に掲載したところ、様々な反響があった。

 

中でも特に注目したいのが、現役の医療関係者などがアップしたと思われるコメントだった。

 

「以前看護師の方が、患者さんからセクハラを受ける度に心がしんでいくって話していた」

 

「みんながいるホールでセクハラがあり、上司もその場にいるのに利用者に注意できず、私たちが我慢しています」

 

「その人をよくしようと一生懸命にやっていたはずなのに。そんな奴ばっかじゃないと言いたいが」

 

セクハラやわいせつ事案は、入院患者や施設利用者が被害に遭うケースが時たま報道されるが、実は逆も多いのではないか。

 

そこで県内の関係者に取材を試みたところ、話だけならという条件でいくつかの声が聞けた。

 

「触られるのは珍しくないです。それはいやですよ。でも笑顔で仕事をしています」

 

そう話をするのは医療機関で働く30代の看護師(女性)。

 

第三者の目がある状況を作る、気をつける患者の情報を共有するなどの対策をとっている。ひどい場合は注意をすることもあるが、言える人ばかりではない。上司の対応について聞くと「話は聞いてくれるがそれだけの時が多い」と口にした。

 

「どうしても距離が近いので。仕方ないと思っています」

 

こちらは歯科医院で働く20代の歯科衛生士(女性)。

 

「口の中をのぞくと、体が患者さんの顔に近くなる。おかしな雰囲気を感じることもあります」また、わざとかはわからないが指をなめられたこともあるそうだ。今まで明確なセクハラには遭っていないが、注意したいと話した。

 

さらに、別のところからはこんな話も聞こえてきた。

 

「困っているのは女性だけではないですよ」

 

そう教えてくれたのは、県内の高齢者福祉施設に関わる男性。「女性はもちろん男性職員が触られるということも日常的にあります」

 

さらにこう続けた。「いい関係がいい介護につながると考えてしまう。だから言えない。まじめな人ほどがまんする気がする」

 

医療関係者や福祉関係者の中にもセクハラに悩む人たちがいる。

 

75歳の男の不同意わいせつ裁判。被害を受けた23歳の理学療法士の女性は、夢をかなえて職場で働き始めたばかりだったが、たった半年で適応障害と診断され休職している。がんばろうと思った矢先だったからこそ、心の逃げ場がなかったのかもしれない。

 

この裁判の判決は26日に山形地裁で言い渡される。



※ 関連リンクの記事は以下のとおりです

「性的欲求がたまっていた」
75歳の男が23歳の女性にした許されない行為
不同意わいせつ裁判で語られたこととは(山形)【独自】

 

202449() 18:57 テレビユー山形

 

「本当に反省しているのですか」

 

検察官の声が法廷に響いた。

 

この裁判を追っている新聞社はなかった。ほかのテレビ局もいない。我々だけが取材していた。

 

49日、山形地方裁判所。

 

緑色のジャケットを着て入廷した男は、椅子の背もたれに体をあずけ、検察官の声を聞いていた。小柄でやせ型の白髪まじりの男。75歳の男は何を思ったのだろうか。

 

被害者の女性は23歳。年の差は50歳以上だった。

 

山形県村山市に住む無職の75歳の男は、入院中に自分のリハビリを担当していた理学療法士に対しわいせつな行為をしたとして、不同意わいせつの罪に問われている。

 

きょうの初公判で男は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 

起訴状などによると75歳の被告の男は、去年9月、入院していた県内の病院で自らのリハビリを担当していた当時23歳の理学療法士の女性の下半身や胸などを触ったとされている。

 

「性的欲求がたまっていた」

 

冒頭陳述で検察側は犯行動機について「病室で性欲が解消できず、性的欲求がたまっていた」と指摘した。

 

また、被告が病室のベッドでカーテンを閉め切って2人しかいない空間を作ったことなどをあげて「自分の欲を優先して被害者の気持ちを考えず、酌量の余地がない」とした。

 

23歳の女性は理学療法士を志し、夢を実現させたが、この男の行為でわずか半年で適応障害と診断され現在休職しているという。

 

75歳の男は検察官に質問されると「申し訳ない」と口にしたが、証言台の椅子の背もたれに体をあずけ答えない場面も。

 

「本当に反省しているのですか」

 

検察が強い口調で言ったのはその時だった。

 

結局、検察側は75歳の男に対し懲役16か月を求刑した。

 

一方で弁護側は、男が示談金100万円を支払っていることや、家族の協力で再犯の恐れがないことをあげて情状酌量を求めた。

 

判決は今月26日に山形地裁で言い渡されるが、75歳の男は何を思うのだろうか。

 

(以降、新たな展開を追記する)

この記事をアップすると、驚いたことに、インターネット上で様々な反応があった。

 

「許せんな」そんなコメントがあふれた。

 

49日、山形県の山形地裁で行われた裁判に全国の注目が集まった。75歳の男が、入院中にリハビリを担当していた23歳の理学療法士の女性にわいせつな行為をしたとされるものだ。

 

この記事をネット上に掲載したところ、怒りのコメントとともに、様々な反響があった。

 

中でも特に注目したいのが、現役の医療関係者などがアップしたと思われるコメントだった。

 

「以前看護師の方が、患者さんからセクハラを受ける度に心がしんでいくって話していた」

 

「みんながいるホールでセクハラがあり、上司もその場にいるのに利用者に注意できず、私たちが我慢しています」

 

「その人をよくしようと一生懸命にやっていたはずなのに。そんな奴ばっかじゃないと言いたいが」

 

セクハラやわいせつ事案は、入院患者や施設利用者が被害に遭うケースが時たま報道されるが、実は逆も多いのではないか。

 

そこで県内の関係者に取材を試みたところ、話だけならという条件でいくつかの声が聞けた。

 

「触られるのは珍しくないです。それはいやですよ。でも笑顔で仕事をしています」

 

そう話をするのは医療機関で働く30代の看護師(女性)。

 

第三者の目がある状況を作る、気をつける患者の情報を共有するなどの対策をとっている。ひどい場合は注意をすることもあるが、言える人ばかりではない。

 

上司の対応について聞くと「話は聞いてくれるがそれだけの時が多い」と口にした。

 

「どうしても距離が近いので。仕方ないと思っています」

 

こちらは歯科医院で働く20代の歯科衛生士(女性)。

 

「口の中をのぞくと、体が患者さんの顔に近くなる。おかしな雰囲気を感じることもあります」

 

また、わざとかはわからないが指をなめられたこともあるそうだ。今まで明確なセクハラには遭っていないが「注意したい」と話した。

 

さらに、別のところからはこんな話も聞こえてきた。

 

「困っているのは女性だけではないですよ」

 

そう教えてくれたのは、県内の高齢者福祉施設に関わる男性。「女性はもちろん男性職員が触られるということも日常的にあります」

 

さらにこう続けた。「いい関係がいい介護につながると考えてしまう。だから言えない。まじめな人ほどがまんする気がする」

 

医療関係者や福祉関係者の中にもセクハラに悩む人たちがいる。

 

75歳の男の不同意わいせつ裁判。被害を受けた23歳の理学療法士の女性は、夢をかなえて職場で働き始めたばかりだったが、たった半年で適応障害と診断され休職している。

 

がんばろうと思った矢先だったからこそ、心の逃げ場がなかったのかもしれない。

 

では、こうした医療関係者などを守る仕組みはあるのか。関係機関は何をしているのか。

 

(以降、追加取材内容を追記する)

関係機関を直撃取材した。

 

山形県の山形地方裁判所で行われているひとつの裁判。

入院していた75歳の男が、リハビリを担当していた23歳の女性理学療法士にわいせつな行為をしたとして波紋を呼んでいる。

 

裁判では検察官が「反省しているのか」と男をたしなめる場面も。

 

今回の裁判とは別の問題だが、これまでの取材で県内の医療関係者などが「さわられる」や「なめられる」などの被害を受けたとの話が聞けた。

 

こうした状況に、関係機関はどう対処しているのだろうか。

 

山形県病院事業局に聞いた。

 

裁判で被害者とされる女性がどの医療機関かは明かされていないが、医療関係者の置かれている環境を知るものさしにはなる。

 

関係者がセクハラ被害にあった場合、どう対処しているのか聞くと「相談窓口があります」と答えた。県病院事業局は、2003年に相談窓口を設置し相談を受け付けているという。

 

では、これまで相談は何件あったのか。「ゼロです」と担当者。相談はないが、ハラスメントに関するチラシやパンフレットを配り、相談しやすい環境づくりをしているのだそうだ。

 

ならば、県内で、医療現場での不同意わいせつ裁判が起きていることを知っているのだろうか。聞いてみると「そうなんですか」と知らない様子だった。

 

続いては山形県医師会。約1700人の医師が会員の組織だ。

 

県医師会にもセクハラ被害があった場合の対処を聞いた。

 

すると県医師会は「医師・弁護士・警察がメンバーの安全確保対策委員会があります」と教えてくれた。医療関係者が被害を受けた場合に備え、去年立ち上げたらしい。しかしこれまでセクハラなどの報告はない。

 

ちなみに、委員会の対象となる医療関係者に理学療法士は含まれるかを聞くと「含まれると思います」とのこと。

 

では裁判のことを知っているかを尋ねると「把握していません」とのことだった。

 

県、県医師会ともに相談窓口や対策委員会などの仕組みは存在した。しかし現場の状況が把握できているのか、という点では疑問が残った。

 

県の担当者は「把握すれば対応します」としたが・・・

 

「把握できていないものは対処のしようが・・・」とポツリ。

 

理解しないではないが、23歳の女性理学療法士が被害にあった不同意わいせつ裁判は確かに進行中だ。裁判になっていながら把握できていない現状を、関係機関は考えなくてはならないのではないか。

 

75歳の男による不同意わいせつの裁判は、今月26日に山形地裁で判決が言い渡される。

 

(以降 判決を取材 裁判官との詳細なやり取りを追記する)

そして426日、判決の日がきた。

 

「罪を見つめる時間を」裁判官が男に語りかけた。

 

裁判官が判決の後に被告に語りかけることは「説諭」とも呼ばれ、多くの裁判で見られる光景だ。

 

しかし「罪から目をそむけている」といった言葉を使うことは、あまりない。

 

被告の男は、だまってその話を聞いていた。

 

75歳の男は、去年9月、入院していた病院でリハビリを担当の23歳の理学療法士に出会う。

 

男はその理学療法士に対する不同意わいせつの罪に問われ、山形地方裁判所で公判が行われていた。

 

きょうは判決の日。

 

くすんだ緑色のジャケット、白色のシャツにグレーのネクタイ。小柄でやせている白髪まじりの男は、証言台の椅子に座っている。少し背筋を伸ばして。

 

はたして、判決は。

 

「主文 被告人を懲役16か月とする。刑の執行を4年間猶予する」

 

有罪判決が言い渡された。そして改めて犯行の内容が明かされた。

 

裁判官は「太ももをなでる、胸をさわる」などの行為を認定した旨を伝える。そして「陰部をこするようにさわる」などの行為があったことが判決の理由だとも述べた。

 

「何してるんですか」被害者は注意したという。

 

にもかかわらず男が行為を繰り返したことに触れ「このくらいなら怒られないだろうという行為は、身勝手で執拗」と指摘した。

 

男は身動きせずに聞いている。

 

すると裁判官が「間違っていたらすみません」こう添えた上で話し出す。

 

「裁判を通して、なぜ罪を犯したのか十分に答えられていないように感じた」

 

裁判官がこのように話すのは異例だ。

 

さらに「罪から目をそむけている、見ないようにしている印象を受けた」と続けた。

 

そして最後に、裁判官としての思いを口にした。

 

「罪を見つめる時間とするため、執行猶予期間を長めにしました。被害者の思いに向き合うことは必要。最低限の責任です」

 

その言葉を聞くと、男はゆっくりと立ち上がって頭を下げた。

 

「どうもすみませんでした」

 

女性の心中は。

 

被害にあった20代の女性理学療法士は、現場に出て半年で、今回の事件をきっかけに休職を余儀なくされた。

 

きょうは法廷内についたてが設けられ、中は見えなかったが、確かに人の気配があった。男の声が女性にどう届いたかは、わからない。

 

今回の件から、医療の現場が、働く人たちにとって安心して働ける環境であるのかを、関係機関はしっかり考える必要があるのではないだろうか。

 

私たちの取材から、今回の出来事は氷山の一角だとわかったのだから。

 


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