2024年7月12日金曜日

▼「特定秘密」違法取り扱い・手当の不正受給・パワハラ…防衛省、全幕僚長を含む異例218人処分

「特定秘密」違法取り扱い・手当の不正受給・パワハラ
…防衛省、全幕僚長を含む異例218人処分

 

2024年7月12日() 21:45 読売新聞

 

 防衛省は12日、安全保障上の機密情報にあたる「特定秘密」が違法に取り扱われていた問題などを受けて、増田和夫・事務次官や吉田圭秀(よしひで)・統合幕僚長のほか、陸海空の全幕僚長を含む計218人を懲戒処分や訓戒などにしたと発表した。不正にかかわった大半は海上自衛官で、酒井良・海上幕僚長は19日付で引責辞任する。一連の不祥事は「制服組」「背広組」トップを含む大規模処分に発展した。

 

 この日公表された不祥事は▽特定秘密の違法な取り扱い▽海自隊員による潜水手当の不正受給▽海自基地内で隊員が不正に飲食物を受け取った問題▽政策立案を担う防衛官僚によるパワーハラスメント――の四つ。

 

 木原防衛相は記者会見で、「いずれの事案も国民の信頼を裏切る、決してあってはならないものだ」と謝罪し、給与1か月分を自主返納すると明らかにした。

 

 特定秘密の違法な取り扱いを巡っては、海自で45件、空自で9件、陸自で2件、統合幕僚監部と情報本部で各1件の計58件の不正が発覚した。延べ121人(停職15人、減給6人、戒告6人、訓戒など94人)が処分された。

 

 海自では少なくとも艦艇38隻で、艦船の航跡情報などがコンピューター画面に表示される戦闘指揮所(CIC)や艦橋において、適性評価を受けていない隊員が勤務する事例が相次いで確認された。

 

 特定秘密保護法では、資格を得ていない隊員が特定秘密を見聞きしなくても、知りうる状態に置かれた場合に「漏えい」となる。しかし、こうしたケースが「漏えい」にあたるとの認識が海自全体になく、教育も行っていなかったという。海自は再発防止策として、CICに立ち入る隊員には資格の取得を義務づけることを示した。自衛隊外部への漏えいは確認されていないという。

 

 海自では、遭難した潜水艦を救助する潜水士が、実際には訓練で潜っていないのに潜水手当を繰り返し受け取っていた。免職11人を含め74人が処分され、不正受給額は約4300万円に上った。

 


 海自厚木航空基地(神奈川県)などでは、隊員が食堂で不正に無料で飲食し、計22人が懲戒処分となった。

 

 防衛官僚3人のパワハラも明らかになった。このうち1人は主要幹部にあたる「指定職」で、部下に威圧的な言動を繰り返したとして、停職9日の懲戒処分を受けた。この幹部は12日付で大臣官房付となった。

 

 ◆特定秘密=2014年施行の特定秘密保護法で定められ、防衛や外交など4分野で特別に秘匿が必要な情報。経済状況などを審査する「適性評価」を通らなければ取り扱えない。23年末時点で13万5479人が資格を持ち、防衛省関連は12万2459人を占める。

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