新入社員の自殺、上司のパワハラ認定…福岡地裁「無抵抗な状態に追い込んだ」
2024年7月6日(土) 10:12 読売新聞
住宅メーカー「住友林業」熊本支店(熊本市)の新入社員だった男性(当時24歳)が自殺したのはパワハラや長時間労働が原因だとして、父親(64)が労災を認めなかった熊本労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。中辻雄一朗裁判長は「上司の指導が男性を萎縮(いしゅく)させ、無抵抗な状態に追い込んだ」とし、処分を取り消した。
判決によると、男性は2015年4月に入社し、同年11月にうつ病を発症。翌年1月に自殺した。同署は男性が1日2時間の休憩を取っていたとして労働時間を算定し、パワハラも否定して労災を認めなかった。
これに対し、判決では実際の休憩は1時間だけだったとして、死亡前の4か月の時間外労働は最大で月約105時間となり、認定の基準に準ずると判断。上司が男性を「お前」と呼び、同僚らの前で叱るなどした行為もパワハラと認定した。
両親は判決後の記者会見で「利益、生産性は痛みを思いやる心があってこそ成り立つのではないか。息子の死を無駄にしてほしくない」と訴えた。
同署は「判決内容を検討して判断したい」とし、住友林業は「判決内容を把握していないため、コメントできない」としている。
住友林業社員の自殺、労災認定 長時間労働とパワハラ原因 福岡地裁
2024年7月5日(金) 19:49 時事通信
2016年1月に住宅大手「住友林業」(東京都千代田区)の新入社員だった男性=当時(24)=が自殺したのは、長時間労働と上司のパワハラでうつ病を発症したのが原因だとして、熊本労働基準監督署の労災不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。
中辻雄一朗裁判長は、パワハラなどが自殺の原因と認めた上で「業務起因性が認められる」とし、処分を取り消した。
中辻裁判長は、男性を「お前」と呼んだり、同僚の前で叱責したりした上司の指導について「新人を萎縮させ、自尊心を損なわせ、不相当で適切性を欠いた」と指摘。こうしたパワハラで心理的負荷を受けたことに加え、自殺前の3カ月間、1カ月当たりの時間外労働時間がそれぞれ約100時間に及んだことを挙げ、業務と自殺との因果関係を認めた。
国側は、上司の言動について「パワハラには該当しない」などと主張していた。
判決によると、男性は15年4月に入社後、熊本支店に配属。住宅販売業務に携わっていたが、翌年1月1日、福岡県内の親類宅車庫に駐車していた乗用車内で死亡しているのが見つかった。
熊本労働基準監督署の話 判決内容を検討し、関係機関と協議をした上で判断したい。
住友林業社員自殺 長時間労働とパワハラ認定 福岡地裁判決
2024年7月5日(金) 19:47 毎日新聞(志村一也)
大手ハウスメーカー「住友林業」(本社・東京)の熊本支店の新入社員だった男性(当時24歳)が2016年1月に自殺したのは、長時間労働や上司のパワハラによるうつ病発症が原因だとして、男性の父親が労災と認めるよう国に求めた訴訟の判決で、福岡地裁は5日、労災不認定とした熊本労働基準監督署の処分を取り消した。中辻雄一朗裁判長は長時間労働とパワハラを認めた上で「前時代的な体育会系の指導で不適切だった」と非難した。
判決によると、男性は15年4月に入社して熊本支店に配属後、16年1月1日に自殺した。両親は17年2月に熊本労基署に労災を申請したが、不認定とされたため、20年2月に提訴した。
判決は、同社の1日の休憩時間は2時間と規定されているが、男性が取得できたのは1日1時間だったと指摘。自殺の半年前から1カ月の時間外労働が69~104時間に達していたと認定し、精神疾患に起因する過労自殺の基準に迫る状況だったとした。
さらに上司が同僚の面前で男性を叱責したり、「気合が足りない」と発言したりしたことなどをパワハラと認定し「自死という最悪の結果につながりかねない不相当な指導と言わざるを得ない」と非難。長時間労働とパワハラにより、うつ病を発症し自殺したと判断し、労基署の処分を取り消した。
男性の母親は判決後の記者会見で「長男の霊前にやっとあなたの苦しみがわかってもらえたよと報告できます。長男の死を無駄にしてほしくないと願うばかり」と涙ながらに訴えた。
熊本労基署は「今後の対応は判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で判断したい」などとコメントした。
住友林業の新入社員自殺、長時間労働とパワハラ認定 福岡地裁
2024年7月5日(金) 18:42 朝日新聞
戸建て住宅大手「住友林業」熊本支店(熊本市)の新入社員の男性(当時24)が2016年に自殺したのは、長時間労働や上司のパワーハラスメントが原因だとして、労災でないとした処分を取り消すよう父親(64)が国に求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。中辻雄一朗裁判長は、原告の訴えを認め、処分を取り消した。
判決によると、男性は大学卒業後の15年4月に入社し、熊本支店に営業職として配属。帰省中の16年元日に自殺した。父親は熊本労働基準監督署に労災を申請したが、署は17年12月、労災と認めない決定をした。
中辻裁判長は、同社が定めた1日計2時間の休憩時間の半分について、営業職に休憩を確実に取る意識が薄かった上、新入社員が自分の裁量で休憩するのは心理的な抵抗感があったと指摘。自殺直前の2カ月間の残業時間は月100時間前後だったと認定した。
0 件のコメント:
コメントを投稿