2024年8月3日土曜日

▼「アホ、ボケ、帰れ」反省文を長時間 仕事でけが「いつ辞めるんや」 「パワハラ」3年以内に3割

「アホ、ボケ、帰れ」反省文を長時間 仕事でけが「いつ辞めるんや」
 「パワハラ」3年以内に3

 

2024年8月3日() 11:38 神戸新聞(斉藤正志)

 

 優越的な立場を背景に行われるパワーハラスメント(パワハラ)について、神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」でアンケートをした結果、回答者の3割以上がこの3年以内にパワハラを受けていた。組織内外の窓口などに相談した人もいたが、その半分以上が「(調査や指導、処分などは)何も行われなかった」と答えた。

 

 「必要以上に責め、ミスの反省文を長時間、書かされる。残業代は裁量労働制のためになく、会社での寝泊まりを暗に強要された。人間性を否定され、部署の全員で責められた」(神戸市西区、40代女性)

 

 「アホ、ボケ、帰れ! の侮辱。到底できない仕事量を押し付けて、できなければ倉庫の掃除を1週間ほどやらされる。(会社側と面談したが)逆に自分がパワハラの原因をつくった的な話にされた。会社全体でパワハラをされた」(兵庫県淡路市、50代男性)

 

 アンケートは声を聞き取ることが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なる。6月、LINE(ライン)を通じて行い、401人が回答した。344人(85・8%)が「パワハラを受けたことがある」と答えた。

 

 その時期は「11年以上前」が28・2%で最多。一方で、「現在」9・6%、「この半年以内」7・8%、「この1年以内」5・5%、「この3年以内」15・4%を合わせると、計38・4%に上った。

 

 パワハラをした相手側は「組織内の上司」が71・8%で圧倒的に多かった。パワハラの分類では、「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)の77・9%が最も多く、「過大な要求」が33・7%、「人間関係からの切り離し」(隔離・仲間外し・無視)が32・0%だった。

 

 組織内外の相談窓口や、上層部・所属長などに相談したと答えた人に、その結果を聞いた設問では、「何も行われなかった」が55・9%で最多に。「行為者への口頭での注意や指導が行われた」が10・2%、「組織内の調査でパワハラが認定され、何らかの処分が行われた」が4・5%だった。

 

 「看護師です。新卒で入った病院が厳しかった。引き出しの中を触っているのに勢いよく閉められる、申し送りは聞いてもらえないなど。嫌がらせをしてくるのは数人でしたが、次の新人が入ってくるまでは本当につらかった。同期で励まし合って乗り切りました」(兵庫県北播磨地域、40代女性)

 

 「仕事中にけがをして入院していた時、直属の上司から『保険金が欲しいから休んでるんやろ』とメールがあり、復帰後も『いつ辞めるんや』などと何回か言われた」(神戸市東灘区、60代男性)

 

 2020年施行のパワハラ防止法は職場における防止対策を大企業に義務付け、22年からは中小企業にも拡大している。

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