赤字の責任を押し付けられ…「あんたらは腐ったミカンや」
兵庫のパワハラ実録、暴言を浴び続けた日々
2024年8月14日(水) 11:37 神戸新聞
優越的な立場を背景に行われるパワーハラスメント(パワハラ)。神戸新聞社はLINE(ライン)を通じたアンケートを行い、兵庫県内などの344人が「受けたことがある」と答えた。人格を否定したり、個人の尊厳を冒したりする言葉を投げかけられ、休職や退職に追い込まれたケースもあった。被害を受けた人の体験談を紹介する。
■暴言浴び続けた兵庫県北播磨地域の男性(58)
兵庫県北播磨地域の男性(58)は、勤めていた訪問看護の事業所で、経営者から受けたひどい扱いが忘れられない。
従業員が経営者を含めて3人だけの事業所。男性は立ち上げから関わり、当初の利用者は少なかったため、営業も任された。
看護タクシーの運転や訪問看護の仕事の傍ら、利用者増を目指したが、成績は芳しくなかった。
開業から約1カ月後、経営者からの暴言が始まった。
「開業資金に1500万円使ってるから、つぶれたり辞めたりしたら500万円ずつ払ってもらうから」
事あるごとに言われた。
経営者は連日のように、夜に酔っぱらって男性に電話をかけてきた。
「赤字をどうしてくれるの」「どう考えてるの」
業務時間が終わっているにもかかわらず、詰問された。
■訴訟も視野に弁護士に相談
ある日、事業所内にいる時、経営者に言われた。
「仕事が来ないのは、あんたの見栄えが悪いからや」
業務とは関係ない外見のことをなじられた。
別の日には、もう一人の従業員と屋外の喫煙所でたばこを吸っていると、経営者がやってきた。
「ずっと赤字経営や。給料を払っているのに、あんたら2人は腐ったミカンや」
少しでも反論すると、さらに厳しく叱責(しっせき)されるため、何も言い返せなかった。
男性は耐えられなくなり、2023年に退職。現在も、何げない時に当時のことを思い出し、ふさぎ込んでしまうことがある。
弁護士に相談し、経営者に慰謝料を求めて提訴することを考えている。
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