なでしこ2部「ディオッサ出雲」のブラジル人選手が
セクハラ・パワハラ被害訴え
クラブ側は一部否定
2024年11月6日(水) 18:45 さんいん中央テレビ
なでしこリーグ1部昇格を目指すチームの中で何が起きているのでしょうか。
出雲市の女子サッカーチーム「ディオッサ出雲」のブラジル人選手2人が、チーム関係者からセクハラにあたる発言や差別的な発言を受けたとして、代理人弁護士とともに記者会見を開き、被害を訴えました。
一方で、クラブ側も会見を開き、一部事実ではないと反論しました。
選手の主張(通訳):
「私たちは権力の乱用などによって苦しむため、あるいはいじめの奴隷になるために来たのではありません」
被害を訴えているのは女子サッカー・なでしこリーグ2部の「ディオッサ出雲FC」のブラジル人選手の2人です。
11月6日、出雲市役所で代理人弁護士と通訳とともに会見を開きました。
代理人弁護士の説明によると2人が訴える被害は大きく3点です。
1つ目は、監督・コーチらによるセクハラや差別的発言。
選手側の主張によると2人が入団したおととし8月からチーム活動を離脱した今年8月までの間、チームの監督がミスをした2人に対して練習中や試合中に何度もポルトガル語で男性器を意味する言葉などを投げかけたほか、コーチからは2人が日本語の指示を理解できない事に対し、「こいつら分かってんの」などとあざ笑う発言があったとしています。
2つ目は、通訳を帯同させなかった契約違反です。
入団時の契約では練習と試合のときには通訳を手配する義務がクラブ側にあったにもかかわらず、短期間しか手配しなかったと主張しています。
3つ目は監督によるパワハラ発言です。
2人近いチームの関係者がクラブ側に対して通訳の帯同を求めたところ、監督から「そうしたことを求めるなら2人を試合に起用しない」といった旨の発言があったとしています。
これらの問題から2人はリーグ戦途中の今年8月を最後にチームを離脱していて、心療内科に通院し、うつ状態と診断されたとしています。
代理人弁護士:
「お二人はクラブに残りたいというのが私が伺っている最新の意思ですね。分断されている選手たちにきちんとした説明会を開いてほしい。その上で環境改善がなされたチームに戻りたい、というところでございます」
2人は代理人弁護士を通じて監督、コーチの解任や環境改善を求めてきましたが、クラブ側にその意志がみられなかったことから6日付でクラブが所属する日本女子サッカーリーグにクラブと関係者の処分を求める内容の書面を提出したということです。
そのうえで、今後のクラブの対応によっては、出場機会を奪ったことへの損害賠償や精神的苦痛に対しての慰謝料を求めた訴訟の提起も視野に入れているとしています。
一方、この会見後、クラブ側も同じ場所で会見を開き、クラブ側の考えを述べました。
まず2つ目の通訳を帯同させなかった点については…。
NPO法人・ディオッサスポーツクラブの理事長:
「試合の時も100%つけていたという状況ではなかったという部分は、クラブとしては認めざるを得ないところでございます」
通訳の帯同が不十分であった点を認め、契約不履行に対する損害賠償請求に応じる考えを示しました。
一方で、その他の選手側の主張については一部反論しました。
まず一つ目の監督・コーチによるセクハラや差別的な発言について、クラブの内部調査では性的な意味を持つポルトガル語はミスをした時などによく使われるスラングのような言葉であり、差別の意図をもって選手に発言したものではないと主張していますまた、コーチが2人をあざ笑う発言もなかったとしています。
また、3点目の監督によるパワハラ発言についても、「チーム内で解決できることを監督を交えずに相談するという対応は順番が違っており、そういうことをされると選手が起用しにくくなる」という意図で発言したと主張しています。
NPO法人・ディオッサスポーツクラブの理事長:
「仲が良かったのに、なんでこうなってしまったのか非常に不思議でならない」
クラブ側は現在、日本女子サッカーリーグから指摘を受けて追加調査を実施していて、この調査を踏まえパワハラやセクハラについて事実が認定されれば関係者の処分を検討するとしています。
※ 他社のニュースも掲載致します
なでしこリーグ2部チームでセクハラか
ブラジル人選手2人が訴え
2024年11月6日(水) 20:00 朝日新聞(中川史)
島根県出雲市を拠点とする女子サッカーチーム「ディオッサ出雲FC」(なでしこリーグ2部)に所属するブラジル人選手2人が6日、監督とコーチからセクハラやパワハラを受けたり、通訳を付けてもらえなかったりしたなどとして、日本女子サッカーリーグに告発文を送った。リーグや日本サッカー協会に対し、一定期間のクラブの活動停止や関係者の処分などを求めている。
2人はMFのスペナザット・ラウラ選手(26)とFWのタイス・フェヘ選手(25)。代理人弁護士によると、2人は2022年8月の入団当初から練習や試合の際、監督からポルトガル語で性的な言葉を投げかけられたという。また、コーチ2人からも嘲笑、舌打ちされるなど侮辱的な言動を受けたとしている。
さらに、2人との契約では練習や試合に「帯同する通訳を手配」する義務がクラブ側にあるのに果たさなかったという。
2人は今年7月下旬に心療内科で診察を受け、急性ストレス反応(うつ状態)と診断され、チームを離脱して通院中だという。診断書には「監督からの圧力による影響が大」と記されているという。
この日、出雲市内で会見を開いた2人は「女性プレーヤーが心理的虐待や精神的健康上の問題に直面しているのは憂慮すべきこと」「試合に出られないことでメンタルが悪化する」「(解決すれば)クラブに残りたい」などと訴えた。
クラブにも謝罪と説明、監督の交代やコーチの処分、通訳帯同の義務に反した債務不履行の損害賠償などを求めている。代理人弁護士は「今後の対応によっては訴訟も提起したい」と述べた。
一方、クラブ側もこの日に会見を開き、運営法人の渡部稔理事長が、選手からの訴えに対する調査状況を説明。監督は8月のクラブのヒアリングに対し「(セクハラ発言は)言っていない」と話したが、10月末からの弁護士を介したヒアリングでは「一部の発言はあったが、選手には言っていない。個人的に発したことはある」と話したことを明らかにした。引き続き調査を続けるという。
また、通訳帯同義務の不履行については「通訳者を探すのが難しかった」(渡部理事長)と事実を認め、1人25万円の損害賠償をする意向を選手側に伝えているという。
なでしこL2部・ディオッサ出雲のブラジル選手
「奴隷になるために来たわけではない」
…セクハラ・パワハラなど「告発文」
2024年11月7日(木) 7:44 読売新聞
女子サッカーなでしこリーグ2部「ディオッサ出雲FC」のブラジル人選手2人が6日、島根県出雲市内で記者会見を開き、練習や試合中に監督やコーチからセクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、差別的な発言を受けたとして、代理人弁護士を通じて一般社団法人「日本女子サッカーリーグ」に「告発文」を提出したと明らかにした。
2人は、2022年8月に入団したスペナザット・ラウラさん(26)、フェヘ・タイスさん(25)。
代理人弁護士によると、2人は入団当初から練習などでミスをした時に、監督からポルトガル語で性的な言葉や侮辱的な暴言を吐かれ、抗議をしても聞き入れられなかったという。さらに、練習や試合時に通訳を帯同させるとした契約もほぼ守られなかったなどとしている。
2人は、クラブチーム内で問題の解決にあたる「ウェルフェアオフィサー」と呼ばれる担当者に相談。この担当者が監督に改善を求めたところ、「だったら(2人を試合に)使わないよってなっちゃう」などと発言されたという。
2人は今年7月にうつ状態と診断され、8月にチームを離脱。この日の会見で「いじめの奴隷になるために来たわけではない」「試合に出られないのがつらい」などと訴えた。クラブ側の環境が改善されなければ、損害賠償請求訴訟も検討するという。
一方、クラブチームを運営するNPO法人「ディオッサスポーツクラブ」も6日、同市内で記者会見を開き、「監督らはパワハラ、セクハラはなかったとしている」と主張した一方、通訳を帯同させなかったことについては一部を認めた。
同法人の渡部稔理事長は「通訳の配置など努力はしていたが、十分な対応が出来ていなかったことを反省している」と話した。