准教授を「村八分」
ハラスメント認め三重大に賠償命令 名古屋高裁
2024年10月3日(木) 19:36 朝日新聞(渡辺杏果)
三重大学(津市)の大学院工学研究科の女性准教授が、複数の教授によるハラスメントを受けたなどとして、大学側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日、名古屋高裁であった。長谷川恭弘裁判長(朝日貴浩裁判長代読)は、「継続的に村八分のように扱われ、精神的苦痛を受けた」などとして訴えの一部を認め、一審・津地裁判決を変更。大学側に慰謝料など110万円の支払いを命じた。
控訴審判決などによると、准教授は2008年に同研究科で初の女性教員として助教で採用された。准教授は18年、採用時に不当な労働契約を締結させられたことや、説明無しに上司の教授の交代があったなどとしてハラスメントを大学に申し出た。大学の調査委員会は一部教授らによるハラスメントを認めた。
その後、准教授は20年、改善措置せずに違法行為を助長したなどとして津地裁に大学側を提訴。津地裁は23年、訴えを棄却した。
控訴審判決では、労働契約について「拒否は困難な状況で、事実上強要された」などとしてハラスメントに当たると認定。また卒論発表会の案内を2年間配布しなかった行為などを「教育研究活動上、事実上排除され孤立したような環境に置かれ、社会的にも明らかに不相当」として違法性を認めた。
さらに准教授の研究室に所属する大学院生に部屋を割り当てなかったのは、「優秀な後進を育てるという大学教員にとって本質的な部分で劣悪な状態に置かれている」として、「配慮を著しく欠き、ハラスメントに当たる」と断じた。
大学側は提訴された後に再調査委員会を設置。同委員会は23年、初回の調査結果は事実誤認で、ハラスメントは無かったと結論づけた。この再調査について控訴審判決は「損害賠償を免れるため、組織的に行われたと疑われる」と非難。初回調査で指摘された環境を大学は改めるべき義務を負いながら、改善を怠っていたと指摘した。
三重大広報室は「再調査は事実関係を正確に確認するため実施した。判決が届いていないためコメントできない」としている。
三重大のハラスメントを一部認定 名古屋高裁が賠償命令
2024年10月3日(木) 17:54 共同通信
指導教授らからのハラスメントで不当な地位に置かれ、教育研究活動の妨害を受けたなどとして、三重大大学院の女性准教授が大学側に約4千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は3日、請求を棄却した一審津地裁判決を変更し、大学側に110万円の支払いを命じた。
長谷川恭弘裁判長は、法律上は任期を定められないのに、任期を付けて労働契約を締結させたほか、女性准教授の要求を拒んで院生用研究室を割り当てなかった行為など、一部をハラスメントと認定。就業環境の改善を怠ったとした。
判決理由で「長年にわたり村八分のように扱われ、不安定で孤立した就業環境を強いられた」と指摘した。
三重大ハラスメント訴訟 女性准教授が一部逆転勝訴 名古屋高裁
2024年10月4日(金) 9:49 毎日新聞(道下寛子)
三重大大学院工学研究科の女性准教授が、同科の教授らにハラスメント行為を受けたとして、三重大に約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁の長谷川恭弘裁判長(朝日貴浩裁判長代読)は3日、原告の訴えを棄却した1審・津地裁の判決を変更し、一部の行為をハラスメントと認め、同大に110万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2008年4月、三重大大学院工学研究科の助教として採用された。当時の大学の規則では工学研究科の助教を採用する場合、任期を定めることができなかったが、採用面接を担当した教授らが、それを認識しながら5年の任期付きの契約を締結。その後、女性は任期が定められないことに気づいて雇用継続されたが、長谷川裁判長は「(女性の)地位が不安定な状況に置かれた」と指摘した。
また、同大が女性の執務室に、災害時の被災状況をモニタリングするためのカメラを設置。だが、女性にそのことを説明せず、同大以外の第三者も閲覧できる状況になっていたとし「プライバシーを不当に侵害する」と認定した。
同大は「判決文などが手元に届いていないのでコメントは差し控える」と話した。
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