2022年10月24日月曜日

同志社大生一気飲み死亡、遺族と和解 大学側の責任は認めず

同志社大生一気飲み死亡、遺族と和解 大学側の責任は認めず

 

2022年10月24日() 18:00 毎日新聞(中島怜子)

 

 同志社大(本部・京都市上京区)ダンスサークルの合宿で2016年、1年生の男子学生(当時19歳)が多量に一気飲みをして死亡したのは、大学が安全配慮義務を怠ったためだとして、遺族が大学に1000万円の賠償を求めた訴訟は24日、京都地裁(菊地浩明裁判長)で和解が成立した。遺族側によると、和解金の支払いはないが、大学側が弔意を示し、学生が「飲み会なくそう」などと訴えていたメッセージなどを大学のホームページに載せる内容での合意という。

 

 死亡したのは山口怜伊(れい)さん。訴状などによると、合宿は1622226日、兵庫県内のホテルであり、山口さんら男女学生29人が参加。学生らは毎晩、飲み会を開き、深夜や翌朝まで一気飲みを繰り返していたという。

 

 山口さんは25日、上級生らに「コール」と呼ばれる掛け声などで促され、ビールや焼酎を多量に一気飲み。深夜に意識を失い、翌朝に呼吸をしていない状態で発見され、急性アルコール中毒で死亡した。

 

 山口さんの母親(53)は「飲酒を強要する危険行為が常態化しているのを認識しながら、大学は十分に指導せず放置した」として、214月に提訴。大学側は「大学の管理外で安全配慮義務は生じない」として、請求棄却を求めていた。

 

 地裁は「飲酒の強要の事実があったと認める余地がある」とする一方、「大学及び顧問教員の責任が認められるとまでは言えない」として、229月に和解を勧告していた。

 

 母親の代理人などによると、大学側が和解成立に合わせ、山口さんが合宿前に仲間に送っていた「飲み会なくそう」などのメッセージを含む広報文をホームページに載せ、山口さんへの弔意を示すことで合意した。謝罪や和解金の支払いはないという。飲み会に参加した学生らとは、京都簡裁で既に調停が成立している。

 

 大学での飲酒事故では、熊本大医学部漕艇(そうてい)部で1999年、新入生歓迎会後に男子部員が死亡。飲み会に同席した部長の教授や学生ら8人に約1300万円の賠償を命じる判決が確定した。その後も全国で同様の事故が後を絶たないが、大学側の責任が認められるケースは少ない。

 

 今回の訴訟の遺族側代理人、平田尚久弁護士によると、合宿自体を大学側が把握していない場合もあり、学外で起きた事故については、大学側の責任が認められにくいという。平田弁護士は「学外の行為に大学側がどこまで責任をとる必要があるかが明確になっていない」と指摘。「セクハラやパワハラと比べ、アルコールハラスメントに対する認識が大学には不足している。教職員がアルハラに対する知識を持ち、クラブ・サークル活動には一気飲み禁止の誓約書を提出させるなど、踏み込んだ対応が必要だ」と訴えている。

 

 同志社大は「和解内容に従って近日中に弔意を表明する予定です」とコメントした。



※ 他社のニュースも掲載致します

同志社大生一気飲み死亡 遺族と大学側が和解

 

2022年10月25日() 19:54 京都新聞

 

 同志社大の男子学生がサークルの飲み会で上級生らから酒を一気飲みさせられて死亡したとして、学生の遺族が大学を運営する法人を相手取り、1千万円の損害賠償を求めた訴訟は、京都地裁(菊地浩明裁判長)で和解が成立した。遺族側によると、大学側が弔意を示し、アルコールハラスメントに危機感を抱いていた学生の生前のメッセージを大学のホームページに掲載する内容で、24日に合意した。

 

 訴状によると、大学公認のダンスサークルに所属していた男子学生=当時(19=1年生だった20162月、兵庫県内のホテルで行われたサークルの春合宿で、上級生らからの「コール」と呼ばれる掛け声に促され、缶ビール1本や焼酎のストレートを紙コップで45杯以上、一気飲みさせられた。その後、急性アルコール中毒のため搬送先の病院で死亡が確認された。

 

 男子学生の母親が20214月に提訴。大学側は「飲酒事故は大学の管理外であり安全配慮義務は生じない」として反論していた。

 

 母親の代理人などによると、地裁は「飲酒強要の事実があったと認める余地がある」とした一方で「大学および顧問教員の責任が認められるとは言えない」などとして、今年9月に和解を勧告。大学側がホームページに和解についての広報文を掲載し、弔意を示すことなどで合意した。広報文では、男子学生が死亡する前に、LINE(ライン)でサークルの同級生に「飲み会なくそう」などのメッセージを送っていたにもかかわらず、「常態化していた過量の飲酒」によって死亡したことなどが説明される。謝罪や和解金の支払いはない。

 

 飲み会に参加した15人とは、京都簡裁で調停が成立している。

 

 母親の代理人弁護士は「教職員にもアルコールハラスメントに対する知識を持ってもらい、クラブやサークル活動に対する踏み込んだ対応が必要だ」と話した。同志社大は「和解内容に従って、近日中に弔意を表明する」とコメントした。

 

 

 

同志社大学で一気飲み繰り返し学生死亡、遺族が大学側と和解
「裁判でアルハラ認識して欲しかった」

 

2022年10月25日() 19:49 読売テレビ

 

 同志社大学のサークルの合宿で、多量の酒を飲んで死亡した男子大学生の遺族が、大学側に損害賠償を求めていた裁判で和解が成立しました。大学側が、ホームページで学生への弔意を示すことなどで合意したということです。

 

 訴状などによりますと、2016年、同志社大学公認のダンスサークルに所属する山口怜伊さんが、合宿中の飲み会で上級生から促されて焼酎やビールを繰り返し一気飲みした後、急性アルコール中毒で亡くなりました。

 

 山口さんの母親は大学側に対し「飲酒を強要する危険行為が常態化しているのを認識しながら、十分に指導せずに放置した」として、1000万円の損害賠償を求めて訴えを起こしました。

 

 大学側は「飲み会は大学の管理外で、安全配慮義務は生じない」と反論していました。

 

 原告側代理人の弁護士によりますと、山口さんが合宿前に「飲み会をなくそう」などと仲間に送っていたメッセージを、大学側がホームページに掲載して弔意を示すことや、再発防止の指導を行うことを条件に和解が成立しました。

 

 山口さんの母親は代理人を通じ「息子の名誉を回復するとともに、裁判によって、大学にアルコールハラスメントとして認識してほしかった」とコメントしています。


《カウンセラー松川のコメント》

[アルコールハラスメント(アルハラ)]にも関連する事案です。
大学のサークル(部活動)での事案ですが、
サークルには大学公認と非公認があります。
公認の場合ですと教職員の顧問が置かれてますので、
部活動も顧問の監督下と言う説もあるでしょう。
しかし、顧問が形骸化して活動の殆どは部員である学生主体で運営。
この様な実態も多いと思います。
特に大学となれば部員も成人です(当時は過半数が成人)ので、
いちいち顧問同席で活動させる必要もありません。
しかし、それが実態だとしても顧問を置いている以上は
「何をしているか全く分かりません」ではなく、
「定例の部活動はいつ、どこでしているか」
「校外での活動はいつ、どこで、どんな事をしているか」
この程度は把握しておくべきで、その様な仕組みを作るべきでしょう。
しかし、飲み会の場で何をしているかの詳細までは知らなくて当然です。
勿論、明らかな違法行為が行われていないかくらいの把握は必要です。
本事案では、下級生が一気飲みを避けられない状況を
学校側が把握していたかどうかも争点だったのでしょう。
2000年代には既に一気飲みによる死亡事故が問題視されていたのですから、
大学当局としては毎年新学期初めには、
公認サークルに対して[一気飲みの禁止][未成年者への飲酒禁止]を
徹底させるべきだったと思います。
大学当局としては不作為があったにせよ責任を認めたくはないでしょうけれど、
今般の和解も被告側が金銭支出を伴わないからこそ承諾したのでしょう。

御遺族の方へ
金銭解決を伴わなくても、大学として弔意や注意喚起をすることで
和解されたのは何よりです。
大学側もアルハラの認識があっても、
法廷戦術の一環として「認識は無かった」と強弁するでしょうから、
主張は平行線だったと思います。

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