2025年10月24日金曜日

「助けてくれる人はいなかった」陸上自衛官“クレーンで吊るし上げ”上司から性的暴行と暴力を受けPTSD発症し国を提訴 18歳で入隊「せっかく入ったのになぜ…」

「助けてくれる人はいなかった」
陸上自衛官“クレーンで吊るし上げ”上司から性的暴行と暴力を受け
PTSD発症し国を提訴 18歳で入隊「せっかく入ったのになぜ

 

2025年10月24日() 20:03 仙台放送

 

「上司が助けてくれない」自衛隊駐屯地でハラスメントか

宮城県内の陸上自衛隊の駐屯地で、上司からセクハラとパワハラを受け精神疾患を発症したとして、30代の男性自衛官が国と上司2人に計1000万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。

 

訴えは、組織の中で繰り返された暴力と性的行為の強要、そして長年にわたる沈黙の構造を問うものだ。

 

18歳で入隊、始まった暴力と屈辱の日々

訴状などによると、男性は2006年、18歳で陸上自衛隊に入隊。配属直後から約4年半、男性上司2人から業務中や飲み会の場で性的行為や暴行を繰り返し受けたと主張している。

訴えによると、飲み会では上司らが性器を押し当ててきたり、下着を脱がされ同僚の前で下半身を露出させられたりしたと主張している。また、整備工場のクレーンで吊り下げられるなどの暴力を受けたとも訴えている。

 

訴状にはこう記されている。

「上司A及びBから、暴行及び性的暴行を繰り返し受けた」

 

Aが異動した後も、もう一人の上司Bによる行為は断続的に続いたという。

やがて、恐怖は時間を超えて尾を引くことになる。

 

異動先でも逃げられず 再び現れた上司の影

しばらくして男性は異動となった。

ところが、かつての上司Aは頻繁に異動先に顔を出していたという。

 

「お前、結婚して子供もいるらしいな。ガキがガキを作ってんじゃねえ!

「楽してんじゃねえ!ふざけやがって」

(訴状より)

 

男性は首を掴まれ、脇腹を小突かれたという。Aが他の隊員に陰部へライターで火をつけたという噂も耳にした。

男性は再び暴力を受けるのではないかと恐怖を感じ、悪夢を見るようになったと訴えている。

 

さらに同僚は「今日Aが来てるぞ」と冗談交じりに告げ、男性をからかっていたという。男性はAがいなくても、その影は常に彼を見張っているように感じた。

 

「お前は仕事していない」職場で続いた嫌がらせ

202112月、男性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した。

その後も職場では嫌がらせが続いたとしている。別の上司は「さぼっているのか」と叱責を繰り返し、パソコンのマウスの線を抜いたり、デスクトップのアイコンを勝手に操作したりしたという。

 

「仕事していない」「お前は本当に仕事やってない」

 

歓送迎会の席でそんな言葉を浴び、男性は頭痛や吐き気に襲われた。

翌年、自衛隊病院で「抑うつ状態」「適応障害」と診断され、休務扱いとなった。

そして2024年末、男性はPTSDの発症について公務災害を申請した。

 

“晒し上げメール”崩れていった信頼

訴状にはさらに、組織の閉鎖性を示す一文がある。

男性が親睦会の脱退を申し出たところ、上司が全隊員宛てにメールを送ったという。

 

「曹友会脱退済みの某課、某陸曹は自衛隊が嫌い、自衛隊に関わりたくないので親睦会を脱退したいと言っている」

 

事実上の“晒し上げ”ともみられ、男性は一層、孤立感を深めていった。

 

「せっかく自衛隊に入ったのに」孤独と訴え

男性は202412月に公務災害の認定を申請。現在も審査が続いている。

20252月、仙台市内で開いた会見で、震える声でこう訴えた。

 

「上司が誰も助けてくれない。どうすればいいんだろうという気持ちと、せっかく自衛隊に入ったのになぜこんな目に遭うのか。やめたいと思いながら過ごしていました。ハラスメントの事実を認めて謝罪してほしい」

 

「訴状が届いていないのでコメントできない」

陸上自衛隊東北方面総監部は「訴状が届いていないのでコメントできない。今後適切に対応する」としている。

 

自ら自衛官に志願した男性が、なぜこのような主張をせざるを得なかったのか。今後の審理では、組織の体質も焦点の一つとなる見通しだ。


《カウンセラー松川のコメント》

自衛隊は万年人手不足の状態です。
予備自衛官制度や即応予備自衛官制度を全て使っても充足は十分ではありません。
だから、各自衛隊だけでなく防衛省としても、募集にも注力をしています。
しかしながら、職場の実態が報道の様であれば、
真っ当な人材が集まる訳もなく、低質な人材さえ集め難くなるのは当然です。
現状でも、この様に低質な者が蔓延っているのでは、
国の防衛よりも組織防衛が先決となるでしょうし、
低質な者を組織に温存している様では、いずれ腐敗した組織になるでしょう。
当に「悪貨は良貨を駆逐する」です。
自衛隊はバイト感覚で務まる職場ではありませんので、
単なる待遇改善だけでなく、悪質な隊員は免職する意気込みでないと、
真の充足率向上は絶対に無理です。

被害者の方へ
本当に苦しく大変な日々を送られていたことは
ニュースを読むだけで伝わって参りました。
国の外交を支える防衛だからこそ、優秀な人材が必要です。
脳筋な体力バカだけで務まる訳ではないことを、
防衛省自体が認知するべきですね。
裁判はこれから長い時間をかけて行われますが、
その間もどうか心穏やかに過ごせます様に祈念しております。

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