2024年6月7日金曜日

▼「備品を壊された」「抱きつかれた」病院では患者や家族らによる「ペイハラ」…過度な迷惑行為への対策始まる

「備品を壊された」「抱きつかれた」病院では患者や家族らによる「ペイハラ」…過度な迷惑行為への対策始まる

 

2024年6月7日() 7:01 読売新聞(宮尾真菜)

 

 患者や家族らによる理不尽な言動などから病院職員を守ろうと、新潟県病院局が「ペイシェント(患者)ハラスメント対策指針」を策定した。指針を踏まえ、各病院で9月末までに、実情に応じた「ペイハラ」の対応策を打ち出す予定。

 

 「備品を壊された」「抱きつかれた」「大声で暴言を言われた」――。県病院局によると、県立病院では、こうした患者らによる過度な迷惑行為が確認されている。

 

 客や利用者らによる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題視される中、国がカスハラ対策を強化していることも今回の指針策定を後押しした。

 

 厚生労働省は2022年2月、企業向けの「カスハラ対策企業マニュアル」を公表。さらなる対策強化に向けて、同省は検討会を設置して議論を進めている。

 

 対策に乗り出した理由について、県病院局の波多野孝・業務課長は「病院は、人との対面関係が存在する組織という点では企業と同じ」と指摘。「組織として職員を守る姿勢を示すべきだと考えた」と説明する。

 

 県病院局は今年1月から現場の病院や弁護士らの意見を聞き、指針策定を進めてきた。

 

 指針では「ペイハラ」の定義を、患者や家族などからのクレームや言動のうち、要求を実現するための手段などが「社会通念上不相当」で「病院職員の職場環境が害される」ものとした。迷惑行為の分類別に基本的な対応例なども示した。

 

 これを受け、指定管理者制度を導入する2病院を除いた県立11病院は9月末までに、ペイハラへの対応策を打ち出す予定だ。

 

 波多野課長は「職員がハラスメントに関する悩みを個人で抱え込まないようにし、安心して働き続けられる職場作りにつなげたい」と話している。

 

 県病院局による指針策定は、県立病院以外にも影響を及ぼしている。県内で11病院を運営するJA県厚生連は今回の指針策定を踏まえ、「ペイハラ」への対応策を検討しているという。

 

 関西医科大の三木明子教授(精神保健看護学)の話「暴力やハラスメントに対しては組織的に対応すべきであり、個別の病院まかせにせず県を挙げて指針を出したことは評価できる。こうしたルールを決めて病院運営をしていくことは、安心安全な医療を患者に提供することにつながる」

0 件のコメント:

コメントを投稿