相馬地方広域消防内におけるパワーハラスメント行為に関する
第二次答申書(中間答申)
標記の関する文書が相馬地方広域消防本部のホームページに掲載をされましたので、
拙ブログでは転載致します。
尚、当該答申書のURLは以下のとおりです。
obj20240612095435567627.pdf
第1 はじめに
1 これまでの答申書提出状況
令和6年2月19日 第一次答申書 提出
令和6年3月29日 第一次答申書追補 提出
2 第一次答申書追補作成後の当委員会の開催経過
第17回 令和6年4月9日(火)
午前9時30分~午後2時
ラコパふくしま(福島市仲間町)
第18回 令和6年4月16日(火)
午後1時30分~午後4時20分
ホテル福島グリーンパレス(福島市太田町)
第19回 令和6年4月23日(火)
午前10時~午後4時
株式会社相馬市振興公社振興ビル(相馬市中村)
第20回 令和6年5月1日(水)
午後1時30分~午後7時40分
福島県立医科大学(福島市光が丘)
第21回 令和6年5月17日(金)
午後2時30分~午後5時20分
ホテル福島グリーンパレス(福島市太田町)
第22回 令和6年5月21日(火)
午前9時~午前12時
福島県立医科大学(福島市光が丘)
第23 回 令和6年5月28日(火)
午前9時~午後9時
福島県立医科大学(福島市光が丘)
3 当委員会による関係者ヒアリング及び関係者からの情報提供等
当委員会は、令和6年4月9日から令和6年5月17日にかけて、職員8名(相馬地方広域市町村圏組合事務局職員を含む)に対する面談によるヒア
リングを実施した。
また、ヒアリング実施後の一部の職員に対して、電子メール等により補充の照会を実施し、回答を得た。
その他、当委員会に対する電子メール等による情報提供が複数件あった。
4 本第二次答申書(中間答申)の位置づけ
本第二次答申書は、相馬地方広域消防において、広く、多数のパワーハラスメントが行われてきたことについて、当委員会がこれまでに調査をした内容に基づき、その原因や、改善すべき点を検討した結果をまとめたものであり、中間答申として位置づけられる。
当委員会は、今後、パワーハラスメント行為に関する情報提供が多数なされている件につき、第一次答申書及び第一次答申書追補において述べた基準及び認定方法に基づき調査を継続し、答申書をとりまとめて提出することを予定している。
更に、当委員会として再発防止に向けて検討し、最終の答申を行う予定である。
なお、本第二次答申書は、相馬地方広域消防におけるパワーハラスメント事案について、主に組織、制度、運用等の観点から、原因及び改善すべき点を述べることに重点があることから、本第二次答申書全体が公開されることを前提としており、別に【公開版】を作成することはしない。
第2 相馬地方広域消防におけるハラスメント事例に適用される規程
相馬地方広域消防におけるハラスメント事例に適用される規程は概ね次のとおりである。
1 相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び排除に関する規程
(平成29年11月1日施行、最終改正令和5年4月1日)
ハラスメントに関する通報及び相談等に対応するため、消防本部総務課に通報・相談窓口を設置し、総務課職員が通報又は相談等を受け付ける(第7条)。
ハラスメントを受けた職員本人(被害者)のほか、被害者の同僚、又は、上司等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者は、通報・相談窓口に申出ることができる(第8条)。
通報又は相談等を受け付ける総務課職員は、通報・相談窓口への申出について、加害者及び関係者から事情を聴取し事実関係を確認した後、原則として、その後の対応をハラスメント対応委員会に委任するものとし、速やかに当該委員会の開催を要求しなければならない(第9条)。
ハラスメント対応委員会は、その事務局を消防本部総務課に置き、次の10名の委員により組織される(第10条)。
消防本部次長(委員長)
各課課長 2名
各所属長 6名
庶務 1名
委員長は、会議の経過及び結果等を任命権者及び被害者に報告する(第12条)。
任命権者は、委員会による事実関係の調査の結果、ハラスメントの事実が確認された場合は、懲戒処分を含む必要な処置を講ずる(第14条)。
2 相馬地方広域市町村圏組合職員の懲戒の取扱いに関する規程
(平成6年10月1日施行、最終改正平成16年8月20日)
所属長は、職員に規律違反があるときは、速やかに事実を調査し、懲戒手続きに付する必要があると認めるときは、任命権者に申し立てなければならない(第4条)。
任命権者は、申立てを受けた場合は、その規律違反に対し懲戒処分を必要と認めるときは、懲戒審査要求書に証拠書を添えて、直ちに懲戒審査会に当該事案の審査を要求する(第7条)。
懲戒審査会は、次の会長、副会長及び委員若干名で組織される(第6条)。
会長 事務局長
副会長 委員のうちから会長が指定した者
委員 看護専門学校事務長、消防本部次長、事務局総務課長
3 相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針
(平成25年12月1日施行、最終改正令和2年10月1日)
職員が非違行為を行った場合の懲戒処分又は指導上の措置の目安としての標準的な量定等を定めている。非違行為がパワー・ハラスメントである場合について、次の標準的な量定が定められている。
ア パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に精神的又は身体的な苦痛を与えた場合
停職・減給・戒告
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した場合
停職・減給
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患させた場合
免職・停職・減給
4 相馬地方広域市町村圏組合情報セキュリティポリシー
(平成21年10月1日策定、平成25年4月11日最終改正)
同セキュリティポリシーにより、具体的な遵守事項及び判断基準等を定める情報セキュリティ対策基準(以下「対策基準」という。)が策定され、更に、具体的な手順を定めた情報セキュリティ実施手順(以下「実施手順」という。)が策定されている。
情報セキュリティにかかる消防本部の組織体制は次のとおりとされている
(対策基準4)。
情報セキュリティ責任者 消防長
消防本部の情報セキュリティ対策に関する統括的な権限及び責任を有する。
情報セキュリティ管理者 消防本部総務課長
消防本部の情報セキュリティ対策に関する権限及び責任を有する。
なお、令和4年度及び令和5年度において、消防本部総務課長は、次長がその事務を取り扱うものとされており、情報セキュリティ管理者は次長であった。
また、消防職員は、情報セキュリティに関する事故を発見した場合には、所定の様式の報告書により情報セキュリティ管理者に報告するものとされている(対策基準7、3.⑴①、実施手順3、3.⑴)。
第3 相馬地方広域消防内におけるハラスメントの原因・背景事情
1 はじめに
第一次答申書及び第一次答申書追補において述べたとおり、相馬地方広域消防内において、これまで、広く、多数のパワーハラスメント行為が行われてきたものである。
当委員会が実施したアンケートに対する回答(令和6年2月8日から15日にかけて実施、150名中127名(84.7%)から回答)等を検討したうえで、相馬地方広域消防内におけるパワーハラスメント行為の原因や背景として、次の事情を指摘する。
2 相馬地方広域消防が内在的に抱える問題
1)組織の閉鎖性・同質性
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「組織自体の考えが古く、悪しき風習を継続しており職員も半ば諦めていると思う。現在の概ね55歳世代の肩書きがなくなる頃までは、 劇的に変わることはない。」(アンケート集計結果2頁1段。以下 「P2-1」等として記す。)
「昔はこうだったから、こうやるという考えをなくして欲しい。よく、昔は上司に厳しく指導されたから、自分たちも後輩ができたら厳しく指導しようという考えが根底にあるように思えます。」(P10-2)
相馬地方広域消防は、消防職員数150名(令和6年4月1日現在の人数)、事業所が1本部、2署、4分署と小規模な組織であり、他団体との人事交流等も行われていない。
このことから、組織が似たような考え方の職員の集団となりやすく、多数派と異なる意見が封じられやすい、従前の組織風土がそのまま維持されやすく、外部環境の変化に適応しにくい、といった事情があるものと考えられる。
2)職務の特殊性
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「消防という仕事は死と隣り合わせで厳しい部分も必要ではあるが、今まで酷いハラスメントをしてきたことを反省し根絶させなければこの組織は終わると思う。非常に危機的状況だ。」(P24-3)
「職務の特性上、時には厳しい指導は必要だと考えます。しかし、人格を否定したりするなどといったハラスメント行為はあってはならないことです。」(P25-1)
消防の職務は、職員自身の身体の危険を内在しているという特殊性があり、また、職務上組織的な行動を必要とするため、他の組織よりも、指揮命令がより厳しいものとなりやすく、上位者の優越性が顕著になるという背景があったものと考えられる。
3)人員不足、業務多忙
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「慢性的な人員不足により休みが取りづらい。超過勤務は適正に支払われない(代休扱い等)ことから仕事の負担増等によりストレスや不満から、後輩に対してパワハラをしてしまう環境になってしまっ てるので組織全体で環境改善を行って欲しい。」(P12-8)
「慢性的な人員不足から、有給休暇等取得する際に『休み取るのか』 等の発言は耳にするので、考え方の改革も必要だと思いますが、人員増も必要かと思われます。」(P24-2)
「例えば、超過勤務手当の執行に対する不満、人事に対する不平不満、 日常業務が多忙でありながら非番、公休時においても各種行事等の 参加により心身共に十分休まらないことなど。それぞれにストレス を感じることが少なくありません。これらが、少しでも改善される ことで、パワハラのない明るくやり甲斐のある職場構築に繋がると 考えます。」(P26-3)
ハラスメントの背景として、人員不足及び業務多忙による職員のストレスが増大している状況もあるものと考えられる。
3 相馬地方広域消防の組織、制度、運用上の問題
1)ハラスメント事例に対して適切な処分、措置をしてこなかったこと
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「パワハラ実施者の処罰が必要である。」(P4-2)
「パワハラ等があれば即処罰を与えて欲しい。」(P6-1)
「何回も行う者、行為が特に酷かった者は懲戒免職にしてほしい。そのためにも相馬消防の指針を見直してほしい。」(P13-7)
「パワハラに関する懲戒処分の指針が定められているにもかかわらずパワハラを行ってきた者が処分されたことがないので意味がない。」(P14-3)
「今の消防本部のパワハラ委員会は見てみぬふりをしており正直信用が無いため常に消防以外(第三者等)での信頼出来る窓口を設置し、常に相談出来る対応が必要であると思われる。」(P15-2)
「上司から過度な指導、威圧的な態度、無視されるなどして、部下の職員がパワハラを受けている。本部も毅然とした対応をせず未だに黙認している。」(P16-3)
「ここ数年の消防本部の様々な対応に不信感を抱く職員が多くいたのは事実である。なんの説明もないままよく分からない対応を続けてきた結果が今回の事態を招いた。」(P16-3)
「(提案・希望として)行為者に対して厳正な処分の実施」(P17-2)
「(提案・希望として)ハラスメント行為者を処分。また、昇進昇格させないこと。」(P21-5)
「パワハラアンケートを行ってこちら側からの助けの声を届けたつもりですが、消防という組織自体では結局何も変わらず、揉み消されました。組織は何も対応せずに終わりました。何を持ってのパワハ ラアンケートなのかを率直に問いたいです。」(P22-1)
「実際に処分された職員がいないため、自分は大丈夫だ、該当していないと思っている職員が多数いると感じられる。」(P24-1)
「ハラスメントをしている人に対して上の人がその人を注意できないため変わらない。注意も甘い。ハラスメントに対しては厳しい処分が必要である。」(P24-3)
「これまでは、見てみぬふりをしてきて処分等もなく、済まされてきましたが、今回は調査のうえ、厳正に処分をしていただきたいです。」(P25-1)
相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び排除に関する規程が施行された平成29年11月1日以降、当委員会が設置されるまで、通報・相談窓口への申出はなく、ハラスメント行為について懲戒審査会が審査した事例もない。指導上の措置としての厳重注意(以下「厳重注意措置」という。)がなされた事例は3件あった。
ハラスメントの行為者は、ハラスメントを行ったとしても処分、措置されないのであれば、ハラスメントに気をつけることの強い意識を持たないことにつながり、ハラスメントを抑止できない。
2)ハラスメント事例を公表してこなかったこと
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「行為があればどのような行為があったかをほかの職員にも伝え、正すべきです。今までも処分者がいたのかハラスメントがあったかも 分からなかった。」(P1-2)
「パワハラ内容の周知徹底が必要である。」(P4-2)
「しっかり公にしてほしい。秘密裏の如く個人の反省文、通知のみで全体に周知していない。」(P5-3)
「組織として目に見える形でハラスメント該当職員の処分を公表してほしい。消防長から該当職員への注意があっても公表はされず、風の噂でしか聞こえてこない。そのためパワーハラスメントに関するアンケートで実名をあげてもいつ処分を受けたのか、若しくは受けていないのかを知ることもないまま終わっている。その事実を職員に対して公表することは、該当職員のみならず、組織として今後のハラスメント行為の抑止力となるはずです。」(P7-2)
「(提案・希望として)ハラスメントに関連した処分の組織内での公表。」(P12-3)
「しっかりと情報を職員全体に知らせて欲しい。上層部や一部の職員間で情報が止まっていて下までおりてこない。同じ組織の一員として信頼されてないのかと残念に感じる。」(P13-2)
「最上層部のみがパワハラ問題についての詳細を知っており、それ以下の職員に対しては情報共有が図られず、有る事無い事の噂話などが蔓延することにより二次被害を受けているものもいる。」(P14-3)
ハラスメントの行為者は、処分、措置がなされた事実を公表されないのであれば、ハラスメントに気をつけることの強い意識を持たないことになり、ハラスメントを抑止できない。
また、ハラスメントの内容が公表されなければ、そのハラスメント事例は職場内で顕在化しないままとなり、職場全体でハラスメントを抑止できない。
3)情報管理体制の不備、情報管理意識の欠如
当委員会が実施したアンケートでは、次のような回答が見られた。
「以前のパワハラアンケートの結果が全て漏洩していた。PC(パワハラアンケートの結果内容が全て記載されていたもの)を使用している者が、パワハラアンケートの結果を閲覧し印刷、パワハラアンケートの内容を外部に故意に漏らした。パワハラアンケートに記載されていた関係者の氏名等を周りに言いふらし、パワハラアンケートに記載した人を絶対に許さないなどと言っていた。」(P10-3)
「これまでも守秘しますと言ったにも関わらず、ハラスメント行為者やハラスメントを受けた者の氏名が噂や事実として出回る時点で組織としてどうなのかと疑問が生じるし、特に処分も無く上層部がなあなあにしてきたとしか感じない。該当者が免職や職を辞さない限り今後も組織体制に変わりが無いと思っている。(報復されるのではと不安視する職員もいる。)」(P16-1)
「パワハラアンケート開始当初から所属長クラスの職員のモラルが低すぎて、内容が流出している。また本部の管理がずさんなため加害者に被害者の証言内容がバレてしまっている。」(P17-1)
「以前、秘密となっているはずのアンケート結果がリークされたことがあるため、職員や事務局で実施のアンケートは信用できません。」 (P23-1)
「被害者は告知したことをパワハラ行為者へ知られてしまうのが怖く告発出来ないのが現状である。」(P24-1)
「この本部内でハラスメント対策委員会を設置すると必ず犯人探しをされるし誰が利用したかが漏れてしまう。」(P25-6)
ハラスメント被害を通報、相談することで、自身に報復等の不利益が生じるおそれがある中では、通報、相談に向けた意欲はわかない。
このため、ハラスメント被害を受けたことについて、通報、相談ができず、その結果、そのハラスメント事例が処分、措置、公表につながらず、そのハラスメントをなくす契機とならず、職場全体でハラスメントを抑止できない。
4 職員個人の問題
1)ハラスメントに対する無理解
アンケートでは、次のような回答が見られた。
「パワーハラスメントに名前が挙がる方々は、主観的な考え方の持ち主が多いと思う。研修を行っても、自分の中に正義があるのでパワハラは無くならない。」(P1-9)
「パワハラを繰り返す者はそれをパワハラと認識しておらず、『これはパワハラじゃないから』と自らを正当化するので、もはや組織が云々ではなく、個人の資質の問題ではないかとも思う。」(P8-7)
「何も指摘されないからなのか、自分の態度や言動がハラスメントと認識していない人が多いと感じる。ハラスメントと感じるのは若年層の職員であり、上司へ対して指摘できるはずがない。言えたとしても、そんな人が指摘内容を真摯に受け入れるはずもない。」(P9-8)
「ハラスメント研修には行為者は参加せず未行為者だけが参加しています。」(P22-1)
「行った人がやっていることを理解していないからこのまま変わらないと思います。」(P26-5)
少数派の声が封じられやすい、外部の変化に適応しにくい、といった組 織風土が背景にあると考えられるが、行為者において、具体的にどのよう な言動がハラスメントに該当するのかを理解しないまま、ハラスメントで あるという自覚なく、パワーハラスメントの言動を行っている場合がある と考えられる。
2)快適な職場環境を作ろうとする意識の欠如
アンケートでは、次のような回答が見られた。
「何が悪いかわからず怒られた。」(P1-2)
「事務室にいる全員に聞こえるように仕事のミスについて罵倒する行為があった。」(P1-5)
「ほぼ毎日、会話は朝の挨拶のみで無視または叱責、人格否定をされた。」(P2-3)
「初めて話した上司から後日、殺すとのLINEがあった。その後あいさつをしても無視されることがあった。」(P2-4)
「他の職員のいるところで、自分や他の職員を卑下する会話をしているのを聞いたことがある。」(P9-6)
「自分の上司も気分で仕事内容が変わってくるなど、事務室内の雰囲気がかなり悪い時があります。ある程度は自分も我慢できますが連日このような雰囲気だと疲れます。」(P11-9)
「日常的にバカ死ねやめろと暴言や本人、家族の身体的特徴を揶揄する暴言は組織全体的で長年行われてきた。」(P16-3)
快適な職場環境を保つためには、相互に、社会人として、相手の人格や個人の尊厳を侵害しないようにわきまえた行動をする必要があるが、そのようなわきまえた行動ができていない者がいると考えられる。
また、上司から部下に業務の指示、指導等を行う場合、その意義、必要性、重要性などを説明せずに一方的に命じるだけであると、それを理解していない部下からは、一方的に命令された、一方的に怒られたと感じる可能性があると考えられる。
3)酒席等における行為の問題点
当委員会が実施したアンケート、パワーハラスメント事案に関するヒアリングへの協力及び情報提供依頼、当委員会による関係者ヒアリングにおいて、特に酒席におけるハラスメントを訴えるものが多く見られた。
アンケートや、記名による情報提供において、具体的に挙げられた行為として、次のようなものがある。
(アンケートにおいて挙げられた行為)
「酒席で一気飲み、全裸の強要があった。」(P5-3)
「アルコールが飲めないが、酒席で先輩職員に『いいから飲め』と言 われビールを強要され、そのままビールを頭からかけられ、さらに 恫喝された。」(P7-1)
「(提案・希望として)歓迎会、忘年会、分散会等の飲み会の撤廃。」(P15-2)
「消防の飲み会では、気が利かず先輩のグラスが空になると説教された。また若い隊員は裸になり庭の池などで泳がされた(強要される時もあれば、場の雰囲気上せざるをえない)。また、急にビンタ祭 りが始まり順々にビンタを回す(後輩が先輩に行う時、強くすると後で個別にやり返される。その場で弱くすると、足りないと罵倒され後でやられる)。とにかく、理不尽極まりない飲み会で、社会に出て初めての飲み会でもあり、飲み会とはこう言うものだと思い込んでいたため、飲み会には極度のストレスと拒絶反応があった。」 (P19-1)
(記名による情報提供において挙げられた行為)
以下の内容は、回答者が特定されることを避けるため、内容が変わら
ない範囲で主に行為の部分を抽出し、かつ、語句等を一部修正している。
・酒席で、馬乗りになり、首を絞める。
・酒席で、頭頂部に食べ物を乗せ、その上からソースを掛ける。
・バーベキューの席上で裸にしたり、汚い貯水池のようなところに入らせる。この際、いつまで服着てるんだ、早く脱げと急かす、一発 芸を強要する。
・酒席で、叩く、蹴る、説教をする。お前はまじでやばいやつ、お前はバカなんだから等、侮辱する。
・酒席で、後輩職員のTシャツを破いたり、ベルトをちぎったりする。
・酒席で、人格を否定する言動や態度をとる。
・酒席で、「ビンタ大会」と称してビンタを回しているうち、ビンタ を受け鼓膜を破られた職員がいた。
・酒席の誘いを断った後輩職員に、出不足料と称して金銭を要求する。
・酒席に参加出来ない後輩職員に、電話で暴言を浴びせ、それを見かねた家族が電話を変わったところ、家族に対しても暴言を吐く。
・酒席に送り迎えした後輩職員の車のボンネット、天井に靴のまま登る、走行中、車の中にあるものを勝手に捨てる。
・酒席で、酒が弱いことを話す後輩職員に対して「なんで飲んでもいないのに酒が弱いとか宣言してんだ。何様なんだ、舐めてんのか。」 などと高圧的な態度で言う。
・酒席で、酒の強要や理解に苦しむ説教を高圧的な態度で何回もする。
・酒席でビールの一気飲みを強要する。
・相馬広域の酒席は、いい服や物を身につけていかない、壊されても、破られてもいい服を着て行けと先輩方に教えられた。
・酒席で、後輩職員を激しく叱責し、後輩職員が謝罪を続けても収まらず、店の女将がなだめにきても叱責が収まらない。
以上の行為について、酒席での行為であることに加えて、その多くは平成29年10月以前の出来事とされており、被害者、行為者、目撃者において当時の知覚及び記憶が明確でない状況が想定されることに照らして、基本的には、個別の具体的事実をパワーハラスメント行為として認定することは困難である。
しかし、上記のアンケート結果や、記名による情報提供によれば、酒席への参加自体が強要される傾向にあり、飲酒をしない職員に対する配慮が欠落していたうえ、迷惑行為という範囲にとどまらず、後輩職員の身体、財産権あるいは人格権を侵害する、不法行為法上違法というべき行為が多数行われていたことが極めて強く推認される。
これらの行為が、地域住民にも目撃されるなど公然と行われていたことは、地域における相馬地方広域消防の信用、信頼を失墜させうるものという認識を持つべきである。
第4 パワーハラスメントに対する対応が不適切であった事案の検討
1 はじめに
1)第一次答申書において明らかにしたとおり、令和5年5月、消防職員が、救助訓練の指導者として後輩職員らを指導していたが、同年5月15日、
福島県消防救助技術大会の出場選考会終了後、チームの成績に不満を抱き、
チームに関わっていた後輩職員らに対して、「おまえら、ほふく辞めちまえ」「おまえらクビだ」などと言い、また、特定の後輩職員に対して「何だ、その目は」などと言い、執拗に責めるなどし、更に、チームに関わる
グループLINE上で、チームに関わっていた後輩職員らに対して、「電話してくんな。家に来たら殺す」「全員許さんからな」などと投稿するパワーハラスメント事案が発生した。
このパワーハラスメント事案は、被害職員が強度の心的ストレスを受けた結果、病気休暇に入るという重大な結果をもたらした。
このパワーハラスメント事案のうち、加害職員の選考会終了後の発言の部分について、令和5年9月、「恐怖感を与える強い口調で指導する不適切な言動」があったとして、消防長より厳重注意措置がなされていた。
上記パワーハラスメント事案が発生した後、令和5年9月に厳重注意措置がなされるまでの消防本部及び相馬地方広域市町村圏組合事務局(以下「組合事務局」という。)としての対応の経過を検討することで、消防本部及び組合事務局における組織的対応の問題点を明らかにする。
2)また、上記令和5年9月の厳重注意措置においては、過去の厳重注意措置事案が参考とされていたことから、過去の事案についても、調査結果の記録をもとに対応の問題点を指摘する。
3)更に、過去において厳重注意措置がなされた後に、その調査記録が漏洩したという経緯が認められたため、この問題点についても指摘する。
2 令和5年9月の厳重注意措置事案について
1)時系列
このパワーハラスメント事案が発生した以後の、消防本部及び組合事務局の対応について、委員会ヒアリングの結果等によれば、関係者の認識に齟齬がある部分が少なくないが、総合的に判断して、概要は別紙時系列表のとおりの経過であったものと認められる。
2)上記各時点における対応の当否について
(1)令和5年6月1日、被害職員から相談を受けた際の、警防課職員、警防課長の対応について
6月1日に警防課職員が被害職員から相談を受けた内容について、その記録が残されていないことは適切とはいえない。警防課としては、当時、被害職員から相談を受けた内容について、その時点で記録を残すべきであった。
警防課職員が、直ちに所属長である警防課長に報告したことは適切であるが、警防課長が警防課職員からの申出を受けて、引き続き警防課職員に事情、状況を確認させることとして、その結果、6月12日頃まで消防長への報告がないまま推移したことは適切とはいえない。
警防課職員から報告を受けた時点で、警防課長としては、速やかに消防長に報告するほか、所属職員(警防課職員)からハラスメントに関する通報ないし相談があったものと受け止め、消防本部総務課に対する通報・相談をすることが望ましかった。
(2)令和5年6月9日、組合事務局からアンケートの経過報告を受けた時点での消防長の対応について
本件事案が、救助訓練に関わって生じた出来事であり、救助訓練を所管しているのが警防課であること、被害職員から通報・相談窓口への申出があったものではないことに照らして、消防長として、警防課によるヒアリングを通じて事実確認をしようと考えたこと自体は理解できるも
のである。
しかし、本来であれば、消防長はこの時点で、警防課長に通報・相談窓口への申出をさせたうえ、警防課と消防本部総務課が連絡調整のうえ、通報・相談窓口が主体となってヒアリングを実施すべきであった。
(3)令和5年6月12日、組合事務局において被害職員から事情聴取をした対応について
組合事務局において、ハラスメントに関するアンケートの回答内容を
踏まえて、速やかに被害職員から事情聴取をしたことは適切であるが、
その記録が残されていないことは適切とはいえない。
組合事務局としては、当時、被害職員から事情聴取をした内容について、その時点で記録を残すべきであった。
(4)令和5年6月14~15日、警防課長及び警防課職員において関係者のヒアリングを実施したことについて
結果的に、警防課長及び警防課職員による関係者のヒアリングは迅速になされており、ヒアリングにかかる記録も概ね適切に作成されているといえる。
しかし、このヒアリングの際、警防課職員はヒアリング対象者に対して「加害職員も、ヒアリング対象者も、どちらも守りたい」と発言していた。ヒアリング対象者の多くは、被害職員と同様、加害職員に対する不信や恐怖を訴えていた状況であり、「加害職員も守りたい」との発言は、パワーハラスメントにかかるヒアリングを実施する者の発言として適切ではない。
このような発言がなされたことは、警防課としては被害職員も加害職員もいずれも自分の所管するチームの一員であるという意識が強かったことが1つの要因となっていたものと考えられる。
この点からも、本来は、消防長からの指示により、警防課と消防本部総務課が連絡調整のうえ、通報・相談窓口が主体となってヒアリングを実施すべきであった。
(5)令和5年6月14~15日、被害者のヒアリングを実施していないことについて
この時、被害職員からのヒアリングを実施していないことは適切ではない。
消防長が、警防課長からの報告により、被害職員は気持ちも落ち着いてきて前向きになっているものと認識していたとしても、その時点で被害職員がどのような状態であるかは重要な事情であるから、然るべき部署に被害職員へのヒアリングを指示する等して確認すべきであった。
(6)令和5年6月16日、警防課長及び警防課職員において加害職員と話し合いを行ったことについて
ヒアリングを実施する主体において、加害職員に事情を聞くことは必要であるが、この日のやりとりについて、警防課長及び警防課職員は、加害職員に対する指導と位置づけており、記録の内容も、専ら警防課長から加害職員に対して説諭した内容が記されている。
本来は、この時点で、加害職員に対して、被害職員にどのような言動をしたのかを確認し、加害職員の主張、言い分を聞き取り、記録しておくべきであった。
(7)令和5年6月16日頃、警防課長からヒアリング、話し合いの結果について報告を受けた際の消防長の対応について
警防課において作成したヒアリングの記録によれば、加害職員によるパワーハラスメント行為があったことは十分に認められるところであり、消防長は、この時点で、懲戒審査会の審査に付するために、所属長である南相馬消防署長か、あるいは本件事案において所属長に準ずる立場である警防課長に、相馬地方広域市町村圏組合職員の懲戒の取扱いに関する規程において定める申立書を提出するよう指示し、南相馬消防署長あるいは警防課長から申立書を提出させたうえ、懲戒審査会に本件事案の審査を要求すべきであった。
しかし、消防長は、本件事案についてそのような指示をしないまま、令和5年8月21日に組合事務局からハラスメントに関するアンケートの結果が報告されるまで時が経過している。
以上の点は、本件事案の一連の経過のなかでも、消防長としての重大な対応の不備である。
(8)令和5年6月下旬から令和5年8月21日までの経過について
加害職員が7月3日以降の訓練に参加していたことは不適切である。
加害職員によるハラスメント被害の拡大を防ぐため、加害職員を訓練から外すべきであった。
この点について、消防長及び次長と、警防課長との間で、加害職員が訓練に参加するに至った経緯について認識の齟齬があるが、いずれにしても不適切な対応である。
(9)令和5年8月21日、組合事務局からハラスメントに関するアンケートの結果を報告され、消防長としての処理が必要な事案であるとして対応を促された際の消防長及び次長の対応について
このとき、次長において、あらためて加害職員に対するヒアリングを実施したことは適切であるが、被害職員からのヒアリングを実施しなかったことは適切ではない。
消防長が、警防課長からの報告により、被害職員は気持ちも落ち着い
てきて前向きになっているものと認識していたとしても、その時点で被害職員がどのような状態であるかは重要な事情であるから、然るべき部署に被害職員へのヒアリングを指示する等して確認すべきであった。
(10)令和5年9月1日、消防長及び次長において本件事案にかかる対応を協議し、厳重注意措置が相当と判断したことについて
本件事案は、警防課による調査結果によっても、加害職員による相当な範囲を超える言動があったと認定すべき事案である。
相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針において、懲戒処分の標準的な量定として、パワーハラスメントの場合、停職、減給または戒告(標準例1(15)ア)とされていることに照らして、本件事案は懲戒審査会の審査に付されることが標準的である。
前記指針では、標準例に掲げる処分の種類よりも重いものとすることが考えられる場合として「非違行為の結果が極めて重大であるとき」等が挙げられている。また、標準例に掲げる処分の種類よりも軽いものとすることが考えられる場合として「職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき」「非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき」が挙げられている。
本件事案は、同報告書作成時点においても、加害職員の言動により、被害職員が少なくとも一旦は退職意向を持ったことを確認できていたものであり、加害職員の行為による結果は極めて重大であると判断すべきであった。
他方で、8月31日の次長による加害職員のヒアリング結果によれば、「職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき」に該当しないことは明らかであるし、「非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがある」とも認め難いところである。
以上によれば、「消防長による厳重注意が必要」とする点は、結論において妥当なものとはいえず、本件事案は消防長において懲戒審査会に審査を求めるべきものであった。
なお、消防長及び次長は、本件事案について、過去の事案を参考にして厳重注意措置が相当と判断したが、過去の事案において、相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針等と整合しない形で厳重注意措置
がなされていたものがある。
即ち、過去において、パワーハラスメントに対して適切に対応していなかった経緯があり、その不適切な前例を踏襲した結果、消防本部の本件事案における対応が不適切なものとなったという事情が認められ、この点は、本件事案における消防長及び次長の対応について斟酌すべき事情とはいえる。
しかし、本件事案における対応では、被害職員からのヒアリングが十分に実施されていない、令和5年6月16日頃から令和5年8月21日までの2か月以上に亘り何らの対応がない、この間、加害職員が訓練に参加している等、過去の厳重注意措置と比較しても対応が不十分なものであるし、本来、消防本部において単に前例を踏襲するのではなく、事案の実態に即して規程に基づいて対応していれば、本件事案について懲戒審査会に審査を求めるという結論に至ることは可能であったと考えられる。
(11)令和5年9月7日、次長が、消防長あてに提出した「ハラスメントに
関する調査結果について」(以下「本件報告書」という。)について
本件報告書において、処分のあり方について、「消防長による厳重注意が必要」としていることが、結論において妥当なものとはいえないことは、前記(10)において述べたとおりである。
なお、本件報告書について、次の点を指摘する。
① 本件報告書では、調査結果として「当該職員は、・・・威圧的な発言をしたことを認め、各個に謝罪したとのことである。」とまとめられている。
しかし、「威圧的な発言」との点が、具体的にどのような文言の発言であるのか、また、その具体的な発言がパワーハラスメントにあたるかどうかの判断が明確に記載されていない点が、ハラスメントに関する調査報告書として十分なものとはいえない。
本件事案は、警防課による調査結果によっても、加害職員による相当な範囲を超える言動があったと認定すべき事案であり、ハラスメントに関する調査報告書としては、まず、認定できる言動を特定したうえで、その行為がパワーハラスメント行為に該当するという判断を明確に記載すべきであった。
② 本件報告書において「当該職員が謝罪した」とされている点についても、本件報告書作成に先立つ、8月31日の次長による加害職員のヒアリング結果によれば、加害職員は「強い指導があったと言われる
のは心外だ」「彼らに大会で勝ってもらいたいという気持ちがあった。
彼らには謝っている。謝ったから認めたという訳ではない。」「私はパワハラを捏造されているのではないかと考えている。」「次、あいつが何かとか言われるようなことあれば、自分の名誉もあるので、弁護士をたてて訴えてやろうと思っている。」などと発言している。
また、被害職員からの聞き取りにより謝罪の事実が認定されたものでもない。
以上によれば、「謝罪した」とのまとめ方は、ハラスメントに関する調査報告書として適切なものとはいえない。
(12)令和5年9月20日、消防長が、加害職員に対して厳重注意措置をしたことについて
本件事案を「消防長による厳重注意」としたことが、結論において妥当なものとはいえないことは、前記(10)において述べたとおりである。
3 過去の厳重注意措置事案について
相馬地方広域消防において、上記2の事案よりも以前に、組合事務局が実施したハラスメントに関するアンケートにおいて、特定の職員についてハラスメント行為があるとの回答があり、組合事務局において調査を実施した結果に基づいて、消防長により厳重注意措置がなされた事例が複数件あった。
1件は、当時の組合事務局長が消防長に対して、「当該職員は、業務や訓練において出来ない職員や失敗を繰り返す職員に対し、強い口調で怒る、怒鳴るといった行為があったことを認めており、所属職員等からの聞き取り調査においても複数の職員から厳しい口調での叱責があると認められる。」とし、更に、処分のあり方について、「相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針によるパワーハラスメントは、職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動・・・としている」「今般の調査においては、厳しい口調での叱責が認められるが、相当な範囲を超える言動の有無は確認出来ていない。しかしながら、厳しい口調によって職員が萎縮し、不快な思いを感じていることは事実であり、職場環境の改善を図る必要がありますので、当該職員に対しては業務遂行における勤務姿勢を改めさせるため、任命権者による厳重注意が必要と考えます。」とする調査報告書を提出しており、消防長はこの調査報告書に基づき、厳重注意措置をしたものと認められた。
もう1件は、当時の組合事務局長が消防長に対して、「当該職員は、業務遂行にあたり、言葉遣いや立ち振る舞い、態度など問題があったことを認めており、所属の職員からの聞き取りでも、複数の職員を対象に暴力的行為、悪質な悪口、感情的叱責、性格等のからかい、ものまねや無茶な強要などの証言が複数あるとともに、調査期間中においても部下職員に口止めを強要するなどの行為があり、部下職員の不安を煽って萎縮させた。」とし、更に、処
分のあり方について、「相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針によるパワーハラスメントは、職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動・・・としている」「今般の調査においては、暴力的行為、悪質な悪口、感情的叱責、性格等のからかい、ものまねや無茶な強要などに関する証言が複数あるとともに、調査期間中においても部下職員に口止めを強要するなど行為も見受けられたが、3回目の面談においては、これまでの行為を深く反省し、涙ながらに後輩に対する謝罪を口にするなど、問題があった行動に真摯に向き合う姿勢を示している。しかしながら、感情的な言動によって職員を萎縮させるとともに、ものまねや無茶な強要などによって職員が不快な思いを感じていることは事実であり、職場環境の改善を図る必要がありますので、当該職員に対しては業務遂行における勤務姿勢を改めさせるため、任命権者による厳重注意が必要と考えます。」とする調査報告書を提出しており、消防長はこの調査報告書に基づき、厳重注意措置をしたものと認められた。
これらの厳重注意措置事案について、組合事務局が事実関係の確認等を行った後は、相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び排除に関する規程
に基づく処理が行われるよう、対応できるような組織体制が確立されていることが望ましかった。
また、後段の事案については、調査報告書において、まず、パワーハラスメント行為に該当する言動があったと判断したのか、そのような言動は確認できなかったとするのかが明確に記載されておらず、ハラスメントに関する調査報告書として十分なものとはいえない。そして、仮に、パワーハラスメント行為に該当する言動があったと判断された場合、組合事務局は、この件が懲戒審査会に審査を要求すべき事案であることを明確に記載し、消防長の対応を促すべきであった。この事案の対応は、パワーハラスメント行為に該当する言動があったかどうかを十分に判断しないまま厳重注意措置としたことにより、相馬地方広域市町村圏組合職員懲戒処分の指針等と整合しない内容となっていたものと解される。
更に、これらの厳重注意措置事案について、そのような対応がとられたことについて消防本部から消防職員らに対して何らの説明がなされなかったことで、パワーハラスメント事案に対する消防本部の対応について被害職員らの不信を招き、また、加害職員らに対する抑止力も働かなかったものと解される。
4 情報管理体制の不備、情報管理意識の欠如がみられる事案について
1)委員会ヒアリングの結果等によれば、相馬地方広域消防本部において、次の経緯があったものと認められる。
令和4年7月、それまで当時の次長が使用していたパソコンを更新し、更新後の旧パソコンを、消防本部通信指令室に設置替えした。しかし、その設置替えの際、専ら次長のみが取り扱うべきデータについて、消去が完全にはなされておらず、ハラスメントに関する調査記録、人事評価に関する記録、管轄外居住者に関する記録等が残っていた。
令和5年8月、消防本部通信指令室において、消防本部職員(以下「職員甲」という。)が上記パソコンを使用していた際、組合事務局が従前実施したハラスメントに関する調査記録のデータが残されているのを発見した。
その調査記録には、職員甲が加害者とされるハラスメント事案の調査記録が含まれていた。
職員甲は、パソコン内に、組合事務局が従前実施したハラスメントに関する記録のデータが残されていたことを速やかに報告せず、翌日以降、警防課長と喫煙所で一緒になった際に、警防課長に対して報告をした。
その後、警防課長は消防長に対して、通信指令室のパソコン内に、組合事務局が従前実施したハラスメントに関する記録のデータが残されていたことを報告し、消防長は警防課長に対して当該記録のデータを消去するよう指示した。
その後の経緯については、消防長及び警防課長の記憶に齟齬があるところであるが、概要、消防長から警防課長に対して、次長が使用するデータが格納されているフォルダを消去するよう指示があり、警防課長において職員甲の立ち会いがないまま当該フォルダを消去した。
その後、警防課長は職員甲に対して、パソコン内のヒアリング結果にかかるデータを消去したが、消去されているかと確認し、職員甲は消去されていると答えた。
2)令和4年7月、パソコン所管換えの時点での情報管理責任者の対応の問題について
ハラスメントに関する記録のデータは、秘密の保持が徹底されるべきものであり、次長が従前使用していたパソコンを、所管換えにより消防本部通信指令室で使用する前の時点で、次長が取り扱っていたハラスメントに関する記録のデータが完全に消去されていなかったことは、不適切である。
情報セキュリティ管理者である当時の総務課長(当時の次長が兼務、以下「次長」という。)は、所管する部局の情報セキュリティ対策に関する責任を負っていたものであり、パソコンの設置替えにより、次長のみが取り扱うべきデータが、他の職員に閲覧されることのないよう、データを完全に消去すべき職務上の義務があった。
3)令和5年8月、職員甲から報告があった際の警防課長、消防長の対応の問題について
職員甲から警防課長に対して、パソコン内に、組合事務局が従前実施したハラスメントに関する記録のデータが残されていたことが報告された時点で、警防課長としては、情報セキュリティに関する事故として、速やかに情報セキュリティ管理者である次長に報告し、次長の指示のもと対応すべきであった。
本件の場合、警防課長は情報セキュリティ責任者である消防長に報告をしていることから、報告義務を怠ったと強く咎められるものではないとしても、情報セキュリティに関する事故としての所定の報告がなされていたものとは言いがたい。
また、報告後の消防長、警防課長の対応について、データを消去する対応を試みたこと自体は適切であるが、その具体的な手法として、職員甲の立ち会いのないまま、警防課長において、次長が使用するデータが格納されているフォルダを消去しただけの対応であったことは、不適切である。
本来であれば、情報セキュリティ管理者である次長の指示のもと、職員甲に立ち会わせて、当該データを特定し、消去の対応をすべきであった。
更に、後日、消防長から職員甲に対して、どのようなデータが残されていたのか、誰が閲覧したのか等について報告を求め、職員甲から消防長に対して書面による報告がなされたとされている。しかし、消防長において、その書面を保管していない点は適切な対応とは言えない。
本来であれば、情報セキュリティに関する事故としての所定の報告書が作成され、次長に対して提出され、保管されているべきであり、その報告書において、どのようなデータがいつからいつまで閲覧できる状況であったかが明らかにされているべきであった。
4)相馬地方広域消防において、ハラスメントに関する記録のデータについて、秘密保持に関する理解、認識を醸成し、情報セキュリティポリシー、情報セキュリティ実施手順に基づく組織的対応が確立されることが必要である。
第5 相馬地方広域消防におけるこれまでのパワーハラスメント対策の問題点
1 はじめに
これまで、相馬地方広域消防では、パワーハラスメント対策として、各種規程を策定し、通報・相談窓口を設置し、定期的なアンケートを実施し、定期的な研修を実施してきたところであるが、これらの対策は、次の点において不十分であったと考えられる。
2 ハラスメント事例に適用される規程への理解不足と、規程の不明確さ
1)前記第4記載の事案の検討によれば、これまで、消防長、次長、所属長、消防職員及び組合事務局職員らにおいて、総じて、ハラスメント事例に適用される規程(通報・相談窓口に関する規程や、情報管理に関する規程を含む)を十分に理解し、これらの規程に基づいて対応できていたとは言いがたい。
規程への理解が十分でないため、消防長、次長、所属長らにおいて規程に基づく対応をとることができず、その結果、前例を参考とするのみで、ハラスメントへの適切な対応をとることができず、消防職員らの不信を増幅させていたものと考えられる。
2)ハラスメントを受けた職員本人(被害者)のほか、被害者の同僚、又は、上司等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者は、通報・相談窓
口に申出ることができる(相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び
排除に関する規程第8条)とされており、その後ハラスメント対応委員会
において事実関係の調査をすることとなるが、これは消防本部内での申出があった場合を想定して、その対応を定めているものである。
消防本部の外部にあたる組合事務局においてハラスメントの事実関係を認識した場合に、その後、具体的にどのようにして懲戒審査会の手続に至ることとなるのかについて、規程上明確に定められていない。
このことが、過去の厳重注意措置事案、前記令和5年9月の厳重注意措置事案の不適切さにつながった可能性がある。
3)任命権者は、ハラスメント対応委員会による事実関係の調査の結果、ハラスメントの事実が確認された場合には、懲戒処分を含む必要な処置を講ずるとされているが(相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び排除に関する規程第14条)、他方で、懲戒手続は、任命権者が所属長から申立を受けた場合に懲戒審査会に事案の審査を要求することで開始すると
規定されている(相馬地方広域市町村圏組合職員の懲戒の取扱いに関する規程第7条)。
消防職員に対する任命権者は消防長であるが、消防長がハラスメント対応委員会や、その他の者から、ハラスメントに該当する事実の報告を受けた場合に、具体的にどのようにして懲戒審査会の手続に至ることとなるのかについて、規程上明確に定められていない。
このことが、前記令和5年9月の厳重注意措置事案の不適切さにつながった可能性がある。
4)以上のとおり、懲戒審査会の手続が必要となる様々なハラスメントの事例について、規程上、消防長、次長、所属長等の対応の手順が必ずしも網羅されていないことは問題である。
3 通報・相談窓口について
1)平成29年11月に通報・相談窓口が設置されて以来、申出の実績が1
件もない。
これは、前記第3、3において指摘した、ハラスメント事例に対して適
切な処分、措置をしてこなかった、ハラスメント事例を公表してこなかっ
た、情報管理体制の不備、情報管理意識の欠如といった問題から、職員に
おいて、通報・相談窓口を信用、信頼していないことによるものと考えられる。
前記第4、4に記載したとおり、情報管理体制の不備、情報管理意識の
欠如がみられる実例があり、職員の通報・相談窓口に対する信用、信頼の程度は極めて低いものと認められる。
2)相馬地方広域消防においては、通報・相談窓口が消防本部総務課に設置
されているが(相馬地方広域消防職員のハラスメント防止及び排除に関する規程第7条)、このような仕組み自体が適切なものとは言いがたい。
平成29年7月4日消防長次長通知(消防消第171号「消防本部におけるハラスメント等への対応策に関するワーキンググループの検討結果について」)によれば、一部事務組合等消防本部におけるハラスメント等通報制度については、小規模な消防本部等では「(ⅰ)大規模な市町村等への事務の委託」「(ⅱ)公平委員会の事務として苦情を処理」「(ⅲ)事務の
共同処理(他の市町村または一部事務組合等と共同処理する)」のいずれかが想定され、大規模な消防本部等では「(ⅳ)消防本部内へのハラスメント等通報窓口の設置」によることが想定されている(同通知4~5頁)。
相馬地方広域消防本部は、職員数150人と比較的小規模な消防本部というべきであるにもかかわらず、消防本部総務課に通報・相談窓口を設置していた。この場合、小規模な消防本部であるが故に、被害者と通報・相談窓口を担当する者、加害者と通報・相談窓口を担当する者の間に一定の人間関係があることが多く、そのことが、被害者の通報・相談行為を躊躇させたり、通報・相談窓口を担当する者の対応に影響を生じさせたりしてしまうことが懸念される。
この制度上の問題が、通報・相談窓口の機能不全の一因となっているも
のとも考えられる。
3)福島県内の一部事務組合消防本部におけるハラスメント等通報制度をみると、消防本部において規程を策定し、消防本部総務課に通報・相談窓口を設置している例が多くみられるが、中には、
・組合において規程(要綱、訓令)を策定している例(喜多方地方広域市町村圏組合、会津若松地方広域市町村圏整備組合)
・消防職員以外に組合職員もハラスメント相談員とされている例(喜多方地方広域市町村圏組合)
・消防本部にハラスメント相談窓口を設置するほか、組合事務局総務課にハラスメント通報窓口が設置され、組合事務局職員が通報の受理に当たり、消防本部の相談窓口と連絡調整をするとされている例(会津 若松地方広域市町村圏整備組合)
・ハラスメント等調査委員会を組合事務局総務課に置いたうえで、委員長(事務局次長)が特に必要と認める場合に有識者などの第三者を委員として委嘱することができると定めている例(南会津地方広域市町村圏組合)
などもみられる。
4 アンケートについて
1)これまでのアンケート実施の経過
相馬地方広域消防では、平成30年12月、令和元年6月、令和元年1
2月、令和2年6月、令和2年12月にパワハラアンケートを実施してい
た。
平成30年12月に実施された初回のアンケートでは、例えば、「最近
1年間において、組織内で『人前で感情的な叱責』がありましたか?」と
いう質問項目について、「されたことがある」「したことがある」「見聞
きしたことがある」という回答の少なくともいずれかを選択した職員は合
計67名(回答職員数140名のうち47.9%)であった。
その後のアンケートでは、「前回アンケート以降、パワハラを受けたか」
という質問項目が設けられたが、この質問項目に対して「受けた」と回答
した職員は、
令和元年6月実施 9名(回答職員数136名のうち6.6%)
令和元年12月実施 1名(回答職員数130名のうち0.8%)
令和2年6月実施 2名(回答職員数142名のうち1.4%)
令和2年12月実施 3名(回答職員数148名のうち2.0%)
と、それぞれ少数であった。
その後、組合事務局がアンケート実施主体となり、令和3年10月、令
和4年6月、令和4年11月、令和5年6月にハラスメントに関するアン
ケートを実施していた。
このアンケート実施に伴い、組合事務局では、電話及びgoogleフォームによる相談窓口を設置していた。
令和3年10月に実施されたアンケートでは、「あなたの職場では、ハラスメント行為がありますか」という質問項目について、「ある」という回答をした職員は合計30名(回答職員数150名のうち20%)であり、
それまでと比較して大幅に増加した。
その後のアンケートでは、同じ質問項目に対して「ある」あるいは「見聞きしたことがある」と回答した職員数は、
令和4年6月実施 13名(回答職員数143名のうち9%)
令和4年11月実施 11名(回答職員数149名のうち7%)
令和5年6月実施 16名(回答職員数147名のうち11%)
と推移した。
なお、組合事務局が設置した電話及びgoogleフォームによる相談窓口に対して、消防職員から令和3年度に5件、令和5年度に1件、合計6件の相談がなされていた。これらの相談については、相談者が承諾した範囲内
において消防本部に対して情報共有がなされていた。
2)消防本部が実施したアンケートにおける回答の自由記載等をみると、アンケートがパワーハラスメントの抑止力になっているとして、アンケートの継続を求める者が少なくない。
この種のアンケートは、ハラスメント等を可能な限り未然に防止するため、職員の気付きを促す取組として位置づけられるものであり、過去のアンケートは、職員自身のハラスメントに対する気付きとなる効果や、抑止効果が一定程度あったものと考えられる。
3)他方で、アンケートには次の問題点があったものと認められる。
(1)令和元年6月に消防本部が実施したアンケートにおいて、消防本部から組合事務局に提出された集計表には、回答においてパワハラ行為者として実名を記載されていた者に関する記載がなかったが、実際には、パワハラ行為者の実名を記載した回答が7通あり、記載された実名数はのべ10名であった。
このアンケートにおいて、行為者の実名を記載した回答の中には、当委員会がこれまでにパワーハラスメントに該当すると認定した具体的な事実を記載するものもあった。
更に、令和元年12月に消防本部が実施したアンケートにおいて、消防本部から組合事務局に提出された集計表には、回答においてパワハラ行為者として実名を記載されていた者に関する記載がなかったが、実際には、パワハラ行為者の実名を記載した回答が1通あり、記載された実名数は1名であった。
以上の消防本部が実施したアンケートの回答は、パワーハラスメントに関する調査を行い、原因を究明し、再発防止措置を採ることのできる機会となり得たものであるが、消防本部がこれを活かすことができていなかった。
(2)消防本部が実施したアンケートは、所属長により各署、分署ごとに回答がとりまとめられており、回答者がより特定されやすい形式で行われていた。
また、中には、所属長が所属の職員に対して、アンケートの回答内容について開示していたような事例もうかがわれる。
このような事情から、回答者が被害の実情を記載しにくいものであったと考えられる。
(3)消防本部が実施したアンケートにおいても、組合事務局が実施したア
ンケートにおいても、ハラスメントの時期について「前回アンケート実施以降」として回答を求めており、このために、過去のハラスメントを回答しにくいものとなっていた。
特に、異動により加害職員と別の勤務となったことで、ハラスメント行為の回答を記入しやすい状況となっても、アンケートにおける回答の対象とされないため、被害の実情を回答できないという状況があったものと考えられる。
(4)令和5年6月1日から15日にかけて実施されたハラスメントに関するアンケートでは、「あなたの職場では、ハラスメント行為がありますか」という質問に対して、消防職員の回答は、「ある」が6%、「見聞きしたことがある」が5%、「ない」が89%であった。
しかし、当委員会が消防職員を対象に実施したアンケートでは、「あなたは、相馬地方広域消防内に、今、ハラスメントがあると認識していますか」という質問に対する回答は、「認識している」が51.2%であった。
このことから、アンケートは令和5年の時点で形骸化していたものと考えられる。
特に、前記第3、3、3)及び第4、4において指摘した情報管理体制の不備、情報管理意識の欠如が、消防職員らのアンケートに対する信用、信頼を失墜させていたものと考えられる。
5 研修について
1)これまでの研修実施の経過
相馬地方広域消防では、次のとおりハラスメントに関する研修を実施していた。
平成29年8月1日、2日
「ハラスメント等の撲滅に向けて」 消防職員137名参加
平成31年3月13日、14日
「消防職員のパワハラ防止対策」 消防職員134名参加
令和3年12月8日
「ハラスメントの背景とその対処法」 消防職員40名参加
その他WEBでの参加
令和4年9月30日
「危険な現場で働く人のハラスメント」 消防職員30名参加
その他WEBでの参加
2)当委員会が実施した消防職員に対するヒアリングにおいては、研修によるハラスメント防止の効果があったとする意見も一定数あった。
研修は、ハラスメント等を可能な限り未然に防止するため、職員の気付きを促す取組として位置づけられるものであり、過去の研修は、職員自身の気付きにつながる効果が一定程度あったものと考えられる。
3)他方で、次の問題点があったものと認められる。
(1)特に管理職に対して、パワーハラスメントの訴えがあった場合に具体的にとるべき対応について、相馬地方広域消防において適用される規程に則した形での研修は実施されていなかった。
このことから、消防長、次長、各所属長らにおいて、パワーハラスメント行為に対して、規程に則した形で対応すべきことの理解、認識が醸成されていなかったものと考えられる。
(2)ハラスメントに関する記録の秘密保持について、情報セキュリティポ
リシー、情報セキュリティ実施手順に基づく組織的対応が確立されることが必要であることは前述のとおりであるが、このような観点からの研修は実施されていなかった。
このことから、各職員において、ハラスメントに関する記録の秘密保持に関する理解、認識が醸成されていなかったものと考えられる。
第6 今後の対策について
今後、相馬地方広域消防において、パワーハラスメントを根絶していくためには、相馬地方広域消防が、以上に述べた問題点を十分に理解したうえで、問題点を解消する意識、意欲を強く持って改善を図っていくことが必要不可欠である。
そこで、相馬地方広域消防として、本第二次答申書(中間答申)を踏まえて、パワーハラスメントに対する実効性のある対策案を検討し、速やかに提出していただきたい。
当委員会としては、提出された対策案を踏まえて検討し、これに対する意見も含めて、最終答申を提出する予定である。
以 上
令和6年5月28日
相馬地方広域消防内におけるパワーハラスメント行為に関する第三者委員会
委員長 安村誠司
委員 藤野美都子
委員 渡辺慎太郎
《カウンセラー松川のコメント》
拙ブログ6月7日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 不適切対応「改善不可欠」 相馬消防本部、パワハラ中間答申を公開
これの続報です。
この答申書ではアンケート調査の回答についても掲載されており、
記載内容から組織内でパワハラが当然の如く横行し、
それを幹部も黙認していた様子が浮き彫りになっています。
また、情報セキュリティについても、責任者の無責任な対応が判明しております。
ところが、情報セキュリティの責任者は管理職の充て職の面もあり、
素人が付け焼刃に対応させられている点は否めません。
しかし、これだけコンピューターが業務で浸透している状況での対応としては
あまりにもお粗末な対応とも言えます。
決して、IT関係に疎くても、問題行動のある職員の言葉を鵜呑みにするのは、
管理監督者として無能と言えます。
健全な職場環境を醸成する意識が幹部に欠落や皆無であったことの証左と
言っても過言ではありません。
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