暴言で卓球部元顧問減給、茨城 自殺生徒への不適切指導も認定
2021年5月24日(月) 20:49 共同通信
茨城県教育委員会は24日、顧問をしていた卓球部で暴言を伴う不適切な指導があったとして、高萩市立中学の男性教諭(39)を減給10分の1(9カ月)の懲戒処分とした。卓球部では2019年に3年の女子生徒=当時(15)=が自殺。不適切指導はこの生徒にも及び、精神的負担を掛けていたことを認定した。
一方で、高萩市が設置した第三者委員会作成の報告書が指導と自殺の因果関係を認めていないことを踏まえ、県教委は自殺自体は「処分理由に加味しない」と説明した。
県教委によると、教諭は18年10月から19年3月、自殺した生徒を含む部員全員に「ふざけるな」などと繰り返し怒鳴った。
※ 詳細な記載のある記事も併せて掲載致します
茨城・高萩の中3自死、「複合的に作用」と第三者委
2021年3月26日(月) 11:00 朝日新聞(小松重則、久保田一道 片田貴也、佐野楓)
茨城県高萩市の中学3年の女子生徒(当時15)が2019年4月に自殺した問題で、市は25日、自殺に至る理由を明確に説明するのは難しいとする調査結果を公表した。一方で、調査にあたった第三者委員会は、自殺の前兆となった行動への周囲の対応や、部活動内での威圧的な指導に改善を求める提言を盛り込んだ。
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女子生徒が亡くなったのは19年4月30日。自分の部屋で自死しているのを家族に発見された。死後に遺族から、生徒が所属していた卓球部顧問の教諭の暴言などについて記載があるメモが提供された。また、18年9月の学校によるアンケートでは「部活動は練習時間が長い。やっているといらいらする」などと回答していた。
市は19年6月に弁護士や大学教授らで構成する第三者委を設置。遺族や同級生、教員らに聞き取りを重ねてきた。
この日、市が公表した報告書の概要は、自殺に至った要因について「いろいろな事情が複合的重畳的に作用した」として、「単純明快な説明は困難であるとの結論に達した」と結論づけた。前提となる具体的な調査結果のほか、生育歴や学校生活に触れた箇所は遺族の意向を踏まえて黒塗りとした。
一方、生徒が精神的な不調を訴えるなど自殺の前兆になる言動があったにもかかわらず、「学校も家庭も適切な対応がとれなかった」と指摘。教職員や保護者に対し、生徒からの「SOS」に対処するための教育が必要だと提言した。
あわせて、教員とは別の角度から生徒に寄り添うスクールカウンセラーの常勤配備を求めた。
部活動の顧問については、生徒の自主性を重んじる本来の指導を逸脱し、「勝利至上主義」に基づいた威圧的な指導が著しくなった可能性があるという見方を示した。加えて、部活に長時間をあてることを見直すよう求めた。
報告書がまとまったことを受け、同市の大内富夫教育長は「生徒がどんなに悩み苦しんだのか、誰も気づかず助けることができなかった。『大切な命』を預かっていることを再認識し、担任の先生が『一番たよれる大人』となることを目指して全力で取り組む」などとするコメントを出した。
報告書の骨子
・自殺に至った理由は、事情が複合的重畳的に作用し、単純明快な説明は困難だ
・女子生徒が抑うつ的な訴えなどを何度も出していたのに、学校も家庭も適切な対応がとれなかった。教職員や保護者にSOSを受け止め、適切に対応するために実践的な研修が望まれる
・女子生徒は、スクールカウンセラーにつながらず援助を受けられなかった。専門性を強化するとともに、常勤配置が必要だ
・試合に勝つための厳しい練習を肯定する見解は、生徒の自主的・自発的な参加という部活動の本来の目的から逸脱し、顧問教諭の威圧的指導を助長する。部活動参加の事実上の義務化は改める必要がある
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高萩市の第三者委員会がまとめた報告書の中では、部活動のあり方に対する改革も提言された。
部活での指導のあり方は、2012年に大阪・桜宮高校バスケットボール部で、顧問から体罰を受けた生徒が自殺した事件を機に見直しの機運が高まった。翌年には日本オリンピック委員会など5団体が「暴力行為根絶宣言」を採択。日本バスケットボール協会は昨年度から、試合中の指導者の暴力や暴言は「反則」とみなし、2回で失格とする規定を設けている。
ただ、指導者による暴言は依然としてスポーツの現場に残る。日本スポーツ協会(東京)が昨年、指導者を対象に調査したところ、過去5年以内に「言葉による暴力」を見聞きした指導者は約6割に上り、「体罰やしごき」を見聞きした指導者の約4割を上回る。
18年7月には岩手県立高校でバレーボール部の男子生徒が自殺し、第三者委員会は顧問の叱責(しっせき)や暴言が自死につながる絶望感を強めた一因と結論づけた。報告書によると、顧問は「そんなんだから幼稚園児だ」などと日常的に人格を否定する発言があったという。
名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は「言葉の暴力への認識はまだまだ浸透していない。暴言は受け手のショックが見えにくく、抱え込みやすい」と分析する。「指導の一環」として容認されやすいことが背景にあるとして、「暴言に対する処分を重くし、復帰後も部活の顧問につけるかどうかを慎重に考えることが重要だ」と話している。
《カウンセラー松川のコメント》
今般の報告書では顧問の暴言があった事を認めておりますが、
家庭でも適切な対応をしていなかった点を指摘しています。
事件が2019年5月の為に当時の報道が拾い揚げられませんが、
一部の情報では
[顧問は「いい加減にしろ」「馬鹿野郎」「殺すぞ」など繰り返していた]
とも書かれております。
懲戒処分の理由に[暴言による不適切な指導]とされていますので、
当時の情報も間違えていないと思います。
「いい加減にしろ」「馬鹿野郎」が中学生に対して適切であったかは
部活動現場を見ていない者には判断出来ませんが、
「殺すぞ」は教育的には不適切な発言であったと思います。
ただ、自殺した生徒に対して、他の部員よりも厳しい指導や
悪質な言動の有無が言及されていないので、
県としても自殺の原因を顧問の指導とは特定しなかったのだと思います。
勝負事となる部活動では対外試合があるならば、
どうしても勝利至上主義になりがちなのはやむを得ないでしょう。
勝利至上主義を撤廃したいならば、
対外試合での得点や勝ち負けを無くすしかありません。
いい加減にしろというという言葉だと、ついつい皆さん言ってしまいがちではないでしょうか。馬鹿野郎とだの殺すぞはさすがにまずいかと感じます。
返信削除まぁ、人それぞれ受け取り方が違うので何とも言えませんが、若者が多く使ううざいという表現なら大丈夫なのか?といえばそれも違いますよね。
どうであれ、言われた者が嫌だ苦しいなどと感じるのであれば、それはハラスメントになってしまう確率があがるのですよね。あぁ、某流行歌のようなうっせえわだとどうなのでしょうね。
言葉の伝わり方には一層気をつけねばなりませんね。
相手がどう受け止めるかは分かり難いです。
削除だから、優しく丁寧に分かり易く諭したり、
説明するのが理想かも知れませんが、
懲らしめる効果を求めるならば、
厳しい言葉遣いが必要かも知れません。
しかし、殆ど人は常に何かに専念して
働いている訳ではありませんから、
どうしても咄嗟の言動があると思います。
だから、
何が何でも常に相手の受け止め方を考慮するのは
理想であっても非現実的です。
そこに相互の理解が必要ですし、
信頼関係の構築も大切です。
ただ、
上下関係の世界にまで
「信頼関係を築け」だの
「相互に尊重しろ」は
むしろ行き過ぎた要求とも思えます。
最近の子供は権利意識が強いのか
自身の置かれている立場を弁えない
言動も著しい気がしてなりません。