2021年5月31日月曜日

スーパー社員「過労自殺」労災認定 国の処分取り消し 松江地裁

スーパー社員「過労自殺」労災認定 国の処分取り消し 松江地裁

 

2021年5月31日() 13:14 毎日新聞(小坂春乃)

 

 島根県でスーパーを展開する「ウシオ」(出雲市)の社員、高木教生(のりお)さん(当時36歳)=同市=が自殺したのは過労などが原因だとして、両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、松江地裁(三島恭子裁判長)は31日、労災と認め、遺族補償給付を不支給とした国の処分を取り消した。死亡直前の時間外労働は月120時間を超え、うつ病を発症していたと認定した。

 

 高木さんは同社で酒のバイヤーをしていた2009918日、出雲市内の山中で自殺。出雲労働基準監督署は、死亡前6カ月の時間外労働を月82101時間と算定し、過労死につながる心理的負荷はなかったとして不支給にした。

 

 判決は、家族や同僚らの証言を慎重に吟味し、死亡前6カ月の時間外労働がいずれも月110時間以上で、特に直前2カ月は月124138時間に及んだと指摘。食欲不振や睡眠障害などが見られた約2週間前からうつ病を発症し、「自殺は業務に起因する」と結論付けた。

 

 両親は高木さんが当時の社長からパワハラを受けたとも主張したが、判決は社長が強く叱責することはあったものの、高木さんに対する嫌がらせやいじめとは認められないとした。

 

 判決後、記者会見した両親側の高橋真一弁護士は「タイムカードやパソコンのログイン記録がなければ、従業員が死亡すると会社の言いたい放題になり、家族が涙をのむケースが多い。わずかな証拠から労災認定を勝ち取ったのは大きな意義がある」と述べた。島根労働局は「判決内容を精査し、関係機関と協議したい」とのコメントを出した。ウシオは「コメントは差し控える」としている。


《カウンセラー松川のコメント》

亡くなられてから11年以上の時間を要しての判決。
原告の皆様、お疲れ様でした。
管轄労基署としてはプロとして「労災に非ず」との判断に対して
専門外の判事から「労災と認める」と言われても
表向きは納得出来ないでしょうね。
しかし、労基署も常時人手不足なので、
なかなか調査も思う様に行かないのが実状。
どこまできちんと調べ上げたのかは疑問が残ります。

原告の皆様へ
パワハラが認められなかったのは残念かも知れませんが、
反復継続する理不尽な叱責でもない限りは
パワハラと認め難いのが現状だと思います。
それでも、過剰労働によるうつ病が自殺の原因である事を
裁判所が認めたのは大きな勝利だと思います。

4 件のコメント:

  1. 人手不足とはいえ、真実を見逃す?(見誤る?)は困りますね。労働者は何を頼り何を信じたらよいのか…。 しかし138時間の時間外労働?たまらないですね。

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    1. 労基署が割り出した超勤時間の根拠と
      被害者遺族の割り出した根拠について
      言及されていなので何とも言えませんが、
      何か見落としてしまったのではないかと推測しております。

      私も以前の仕事で200時間超が結構ありましたよ。
      人出不足の職場では当たり前ですし、
      低賃金の職場では超勤を多くして
      人並みの稼ぎにして労働者も納得だったりしてます。
      あと、会社としても雇う人数を少なくして
      超勤を増やした方が人件費の抑制になる場合もあります。

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    2. さすがにバブルの頃にはそのような働き方も多かったようですね。データをまとめ作成された方の資料を最近見たばかりですが、最近はかなり改善されたようです。 人件費が真っ先に削減の対象になりますが、雇用人数減らして時間を増やすやり方がよくあるとはいえ、変えていきたいことでもありますね。
      残業代で稼ぐというのもあるあるですが、やはり適度に抑えていく働き方が当たり前になると良いなと考えます。

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    3. バブルの頃には人手不足での超勤過多もありましたが、
      バブル崩壊後には経費抑止や削減で採用人数を減らしての
      人為的な人手不足に移行したケースもある様です。

      当初から低賃金で採用して、
      労働者が超過勤務での収入増を望む様な
      賃金体系や職場環境を形成している例もあります。

      どちらも健全な労働環境ではありませんので
      適性な人員配置と超過勤務が無くても
      ゆとりある生活が出来る賃金体系を構築した
      企業が理想的ですよね。

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