2021年5月25日火曜日

頭にバーベル用の重り投げ、トイレで用足す姿を撮影…「職場も黙認の風潮」と免職取り消し

頭にバーベル用の重り投げ、トイレで用足す姿を撮影…「職場も黙認の風潮」と免職取り消し

 

2021年5月25日() 7:36 読売新聞(立山芽衣、相良悠奨)

 

 パワーハラスメントを理由に免職の分限処分を受けた山口県長門市消防本部の元司令補の男性(45)が市を相手に処分取り消しを求めた訴訟で、山口地裁は4月、男性の主張を認めて処分を取り消した。判決は男性のパワハラ行為を認める一方、職場には粗暴な言動を黙認する風潮があったとして「行為は男性個人だけが原因ではない」と判断した。男性は「今考えるとあり得ない職場だった」とし、反省の言葉を口にしている。

 

 バーベル用の約2・3キロの重りを投げて頭で受け止めさせる、トイレの個室で用を足す姿を撮影する、携帯電話を見せるように言いメッセージのやり取りを撮影する――。4月14日の判決が認定した男性による部下への行為の一例だ。

 

 男性は2017年8月に処分を受け、18年10月に提訴した。これに対し、市側は訴訟で、調査結果をもとに「29人もの部下に対して長期間、悪質なパワハラを繰り返してきた。それを理由に退職の意思を固めた者もおり、免職は相当だ」と反論していた。

 

 判決は、市側が主張した男性のパワハラ約80件について「基本的にあった」と認定した上で、「幼稚かつ軽率で部下の人権を軽視しており、相当悪質だ」と指摘。だが、男性の職場では部下への粗暴な言動を黙認する風潮があり、「パワハラ行為は男性個人にのみ起因するとは言いがたい」とした。

 

 さらに、行為について男性への指導や研修の機会もなかったことを挙げ、過去の最高裁判決も引用して「免職の場合における適格性の有無の判断では特に厳密、慎重であることが要求される」とした。

 

 男性は判決後の4月下旬、読売新聞の取材に応じ、パワハラ行為の一部を否定しつつ「スキンシップや指導が行き過ぎた部分はあった。部下たちに謝りたい」と語った。自身も上司から同じような行為をされたとし、「それが当たり前だと思っていた。職場を離れてみて、個人の尊厳への意識が薄い組織だったと気付いた」とした。

 

 市消防本部の職員の一人も「命を預かる職場なので、上司の厳しい指導は仕方ないと思っていた」と打ち明ける。ただ、「裁判所は消防の職場環境について厳しく捉えた。気をつけなければいけない」と語った。

 

 市は4月27日付で広島高裁に控訴した。理由は「差し控える」としている。

 

 今回の判決について、パワハラ問題に詳しい嶋崎量(ちから)弁護士は「最高裁の判断基準に基づき、市の指導や教育の欠落と、男性が改善する可能性を踏まえた妥当な判断。組織に積極的な対策を求める社会的なメッセージにもなる」と評価する。

 

 元東京高裁判事の升田純弁護士は「加害者が許されるわけではなく、組織側の責任とは別だという見方もできる。個々のパワハラの重大性に対する分析のほか、現代の価値観や問題意識の反映が不足している印象だ」と疑問を呈した。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ4月26日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 【山口】免職処分取り消し判決を不服とし長門市が控訴 消防本部パワハラ問題 (mms119.blogspot.com)
これの続報です。
驚きの判決です。
これだけの悪事を働きながら職場環境を理由に免職は不当とのこと。
過去にこの職場でこれ以上に悪質な行為を行いながらも、
定年まで勤め上げられた職員が相当数居たのでしょうか?
この判事も自身が虐めに遭った経験が無いから、
こんな軽い判決を平気で出せるのです。
まぁ地裁レベルではトンデモ判決が多いので、
本番はこれからです。
市の控訴は正しい判断です。
是非ともパワハラ、しかも行き過ぎたパワハラ加害者が
どの様に処分されるのが妥当か是非示して欲しいです。
「昔はやっていたから」「以前から続いてから」「みんながやってるから」
これで許されるのは判断力の足りない子供くらいです。
社会人にもなって事の善悪が分からないのならば、
その人はどこかに欠陥がある証拠なので検査や治療が必要です。
こう言う事案で騒ぎが大きくなると加害者の決まり文句の様に
「スキンシップが行き過ぎた」
と口にしますが、本心なのかも疑いたくなります。
私は市側をこれからも応援します。

被害者の方々へ
悪質なパワハラ加害者はどの様な行く末を辿るのか
しかと注目していてください。
 

3 件のコメント:

  1. ここまで悪質なのはハラスメントの範疇ではなくなっているように感じます。永年このような風潮の組織だったのでしょうから、どこか日常だったのかもしれません。しかし、いくら『命を預かる職場なので、上司の厳しい指導は仕方ないと思ってい』とは言っても、その厳しさを間違えてはいけませんからね。トイレの個室利用時に撮影?それのどこが指導ですかと言いたいです。厳しい鍛錬がいつの間にか行き過ぎて悪ふざけになり、いじめることで満足を得てしまうパターンでしょうか。こうしたことはどんどんエスカレートしますもんね。加害者である方の改善はとても難しいですね。 職場の雰囲気は本当に大切であると改めて痛感します。

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    1. ハラスメントではなく暴力と虐待に過ぎません。
      職場の雰囲気と言う事は加害者も悪事を働かないと
      上司や先輩から酷い目に遭わせられそうだったのでしょうか?
      そんな事は無いと思うのです。
      しっかりとした信念を持っていれば、
      その人に後輩や部下は付いて来ますし、
      そこから負の連鎖を断ち切れる可能性もあります。

      悪事を絶つよりも、悪事を継続させる方が
      楽な場合が多いと思います。

      でも、その悪事にしても、輪を掛けて酷くするか、
      それとも手を抜いて緩くするかも本人次第です。

      命を落としたり負傷してりする危険性の高い職場なので
      訓練でも指導でも厳しくする事はあると思いますし
      それも大切な仕事ですが、
      それと虐めを一緒にする様では社会人とは言えません。

      まぁ、そもそも論で言ってしまえば
      虐めが当たり前の職場でなければ良かったのですから
      健全な職場環境作りと維持は管理監督者の
      大切な仕事とも言えます。
      当然、職場全員も同じ役目を負います。

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  2. コメント中で文字が一文字抜けていました。失礼しました。

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