2022年6月21日火曜日

先輩警官らのパワハラ争点 兵庫・機動隊員の自殺訴訟、22日に判決

先輩警官らのパワハラ争点 兵庫・機動隊員の自殺訴訟、22日に判決

 

2022年6月21日() 7:00 朝日新聞

 

 兵庫県警機動隊員だった木戸大地さん(当時24)が2015年に自殺したのは先輩らのパワーハラスメントが原因だとして、遺族が県に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、22日に神戸地裁である。県警側はパワハラを認めず、全面的に争っている。

 

■パワハラか、指導か

 

 訴状などによると、09年に県警に採用された大地さんは、12年に機動隊へ配属。翌年の技能試験の際に「同僚に解答を見せた」などと先輩警察官にカンニングを疑われ、行為を認めるよう迫られた。自殺の3カ月ほど前にはこの先輩から「ミス一覧表」の作成を命じられた。また、別の上司には、任意参加の朝練に出なかったとしてスクワットをさせられた。

 

 遺族側は、一連の行為はパワハラにあたり、うつ病を引き起こしたと主張。自殺を図ったのも、先輩から当日の午前中、ミス一覧表の再提出を執拗(しつよう)に命じられたことが原因だと訴えている。

 

 一方で県警側は、先輩らの行為に「パワハラは存在しない」との立場だ。

 

 カンニングとミス一覧表をめぐる行為については、ミスを指摘して改善させるためのもので「不合理とはいえない」と主張する。

 

 スクワットなどは「職務に必要な体力の向上を図るため」としている。機動隊は災害時の人命救助も担うため「より強靱(きょうじん)な体力や精神力が必要」とし、組織の特殊性も強調する。

 

 自殺と先輩らの行為とに因果関係はなく、県警側が自殺を予見するのは困難なため賠償の責任はない、として棄却を求めている。

 

 先輩警察官は口頭弁論で、自殺前に「ボケ木戸」と書いたふせんを書類に貼ったことなどを認め「ミスが事故につながると自覚してほしかった」と述べた。

 

 

※ 他社のニュースも掲載致します 

県警機動隊だった息子の死、パワハラが原因ではないのか
 自殺から約6年8カ月、両親が裁判に託す思い

 

2022年6月20日() 7:40 神戸新聞(篠原拓真)

 

 2015年に兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん=当時(24)=が自殺したのは、先輩や上司のパワーハラスメントが原因として、広島市の遺族が県に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、神戸地裁である。嫌がらせやいじめでうつ病となり、自殺に追い込まれたとする両親に対し、県警側は「指導」はしたが自殺との因果関係はないと主張。父一仁さん(73)は「大地の死を無駄にしたくない。県警は非を認めて償ってほしい」と求める。

 

 

 訴状などによると、大地さんは12年9月から機動隊で勤務。15年10月6日に隊舎の自室で首をつっているのが見つかり、9日後に病院で亡くなった。

 

 両親は、大地さんが先輩隊員から技能試験で同僚に解答を見せたと扱われ、「カンニングを認めろ」と執拗(しつよう)に迫られていたと訴えた。大地さんは否定していたが、自殺を図った当日も自白を強要され、同僚に「もう、しんどい」と言って隊舎に戻っていた。

 

 また、宴会で裸踊りを強要されたり、仕事での「ミス一覧表」を作るよう命じられたりしたと主張。別の上司は強制ではない朝の訓練に参加しなかったとして、スクワットをさせていたとも訴えた。

 

 一方、機動隊員100人以上から聞き取った内容を記した書類や証人尋問では、先輩が「運転手やめてまえ」などと叱り、書類の不備がある箇所に「ボケ、木戸」と書いた付箋を貼っていたことが分かった。県警側はこれを不適切な言動と認めたが、ミスを指摘して改善させる「必要な指導」だったと反論した。

 

 大地さんは15年7月ごろにうつ病を発症したとされるが、県警側は、先輩隊員や上司の行為と発症の因果関係を認めなかった地方公務員災害補償基金の認定を指摘。大地さんは組織内で自ら孤立し、不安や疲労を感じたと推察できるとし、うつ病発症と先輩らの行為は関連しないとした。

 

 機動隊では当時、ほかにも自殺者がいた。県警は隊員への聞き取り調査の結果、パワハラやいじめはなかったとした。

 

 大地さんの自殺から約6年8カ月。なぜ、わが子は命を絶ったのか-。一仁さんは「夢半ばで命を絶つことになった息子のために。そして、現場の第一線で頑張る機動隊員のために。県警が変わるきっかけとなる判決を出してほしい」と願った。


《カウンセラー松川のコメント》

日本警察は組織防衛では有数の実力を誇る組織です。
その様な組織を相手に「自殺の原因はパワハラ」と導き出すのは
容易ではありません。
ところが、細かな事実の断片は集まっていますので、
その事実の断片をつなぎ合わせて、真実を導き出す日が迫って来ました。
被告の「必要な指導」と言う強弁は、あまりにも無理があります。
ミスの指摘に罵倒は不要です。
被告は「指導」だと言い張っても、それがどこまで通用するか?
しかし、裁判所は国営であり、裁判官も政府に雇われています。
よって本当に正しい判決が出るのか、その保証はどこにもありません。
今はただ裁判官の良心に期待するしかありません。

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