2022年6月23日木曜日

警官自殺とパワハラの因果関係認めず…1か月前には別の隊員も自殺、幹部「昔の常識は通用しない」

警官自殺とパワハラの因果関係認めず
…1か月前には別の隊員も自殺、幹部「昔の常識は通用しない」

 

2022年6月23日() 7:14 読売新聞

 

 兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん(当時24歳)が自殺したのは、先輩らのパワーハラスメントなどが原因だったとして、両親が県に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は22日、一部の行為をパワハラと認定し、県に慰謝料100万円の支払いを命じた。パワハラと自殺との因果関係は認めなかった。両親は控訴する方針。

 

 判決によると、木戸さんは2012年9月から機動隊に所属していたが、隊の先輩から14年3月以降、月2、3回の頻度で大声で叱責(しっせき)されたほか、書類の記載ミスに「ボケ木戸」と書いた付箋を貼られたり、仕事のミス一覧表の作成を命じられたりした。木戸さんは15年10月に隊の寮で自殺を図り、死亡した。

 

 県側は「ミスの改善に業務上必要な指導でパワハラではない」と主張したが、久保井恵子裁判長は判決で、「大声でどなることが常に必要だったとは言えず、態様は暴言や嫌がらせと評価される不適切なものだ」と指摘。「指導の域を超え、社会通念上相当性を欠いたパワハラ行為だ」と違法性を認めた。一方で、「叱責は長時間続けておらず、自殺に追い込むほどの精神的負荷を与えるものではなかった」として自殺との因果関係は否定した。

 

 県警は「判決内容を検討し、今後の対応を決めたい」とコメントした。

 

父、判決に憤り

 「怒りを通り越して失望した」。判決後に神戸市内で記者会見した木戸さんの父、一仁さん(73)は、パワハラと自殺の因果関係が認められなかったことに憤り、涙を流した。

 

 判決では先輩のパワハラは認められた。一仁さんは「違法行為を放置した県警の責任は重い」と語気を強め、「大地の死を無駄にしないため、県警の体質が変わるよう控訴審でも訴えていきたい」と話した。

 

 県警機動隊では木戸さんが自殺する1か月前の15年9月にも別の隊員が自殺。県警は直後にプロジェクトチームを発足させ、隊員の指導法などを学ぶため外部講師を招くなどの対策を続けている。ある県警幹部は判決を受け、「厳しい指導が当たり前だった昔の常識は通用せず、意識改革に終わりはない」と語った。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ6月22日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 巡査自殺で百万円賠償命令、神戸 遺族がパワハラ主張 (mms119.blogspot.com)
この続報です。
昨日までのニュースと異なり、
裁判長の判決での理由や県警幹部のコメントもあり
本事案についての良い解説にもなっております。
自殺の要因については裁判所も推測の域を超えられない為に
パワハラとの因果関係を認めるには至りませんでしたが、
大きなパワハラだけでなく日常の小さなパワハラでも
これが積み重なれば過剰ストレスとなり自殺に至る可能性は否定出来ません。

御遺族の方へ
控訴審では被害者がどれだけのストレスを抱えるに至ったかを
詳細に訴えることで自殺とパワハラの因果関係を認めさせる事が
必要なのかも知れません。

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