2022年12月2日金曜日

自殺直前、30分もの叱責「もうしんどい…」兵庫県警・機動隊員自殺問題 遺族が控訴審でパワハラ裏付ける新事実提出 大阪高裁

自殺直前、30分もの叱責「もうしんどい
兵庫県警・機動隊員自殺問題
 遺族が控訴審でパワハラ裏付ける新事実提出 大阪高裁

 

2022年12月2日() 3:00 ラジオ関西

 

 2015年、兵庫県警機動隊に所属していた男性巡査(当時24歳)が自殺したのは、所属していた機動隊で先輩や上司から受けたパワーハラスメントなどが原因だとして、広島市の両親が兵庫県に約8千万円の損害賠償を求めた控訴審の第1回口頭弁論が1日、大阪高裁で開かれた。

 

 亡くなった巡査・木戸大地さんは広島市内の高校を卒業後、2009年に兵庫県警に採用された。2012年から機動隊で勤務し、20157月ごろにうつ病を発症して同年10月に神戸市内の宿舎で首つり自殺した。

 訴状や遺族への取材によると、大地さんは日常的に上司や先輩からの暴言を浴びていたという。具体的には、朝の訓練に参加しなかったとしてスクワットをさせされたり、宴会で裸踊りを強要されたり、「ミス一覧表」の作成を命じられたりしたとしている。

 

■「もうお前は機動隊にはいらん」顔面蒼白で「もうしんどい……」絶望の淵に

 

 こうした中、大地さんは先輩の巡査長らから、技能試験のカンニングを事実ではないのに認めるよう迫られるようになった。原告側によると、自殺した2015106日午前、大地さんのもとへ先輩の巡査長が押しかけて廊下に呼び出し、「もうお前は機動隊にはいらん」などと約30分にわたって叱責していた事実が新たに判明したという。

 

 一審・神戸地裁の審理では、大地さんに対してカンニング疑惑を先輩が延々と追及したとされていたが、自殺直前の具体的な時間帯が特定された(大地さんが死亡したのは、この9日後の同年1015日)。一部の隊員の証言によると、大地さんはその直後、真っ青な表情で「もうしんどい」などと話したのが最後だったという。

 

 控訴審ではこれらの行為の有無が争点となる。被告・兵庫県(兵庫県警)はこれを否定して請求棄却を求め、原告側は大地さんの存在を完全に否定され「『もう警察では生きていけない』と絶望の淵に追いやり、自死へ決定的に追い詰めたことは明らか」と主張している。

 さらに上司(機動隊中隊長)については「規律違反(ハラスメント、及び前記の職務義務違反行為)を知っていながらこれを放置した。また、注意を払えばパワハラ行為ではないかとの疑問が生ずるにもかかわらず、これを漫然と見過ごし、調査を怠った義務違反が存在する」としている。

 

 兵庫県警はこの問題で、関係者128人から聞き取り調査をしているが、原告側は、このうち約40人が大地さんへのパワハラを認め、さらに4,5人が「この巡査長に殺された」と証言したとの確証を得たとしている。

 

 大地さんの父親・一仁さんは「これでもう一度審理のスタートラインに立つことができた。今度こそ、大地の無念を晴らしたい。これらの事柄が明らかにならなかったのは、組織内で”かん口令”が敷かれていたのではないか」と話した。



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遺族側「パワハラが自殺の原因」県側「パワハラはない」
 兵庫県警巡査の自殺めぐる裁判の控訴審始まる

 

2022年12月1日() 20:33 朝日放送

 

 7年前に兵庫県警の巡査が自殺したのは、先輩隊員などからパワハラを受けたことが原因だったとして、遺族が県に損害賠償を求めた裁判の控訴審が始まりました。

 

 兵庫県警機動隊に所属していた木戸大地元巡査(当時24)は2015年、警察の寮で自殺を図り、その後、死亡しました。

 

 遺族は木戸さんが、先輩隊員などからパワハラを受けたことが原因で自殺したとして、兵庫県に約8000万円の賠償を求め提訴。

 

 一審の神戸地裁は、パワハラを一部認め、県に100万円の賠償を命じましたが、パワハラと自殺などとの因果関係については認めませんでした。

 

 その後、遺族、県側共にこの判決を不服として控訴していました。

 

 12月1日から始まった控訴審で、遺族側は「自殺を図る直前にも、先輩が大地さんを怒鳴りつけていたのを見た隊員もいた。パワハラが自殺の原因である」と改めて主張し、上司がパワハラやいじめを知ながら放置した兵庫県警の安全管理義務違反もあったと述べました。

 

 一方の県側は「パワハラはなく、業務上必要な指導で、安全管理義務の違反もない」と争う姿勢を示しています。

 

 (遺族)「高裁でまた一からのスタート、今度こそ、大地の無念を晴らし、真実を明らかにしたい」。

 

 

 

自殺直前「お前いらんねん」と30分怒鳴られ
…兵庫県警機動隊員へのパワハラ、控訴審で遺族側が提示

 

2022年12月1日() 19:34 神戸新聞

 

 兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん=当時(24)=の自殺は先輩隊員や上司のパワーハラスメントが原因として、木戸さんの両親=広島市=が、県に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が1日、大阪高裁(石原稚也裁判長)であった。両親側は一審で触れられなかった証言などを示し、パワハラ行為と自殺などとの因果関係を訴え、県側は同行為自体を否定して棄却を求めた。

 

 木戸さんは2012年9月から機動隊で勤務。15年10月6日に隊舎自室で首をつっているのが発見され、9日後に病院で死亡した。

 

 両親側は木戸さんがパワハラでうつ病を発症し、自殺したと主張。県側は「必要な指導だった」と反論していた。一審神戸地裁判決は先輩の四つの行為をパワハラとし、県に100万円の支払いを命じたが、自殺との因果関係は認めなかった。

 

 控訴審で両親側は、隊員らの証言から木戸さんが自殺を図る直前に先輩が「お前いらんねん」などと30分ほど怒鳴り散らしたと説明。神戸地裁がうつ病発症、自殺と先輩の行為の関係を判断した基準も「誤っている」と指摘した。

 

 同日の弁論で石原裁判長は「安全配慮義務違反の審理が尽くされていない」と述べ、双方に追加説明を要求。木戸さんの父一仁さん(74)は終了後の会見で「今度こそ大地の無念を晴らし、真実を明らかにしたい」と力を込めた。

 

 

 

直前に「仕事もできひんのに」「お前いらんねん」
兵庫県警機動隊“パワハラで自殺”めぐる裁判で新証言

 

2022年12月1日() 17:56 読売テレビ

 

 兵庫県警機動隊で隊員が自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、遺族が損害賠償を求めている裁判の控訴審が始まりました。遺族側は、上司に関する新たな証言を提出。裁判の行方は?

 

 自殺した木戸巡査の父・一仁さん「大地、いよいよ今度は大阪高裁に場所を変えて、一からの戦いが始まるよと。頑張ってくるから もうすこし待っとけよ…。報告してきました」

 

 息子の無念を晴らすための戦いの場は大阪高裁に移りました。

 

 兵庫県警機動隊、通称「マルキ」に所属する警察官だった木戸大地巡査(当時24)。7年前の2015年10月、独身寮で自ら命を絶ちました。

 

 部屋には、家族あての遺書がー。そして別の紙には、機動隊の先輩「A隊員」に向けた言葉もつづられていました。

 

 『あなたの思い描いた通りになってよかったですね。もうこれ以上、あなたに関わることはないですよ』

 

 記者「読売テレビですが、機動隊での自殺について伺いたいのですが、機動隊の中で何があったのでしょうか」

 A隊員「すみません、ちょっとすみません」

 記者「木戸巡査との間に何があったのでしょうか」

 A隊員「ちょっと、すみません」

 記者「あなた宛ての遺書が書かれたことについてはどう思っていますか。パワハラはなかったんですか」

 

 木戸巡査が自殺したのはA隊員のパワハラが原因だとして、父の一仁さんは2017年に兵庫県を相手に損害賠償を求める裁判を起こしました。

 

 裁判の過程では、数百枚に上る膨大な資料が警察側から開示されました。

 

 機動隊員ら延べ120人以上への聞き取り調査の報告メモには、A隊員が木戸巡査に対し、「運転員を辞めろ」などと叱責していたほか、ミスをした書類に「ボケ、木戸」と書いた付箋を貼っていたことも明らかになりました。

 

 今年6月、神戸地裁は、付箋を貼るなどの行為をA隊員のパワハラと認め、兵庫県に100万円の支払いを命じた一方、最大の争点だった自殺との因果関係については「自殺するほど強い精神的負荷を与えたとは評価できない」として認めませんでした。

 

 判決を不服とし、木戸巡査の父・一仁さんと兵庫県警側の双方が控訴する展開となった裁判。控訴審に向け、一仁さんと弁護側が機動隊員らへの聞き取りメモを見返す中、新たな証言が見つかりました。

 

 木戸巡査の父・一仁さん「どっかで誰かと(証言の)食い違いがあるんじゃないか。それを何回も見直して、見直して、空白の30分がみつかった」

 

 これまで、A隊員と木戸巡査が最後に接触したのは、自殺する3時間前の午前10時とされていました。このときも、木戸巡査は5分ほど叱責されていました。

 

 しかし、自殺する約1時間前の午前11時半ごろから、約30分にわたり、A隊員が木戸巡査を大声で怒鳴っているのを聞いたとの証言が見つかったのです。

 

 A隊員(木戸巡査に対し)「仕事もできひんのに」「お前いらんねん」

 

 その後、木戸巡査の顔は青ざめ、他の隊員に「大丈夫か」と声を掛けられる姿も目撃されていたということです。

 

 そして、叱責があったとされる時刻から約1時間たった午後1時ごろ。木戸巡査は機動隊の寮で自殺していました。

 

 1日から始まった控訴審で一仁さんは、この証言を新たな証拠として裁判所に提出しました。

 

 それに対し、県警側は「信用できる供述ではない」などとして、引き続き訴えを退けるよう求めています。

 

 なぜ息子は、命を絶たなければならなかったのか。真相が明らかになるまで、家族は戦い続ける覚悟です。


《カウンセラー松川のコメント》

警察官が自殺に追い込む様なまるで間接的な殺人に手を染めた。
そんな事を警察自身が認める訳がありません。
動かぬ証拠が出ない限りは、
加害者の行為と自殺との因果関係を徹底的に否定し続けるでしょう。
そして、現職警察官から原告有利な証言は期待出来なくても、
退職者が既に発生しているとすれば状況が変わる可能性はあります。
被告に不利な証言をしても勤務評定を気にする必要が無いからです。

御遺族の方へ
原判決を不服として控訴審に持ち込む以上は新たな証拠が必要です。
それを立証するのは大変かも知れませんが、
諦めないで探し続ける価値はあると思います。
被告に不利な証拠が見つかれば、
被告からの金銭解決による譲歩も見られるでしょう。
しかし銭金の問題ではなく、加害行為を認めさせるかどうかならば、
それはそれで大変な戦いになるかも知れません。

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