方針を押し付ける大人に “なんちゃって主体性” で応える子ども…
部活動から「スポーツハラスメント」をなくし真の主体性を引き出すには
2024年12月6日(金) 21:41 琉球放送(下地麗子)
「厳しさって、本当の厳しさって、皆さん、何ですかね?」
スポーツ界のハラスメント問題を長年取材するジャーナリストの島沢優子さん。先月、スポーツ指導を担う教員らを集め行われた「スポーツハラスメント防止研修会」に登壇した。
▽講演で島沢優子さん
「叱って “走れ、これをやるんだ、何しているんだ” と、ガッと一瞬強度を高く追及すると、子どもたちはスッと伸びる」「ですがそれは “一発学習” とか “恐怖学習” と言われ、プレッシャーを、恐怖を与えることで子どもたちがしょうがなくやるわけですよね。そこに主体性とか自立はない」
島沢さんは、大阪の桜宮高校で顧問からの体罰を苦にバスケット部員が自殺した事件(2012年)など、スポーツ界に蔓延するハラスメント問題を長年取材してきた。
▽島沢優子さん
「2021年明けの1月に、コザ高校のお子さんが(部活動顧問の叱責を苦に)亡くなって、 “まだ届いていないんだ” と。ショックだったですね」
沖縄県立コザ高校の空手部員が顧問からの叱責を苦に自殺した問題を受け県が設置した、部活動改革推進委員会の委員も務める島沢さん。同じ委員の一人、沖縄大学の石原端子准教授のゼミ生(大学3、4年)とのディスカッションに臨んだ。参加するのは、亡くなった生徒と同世代の学生たちだ。
▽男子学生
「コザ高校の自死のことを学んでいけばいくほど、楽しくやっていた部活でこうなるのは良くないと、めちゃくちゃ思います」
▽別の男子学生
「自分はチームスポーツをやってきたけど、監督の押し付けというか自分がやりたいことをさせてもらえなかったというか… 監督の型にはめたチームプレーをやっていけという感じで、好きなことができなかった」
▽島沢優子さん
「 “なんちゃって押し付けていませんよ大人” もいるんですよ、本当は押し付けているのに」
それでも子どもがそうした指導に応え、大人に合わせていく理由を、島沢さんはこう表現する。「なんちゃって主体性」。
「子どもたちってみんな優しいし、大人はこうしたら喜ぶって思うわけです。あと、 “こうしたら怒られない” 、とかね」
「(子どもでも)リップサービスが多いんだよ、そこになかなか大人が気付けなくて、 “なんちゃって主体性” になっている」
スポーツをしている学生たちの中には、すでに子どもたちの指導を担っている学生もいた。ディスカッションのさなかに、ハッとした様子だ。
▽ダンスを教えている女子学生
「近々あるコンテストに向けて気合入れるぞ! と選抜メンバーを固めて、今までやっていなかった筋トレもやったりとか、自分の中で気合が入っているんです。今の話を聞いて、ちょっと危ないなと。自分の主観を入れすぎたらこれ危ないかも(と感じた)」
▽島沢優子さん
「そこで問いかけてあげたらいいだろうね。 “コンテストがあるけど、みんなどんな気分?どういうことしたい? ” と。子どもたちがこうしたいと、そのためには何をするか考えようか、という感じで伴走すればそこは主体的じゃん」
社会におけるスポーツの課題を自分事として考えた学生たち。島沢さんは社会課題の改善には共感する力が必要だと語りかけた。
「何かを変革、改革するとき、変えていくときというのは、その課題に対して共感することが源泉だと思うんです。僕もそういう経験あったよ、嫌だったよ、だからこれは変えていかなければ、と」
「適切な情報が与えられていけば、共感が芽生えていく、ということは今日(のディスカッションで感じた)一つの希望だと思いました」
模索が続く県内の部活動改革。島沢さんは指導者たちに、部活動 “から” 変わっていくことの意義を訴えている。
「学校の中で運動部活動はすごく注目をされる。そこが変わっていけば、生徒や他の教員の方々への良い影響は必ずあると思うんです。トップランナーになるというような気概を持ち、一緒に走り始めていただければ嬉しい」
<取材MEMO>
島沢さんは県の部活動改革委員の一員として、新たなプロジェクトを立ち上げる。
「野球・バスケット・サッカー・バレーボール・ハンドボール・空手」の6競技の県内団体が協力し、ハラスメント問題について学びを深めるという。競技団体の垣根を越えてスポーツハラスメントの根絶をめざす取り組みは全国的にも初めてのケースとみられ、このプロジェクトにも注目が集まっている。
《カウンセラー松川のコメント》
子供の主体性は大切です。
しかし、スポーツを「競技」として認識するならば、
経験の少ない児童生徒や学生よりも、経験を積んでいる指導者に従うことが
好成績への道になるのではないでしょうか?
勿論、教わる側も奴隷の如く従う必要はありませんが、
全ての児童生徒や学生が自主的に考えただけでは、
「楽しい」はあっても「勝利」には繋がらないと思います。
大学の部活となると、
同じスポーツでも勝利至上主義とも言える体育会と
楽しむ事を主眼に置いたサークルとに分かれます。
小中高校でも、この様に分別されるのが理想ですが、
それだけの要員や施設等を確保しなければならないので、
現実的ではありません。
スポーツを純粋な娯楽として行いたいならば、
課外でリトルリーグに入らず、友達と空き地でやる程度でしょう。
競技会への出場意義は「参加すること」なのか「好成績を収める」なのか、
この部分で指導内容も変わると思います。
しかし、部活でも指導者による人格攻撃や無理なトレーニングは
避けるべきでしょう。
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