「お前アホじゃねぇんけ?」看護学校で教職員が学生に“人格否定”
着替え中の女子と同室で男子に実習 被害者が証言
2024年12月18日(水) 11:27 福井テレビ
福井・越前市の武生看護専門学校で、複数の教職員によるパワハラやセクハラがあったとして、福井地方法務局などが調査を進めている。被害者の1人がカメラの前で証言し「あなたは看護師に向いていない」などと心無い言葉を浴びせられたことを明かした。
卒業生ら4人が複数の教職員からの被害を訴え
武生看護専門学校の卒業生と在校生の男女4人は、2021年から2024年にかけて、複数の教職員から人格を否定するような言動や威圧的な態度などパワハラ被害を受けたとして、11月に学校を運営する武生医師会に謝罪と再発防止を求める申出書を提出した。
訴えを受けた医師会は、第三者を含む調査委員会を設置。2025年3月末までに調査結果を医師会に報告し、4月には医師会がパワハラやセクハラの有無を判断したうえで、必要な対策を取るとしている。
「お前は社会人としておかしい」と人格否定の言葉も
教職員からのパワハラやセクハラ被害を訴えているのは▼卒業生の30代女性Aさん▼現役学生の40代女性Bさん▼20代男性CさんとDさんの4人。
このうち、2024年3月に卒業した30代の女性Aさんがカメラの前で証言した。
看護学校でのパワハラ被害を訴えるAさんは「いきなり理由もなく、無言で机に記録物を叩きつけられて、教員になぜそんなことをするのかを聞いても教えてくれなかった。教員から暴言や、人格を否定するような『おまえは社会人としておかしい』とか『お前アホじゃねぇんけ?』とか、実習とは全く関係のない言葉を吐き続けられて、私も理解が追いつかなくて…」と当時の状況を明かす。
Aさんは「なぜこんなことを言われないといけないのかと思った。無視されたり、他の実習メンバーにも『あいつはおかしい』『なんであいつはあんなにできないんだ』と私がいない所で悪口を言われたりして、居場所を失っていった」と訴える。
Aさんの証言によると、武生看護専門学校に在学中の2023年6月頃、教員から「お前アホじゃねぇんけ?よく社会人やってこられたな」などと人格否定の言葉を浴びせられ、その後も「看護師に向いていない」とまで言われたという。
皆の前で「絶対に人を殺す」と罵倒
別の教員からも2021年5月に「あなたは看護師になったら大きなミスをする。絶対に人を殺す」などと、大声でみんなの前で言われたこともあった。
2023年9月には現役学生の40代女性Bさんら複数の学生にも被害があったとして、Aさんとともにパワハラ被害を学校に告発した。しかし、改善が見られないとして2023年12月、学校を所管する県の地域医療課に相談。県は学校に対し事実確認を行うよう要請した。これを受けて学校は、教員の研修を行うことや学生からの意見を集めるための目安箱を設置するなど対応をしたとしている。
男子学生はセクハラ被害を訴え
Aさんらの告発によって学校側は対応を取ったとしているものの、2024年6月には現役の男子学生CさんやDさんからも、パワハラやセクハラ被害の訴えがあった。
教職員からセクハラ被害を受けたと訴える20代の男子学生Cさんは「(実習の)カンファレンス中に女子が目の前で着替えている中、カンファレンスが続行された。僕は場所を変えたかったが先生が『見なかったらいい』と言い、着替えている女子を背にしてカンファレンスが続行された」と当時の状況を打ち明けた。
男子学生Cさんによると、女子学生が着替えをしている同じ部屋で教員が実習を受けさせたため、Cさんは精神的な苦痛を受けたという。
この件を受け、Aさんを中心に4人は2024年6月に再度、学校側に相談した。だが、改善が見られなかったとして、10月には、武生看護専門学校を運営する武生医師会に謝罪や再発防止を求める申出書を提出した。
福井地方法務局も調査へ
武生医師会は11月に第三者を含む調査委員会を設置し、事実関係を調査している。結果は2025年3月末までに確定させるとしているが、県地域医療課に対し「パワハラやセクハラの有無に関わらず、ハラスメント防止のガイドラインを作り、窓口を設けるとともに、教員へのハラスメント研修を行う」としている。福井テレビの取材に対しては「現在、調査される側なので第三者委員会の判断を待ちたい」とした。
Aさんは福井地方法務局に人権救済を求め、法務局は人権侵犯事件にあたるかどうか、学校長などに聞き取り調査を予定している。
看護師の不足が叫ばれるなか、その貴重な人材育成の場で起きた今回のパワハラ・セクハラ問題。どのような調査結果や再発防止策が出されるのか、注視する必要がある。
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