2025年4月27日日曜日

「家に行っていい?」男性上司からのセクハラで休職 復職後も同じ職場…「加害者は何も責任を取らない」

「家に行っていい?」男性上司からのセクハラで休職 復職後も同じ職場…「加害者は何も責任を取らない」

 

2025年4月27日() 17:00 西日本新聞(河野賢治)

 

 元タレント中居正広氏の性暴力を発端にしたフジテレビの問題を巡り、職場のセクハラにあらためて厳しい目が向けられている。セクハラの相談は全国で年間6千~7千件台に上り、高止まりが続く。福岡市内の女性会社員も深く傷ついた一人だ。「死にたいくらいつらい。会社は親身になって対応してほしかった」と涙ながらに訴えた。 

 

 「家に行っていい? 行ったら駄目なの?」「俺の着替えを置いといてよ」

 

 女性は2016年、今の会社に入って間もなく、男性上司にたびたび声をかけられるようになった。職場の飲み会では体を密着させ、肩を抱いてくる。嫌だったが何も言えなかった。

 

 男性社員から好意を持たれている、という話も聞かされた。「あなた胸が大きいよね。それがいいんだって」。同僚たちはみだらな言動を目にしても、笑うだけで止めなかった。

 

 上司は仕事の評価を担う立場にあり、女性は怖くて拒めなかった。「悔しかったです」。19年、人事部署にメールで被害を報告したものの、詳細な聞き取りはしてもらえなかった。

 

 女性は以前、入社前に勤めていた別の会社でも、社長から「胸が大きいね」「何カップ?」と言われ続けて体調を崩した。耐えかねて退職し、試験を受けて入ったのが今の会社だ。

 

 入社面接のことを鮮明に覚えている。「二度とあんな思いをしたくない」と覚悟を決め、前の会社をセクハラで辞めたと打ち明けた。その場で面接官だったのが、みだらな言動をしてきた上司。つらい経験を聞いていた人物からの行為に、ショックが増した。

 

     ∞∞

 

 やがて、目まいや吐き気に悩まされるようになり、昨年春にうつ病と診断されて休職。人事部署に再び被害をメールで報告した。復職の際は、その上司との接触を避けるため、元の部署に戻さないでほしいと伝えた。勤務先は複数の企業でつくるグループ会社の一つ。異動先の選択肢は十分にあると思っていた。

 

 ところが数カ月後、休職期間満了に伴って復帰を決めると、以前の職場に戻るよう言われた。再び上司と顔を合わせたことや、体調が十分に回復しない中で働き始めたこともあり、症状が悪化。職場では自分だけ業務連絡が来なかったり、話の輪から外されたりした。再び休職し、現在も復帰できないでいる。

 

 女性は、2度にわたり人事部署に被害を告げたのに、十分な聞き取りがなかったことを残念に思う。昨年春の1度目の休職後から、会社は産業医との面談を数回設けてくれた。ただ、「もっと早く対応して、復帰先もよく考えてくれれば」と納得がいかない。

 

 2度目の休職も期間に限りがある。それを過ぎて復帰できないと、社内規定で自主的に退職となる。「加害者は何も責任を取らないのに、会社の言いなりになって辞めるのは悔しい。被害をきちんと聞いてもらい、普通に仕事がしたかっただけなのに」。女性は声を詰まらせた。

 

セクハラ

 職場で行われる性的な言動により、労働者が不利益を受けること。身体への接触や性的な話をすることが代表例。性別を問わず加害者にも被害者にもなり得るほか、同性への行為も該当する。「職場」の定義は幅広く、日常的に勤務する事務所をはじめ、取引先の事務所や顧客の自宅、出張先、業務の延長と考えられる飲み会も含まれる。


《カウンセラー松川のコメント》

傷病休職でも、私傷(原因が業務外)と公傷(原因が業務に起因)で
期間設定が異なるのが通例かと思います。
それは、私傷ならば自己責任なので、一定の期間は従業員への健康配慮としても
期間を超える場合は欠勤扱いになったり、退職とされても止む無しなのでしょう。
しかし、公傷は業務執行が原因で起きたので、雇用側が責任を持って
治療に協力するべきなので、期間設定を設けないのも当然です。
さて、記事の案件では、上司によるセクハラが原因で発症しているのですから
公傷扱いとして、雇用側は治療期間を全て休職扱いにするべきでしょう。
その為にも、セクハラと発症の因果関係を証明し、
セクハラの証拠も確保する必要はあります。

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