2021年10月20日水曜日

上司のパワハラで社員自殺、労災認定 藤沢労基署、トヨタ自動車販売店に

上司のパワハラで社員自殺、労災認定
 藤沢労基署、トヨタ自動車販売店に

 

2021年10月20日() 22:21 神奈川新聞

 

 藤沢市のトヨタ自動車販売店に勤めていた男性=当時(38)=が2019年5月に自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だとして、藤沢労働基準監督署が労災認定していたことが20日、分かった。認定は6月22日付。男性の両親らが20日、厚生労働省で記者会見して明らかにした。

 

 両親らによると、男性は「トヨタカローラ横浜」(現神奈川トヨタ自動車)藤沢店で営業職として働いていたが、18年6月に赴任した男性店長から営業ノルマを巡って繰り返し叱責(しっせき)を受けた。車販売の仮契約にキャンセルが出た際には、店長から「売ってくるまで帰ってくるな」「(契約分の)400万円を弁償しろ」などと迫られたという。男性は19年5月24日に自宅で自殺した。

 

 藤沢労基署は、男性がほかの社員の目の前で店長から1時間以上怒鳴られたり、「ばか野郎」と言われたりしたことがあったとして、パワハラによる労災を認定。19年2月下旬ごろにはうつ病を発症していたとした。

 

 男性はその後も勤務を続けていたが、発症前の半年間、最長で月100時間を超える時間外労働をしていたことも確認した。

 

 県内に住む男性の父親は会見で「同じことが二度と起きないよう、会社の体質を見直して働きやすい環境をつくってほしい」と求めた。亡くなる1時間前まで男性と会話を交わしていたと明かした母親は「なぜあの場を離れたんだろうとずっと自分を責めてきた」と吐露。「なぜ息子は死ななければならなかったのか。会社は息子に謝罪してほしい」と声を詰まらせた。

 

 神奈川トヨタ自動車は「遺族に深くおわびする。事実確認に不備があり、再発防止策の着手が遅れた。遺族の思いを重く受け止め、ハラスメント行為の撲滅に不退転の決意で取り組む」とコメントした。



※ 他社のニュースも掲載致します

「あの時、抱きしめるべきだった」 トヨタ販売店パワハラ自殺の遺族

 

20211020 20:00 朝日新聞(山本恭介、橋本拓樹、近藤郷平)

 

 神奈川トヨタ自動車(横浜市)の男性従業員(当時38)がうつ病を発症して3カ月後に自殺したことについて、藤沢労働基準監督署(神奈川県藤沢市)が上司によるパワーハラスメントが原因の労災と認定したことが分かった。遺族側が20日、記者会見して明らかにした。認定は622日付。

 

 遺族側によると、男性は2013年ごろから同社(当時はトヨタカローラ横浜)藤沢店で販売などに従事。18年に異動してきた上司から1時間以上叱責(しっせき)されたり、「ばかやろう」と言われたりすることがあった。男性は192月ごろにうつ病を発症。5月に自宅で自殺したという。藤沢労基署は上司のパワハラによるうつ病が原因と認定した。うつ病との因果関係は示されなかったが、発病前6カ月間に月平均80時間を超える時間外労働が認められ、「過労死ライン」を超えていた。

 

 厚生労働省の労災認定基準には昨年6月から「パワハラ」の項目が加わった。今年10月には、トヨタ自動車の男性社員の自殺をパワハラや過重労働を原因とする労災と認定した名古屋高裁判決が確定している。遺族側の弁護士は会見で「企業はパワハラを防止する労働環境の整備が急務になっている」と語った。

 

 男性の母親は会見で「なぜ息子が死ななければいけなかったのか、どうしても知りたかった。息子と同じ目にあう人がでないように、会社を変えてほしい」と訴えた。

 

 神奈川トヨタ自動車は取材に「労災認定は事実で、該当上司は降格処分とした。再発防止に向け、当時の事実関係をさらに調査している」とコメントした。

 

 神奈川トヨタ自動車はトヨタ自動車との資本関係はないという。トヨタ自動車は「このような事案が再び起きないよう、今回の事例の反省も共有しながら販売店各社の意識変革を促していく」との談話を出した。

 

男性の母親、忘れられないあの日の会話

 「お客さんの顔ではなく、店長の顔色ばかり見てしまう。どうしたらいいんだろう」

 

 男性は、うつ病と診断された20192月ごろから、同居する両親に悩みを打ち明けていた。父親は「お客さんの方を見て仕事をすればいいんだよ」とアドバイスしたという。

 

 男性の販売店での仕事は、車の販売だけでなく、保険や車検の獲得など幅広かった。長時間労働も常態化し、藤沢労基署は発病6カ月のあいだに月100時間を超える時間外労働があったと認定した。販売ノルマも厳しかった。新車販売の仮契約がキャンセルになった時には、上司から「400万円弁償しろ」と責められたという。

 

 うつ病を発症した頃に男性が残したメモには、こう記されていた。

 

 「店長の決裁 おうかがい→こわい→後回し→ミス」

 

 「売れない→ミス→怒られる→ミス→朝がつらい」

 

 母親には忘れることができない。男性が亡くなる当日の朝、自宅のベランダで話したことだ。

 

 「今日、仕事休んだら」

 

 「でもお客さんもいるし、会社に行かないといけないから」

 

 その会話の1時間後、男性は亡くなった。

 

 母親は20日の記者会見で「あの時、息子を抱きしめるべきだった。労災でパワハラが原因と認められても、自分を責める気持ちは消えない」と涙を浮かべつつ、こう語った。

 

 「息子から『お母さん、僕のような人を少しでも減らしてね』と言われている気がする」

 

 その思いを実現するため、この日、両親は会見に臨むことを決めたという。


《カウンセラー松川のコメント》


会社は儲ける事が第一義かも知れません。
しかし、その為に顧客を欺したり、従業員に負担を掛けるのは
間違った姿であり、それは会社でなく悪の結社に過ぎません。
加害者の弁がありませんので詳細は分かりませんが、
きっと弱い者虐めの感覚で楽しんでいたのでしょう。
自殺は思い詰めつつも発作的に行ってしまう場合もあり、
周囲の者でも引き留める機会が無い場合もあります。
よって、最後に接せられた方が非常に悔やんでしまう場合も多いです。
健康な状態の時には自殺まで考える事もありませんが、
心身共に不健康になってしまうと生きる事が辛くなり、
今の辛さから逃れる為に死を選んでしまいます。
当然、そこに葛藤がある場合もありますが、
先に述べたとおり発作的に行動してしまう場合もありますので、
仕事や職場が原因で[うつ病]や[うつ状態]となった場合には、
その原因から離れる必要があります。
仕事をしないと収入が得られなくなる場合もありますが、
死んでしまったら元も子もありません。
「仕事なんて幾らでもある」と開き直って、
先ずは治療を優先してください。

御遺族の皆様へ
自殺を思い止まらせられなかったのは痛恨の極みですが、
発作的に自殺をした場合には側に居ても止められない時もありますので
どうかこれ以上お気を落とさないでくださいませ。
亡くなられた方にとっても御遺族の悲しみはお辛いはずですから。

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